『環境と経営のブログ』に、去年の4月5日に掲載されていた記事を、ここに転載させていただきます。
その理由は、山本太郎氏が起こした騒動と関係しています。
この写真がツィッターで流れていたのを見て、わたしは最初、ほっこりとした印象を持ちました。
なぜかというと、皇后様が天皇の肘に手を添えられて、あなた、受け取っておあげなさいよ、と促しておられるように感じたからです。
で、
『「手紙を受け取っておあげなさいよ」美智子様はそう促してはる」というタイトルにしたんですが……。
それを読まはった複数の方から、
「あなた、病院に行った方がいいですよ」
「美智子様の手は、常に陛下の腕に添えられているのであり、特別な動作ではない」
などのご指摘をいただきました。
それで、ユーチューブで動画を確認しました。
そして、違う印象を受けたので、前回のタイトルを訂正したいと思います。
天皇は、自らの意思で、山本氏からの手紙を受け取り、美智子様の手は、その天皇の意思に、静かに添えられているように思いました。
切り取られた一場面の写真からの印象を、そのままタイトルにしたのは、軽はずみな行動だったと思います。
申し訳ありませんでした。
このおふたりは常に、国民の健康について、とても心配しておられるのだし、震災の慰霊の日には、放射能汚染に晒されている国民のことに言及されたほどなので、
この山本氏が、汚染地から動けないままの子どもたち、そして、過酷な環境で働かなければならない原発事故処理現場の作業員さんたちの助けになりたいと、必死で頑張っていることは知ってはるはず。
ところが……、
ほどなく画面上に、中傷の言葉が流れ始め、とうとう議員辞職に追い込もうという動きまで出てきてるような気配まで……。
なんでやのん?
しかも、朝日新聞の報道によると、じいさんおっさんらが喧々囂々非難しまくってて、
下村博文文部科学相も、
「議員辞職ものだ。
これを認めれば、いろんな行事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる。
政治利用そのもので、(足尾銅山鉱毒事件で明治天皇に直訴を試みた)田中正造に匹敵する」と批判した。
というような記事を読んで……、
わたしはキレました。
主権回復(いったい誰のための主権のつもりか?)の日とかいう式典に、両陛下を呼び出しといて、天皇陛下バンザ~イ、バンザ~イ!と叫ぶのはええんですか?
↓以下、あいば達也さんのブログ『世相を斬る』より抜粋。
『今日は日本政府の恥晒しどもが主催する、疑似主権回復の日という式典が行われる。
大変お気の毒だと思うのは、天皇陛下も参列を安倍内閣に要請されたらしく、宮内庁も断るに断れない苦渋の選択をしたようだ。
最終的に式辞は述べないと云う条件で容認したようだが、心からお気の毒だと考える。
あきらかに自民党の天皇の政治利用である。
現行憲法下では違憲の可能性すらある。
自民党は憲法改正草案で、天皇の元首化を試み、式典出席など天皇の公的行為を明文化しようとしている。
改憲を進めるための、天皇を政治利用しようと云う意図は明白だ』
↓そしてその式典の様子の映像を観たある市民は、
『この時の天皇は戸惑い、苦渋の表情。
一瞬どう対応したものかと戸惑いが見られた。
皇后は、睨むような呆れたような目線だった。
少なくとも喜んでいる顔ではない。
このような表情を見たのは初めて』
と述べてはるんです。
下村博文文部科学相が「(足尾銅山鉱毒事件で明治天皇に直訴を試みた)田中正造に匹敵する」という言い方で、山本氏を非難しましたけど、
この人、本来ならば、山本氏よりももっと、子どもの将来を考えなあかん人のはずでしょ?
それが、こともあろうに、貧苦疾病、中毒死をする同朋を見るに見かねて議員になり、なんとかして救おうと人生をかけた田中正造氏を引き合いに出し、まるで悪人扱い?!
田中正造氏は、銅山から流出する毒物によって、汚染され、仕事を失い、食べる物もなく、飢えて病に倒れる同朋を見るに見かねて、居ても立ってもいられなくなり、
衆議院議員に選出されてから、救済を求めて国会で何回か議論するも、全く無視され、
救済策を求めて20年もの間闘うも、政府当局はもちろんのこと、地方政府の要職者たち、官僚は、集団で請願する住民を警官隊を派遣して抑圧し投獄する始末。
それで、重罪を犯す覚悟で、手紙をしたためはった人。
ひとえに、子どもを含む県民が苦しめられてる被害の元凶である、川の水源の浄化し、それによって天然資源を復活させ、町村を回復すること、
ひいてはそれが人口減少を防止し、かつ、憲法と法律を正当に実施し、その権利を保持させ、国家の将来の基盤である無限の力、および財産の喪失を断ち切れるように、という願いが込められています。
この下村という男は、人として、親として(父親かどうか知りませんけど)、心というものを持ってるんでしょうか?
もし、この田中氏が書いた手紙の内容はまるっきり知らんと、ただ、天皇に直訴したけしからん奴、というのが、彼の認識なんでしょうか?
そうやとしたら、なんとまあ、貧弱な、政治家として物知らずな、そして人の心を持たん人間なんでしょうか。
↓以下に、田中正造氏が書かはった手紙の内容を、全文現代語訳をしてくださった方の記事を載せさせてもらいます。
転載はじめ
福島原発事故と田中正造
2012-04-05
田中正造が、足尾銅山の鉱毒事件の惨状に対する、政府の対応を見るに見かねて、
明治天皇に直訴に及んだのが、1901年の12月であった。
それからちょうど、110年後に起こった福島原発事故の、過酷な状況に対する日本政府の対応は、
全く同じ状況であることは、以下の、田中正造の「直訴文」を読めば、痛いほどよく分かる。
相も変わらず、政府は、一部の特権階級と癒着して、国民の生命と安全を、ないがしろにしている。
110年前と比べて、科学技術や物質的豊かさの面においては、比較ができないほど進歩したり、豊かになったりしているのに、
日本人の心は、極端に貧しくなってきていると言わざるを得ない。
そのことは、田中正造の直訴文を読んで、痛切に思った。
おそらく日本は、この心の貧困に合わせるかのように、経済的にも、坂道を転がり落ちていくであろう。
今の私は、田中正造よりも若く元気があるのに、また、財産も多く持っているのに、
世間体にこだわって、行動に踏み出せない臆病者・小心者・勇気なき者・愛なき者である。
一方、自分を捨ててでも、同胞のために生涯をささげ、本当の愛を示した田中正造と、同じ日本人として生まれたことに感謝している。
直訴文(全文現代語訳-訳は筆者)
在野の一国民である田中正造が、恐れ多くも謹んで、明治大帝に申し上げます。
謹んで思いますに、田畑で暮らす一国民である私が、あえて道を逸脱し、
法を犯して、陛下のご前に進み出るという罪は、実に万死に値するものであります。
しかも、不本意ながら、このようなことをする理由は、真に国家国民のためを思って活動してまいりましたが、
小さき私の忠心が、終に耐え忍ぶことができないものとなったからであります。
謹んでお願いいたしますことは、慈愛深い陛下が、私の愚かさを憐れんでくださり、
少し、この訴状に目を通していただきたい、ということでございます。
謹んで思いますに、東京から北に、160キロメートル離れたところに、足尾銅山があります。
近年、鉱業用機械が、西洋式技術の発展にしたがって、流出する毒物の量はますます多くなっており、
採掘し製銅する際に生じる、有毒な排水と鉱滓は、谷間を埋め、渓流に注ぎ、渡良瀬川に流下して、沿岸地域で、被害を受けない所はありません。
加えて、年々山林を乱伐し、煙毒が水源を赤土としてしまったために、川の流れが激変して洪水となり、
また、水嵩が数十センチも高まり、有毒な水流が四方に氾濫し、
有毒鉱滓が地下浸透した場所は、茨城・栃木・群馬・埼玉の四県と、その下流の数万坪に達し、
魚類は付近で死滅し、田園は荒廃し、数十万の国民の中には、財産を失ってしまうものもあり、栄養失調となってしまうものもおり、
あるいは、仕事を離れざるをえず、飢えて食べるものもなく、病になっても薬なきものがおります。
老人や幼児は、谷間に転がり、元気な大人はこの土地を去って、他国に流出しています。
このような有様で、20年前の肥沃な田畑は、今や見渡す限り雑草に覆われ、悲惨な荒野となってしまっています。
私は、早くから、鉱毒の害が広範囲に及び、とどまることなく、住民の苦痛が極限に達していることを見て、居ても立ってもいられませんでした。
以前、衆議院議員に選出されるや、第二回帝国議会の時に、初めて書状を持って、政府に質問をしました。
その後は、議会において、大声で激しく議論し、救済策を求めて、ここ20年間やってきましたが、
それなのに政府の当局は、常に言を左右にして、これに必要な適切な措置を、実施することはありませんでした。
そのうえ、地方政府の要職にある者も、また平然として省みようともしません。
はなはだしいことは、住民が窮苦に堪えられずに、集団で保護を請願するや、
官僚は警官隊を派遣して、これを抑圧し、事実をねじ曲げて暴徒だといって、監獄に収監するにいたっています。
こうして、極みでは、国庫の歳入を数十万円減少させ、まさに億千万円に達することになります。
現に、国民で、公民権を失うもの数えることができないほど多く、町村の自治は完全に退廃してしまい、
貧苦疾病、および中毒死するものが、また年々増加しております。
謹んで思いますに、陛下は比類なき素質をもって、天皇の地位を継がれ、
その徳は四海に溢れ、威厳は世界に広がっていらっしゃいます。
一億の国民の中で、隆盛を謳歌しないものはおりません。
ところが、首都を隔た、距離がそう遠くないところで、数十万の見捨てられた窮民は、
空しく大自然の力を期待して、天空に号泣するのを見ます。
ああ、これは今上、陛下の御代の汚点ではないといえるでしょうか。
そして、その責任は、実に政府当局の職務怠慢であって、上級官吏は陛下の聡明を覆い隠し、下級官吏は国家民生を念願しない有様です。
ああ、四つの県の地もまた、陛下の一家であるのではありませんか。
四つの県民もまた、陛下の子供であるのではありませんか。
政府当局が、陛下の地と人を、このような悲境に陥らしめて、省みようとしないことを、私は黙止することはできません。
謹んで思いますに、政府当局をして、よくその責任を尽くさせて、
もって、陛下の赤子ともいうべき県民に、自然界の恩恵を与える道は他にはありません。
それは、渡良瀬川の水源を、浄化することが第一です。
川の流れを修復して、その自然の状態に戻すことが第二です。
激甚の汚染土を除去することが、第三です。
沿岸にある、無限の天然資源を復活することが第四です。
多数の頽廃した町村を、回復することが第五です。
毒を出す鉱業を止め、有毒排水と鉱滓の流出を、根絶することが第六です。
このようにして、数十万という生命を救い、居住相続の基盤を回復し、その人口減少を防止し、
かつ、わが日本帝国憲法、および法律を正当に実施して、その権利を保持させて、
さらに、国家の将来の基盤である、無限の力、および財産の喪失を、断ち切れるようにしなければなりません。
もし、そうしないで、長期にわたって有毒排水を垂れ流したままにすれば、
私は、その被害の及ぶ範囲は、まさに測定できないほどになることを恐れます。
私は齢61歳で、加えて、老からくる病が、日に日に悪化しております。
余命いくばくもないと思っております。
ただ、万一の功を立て、恩にむくいることを期待して、あえて一身をもって、自分の利害を計算に入れていません。
ゆえに、重罪を犯して、お伺いいたしました。
情勢は切迫して、涙なくして語ることはできません。
謹んでお願い申し上げることは、陛下が明察を垂れてくださることであります。
私は、感動の涙に耐えることはできないでありましょう。
明治34年12月
在野の一国民 田中正造、恐れ多く頓首頓首 ㊞
<原文>
謹 奏
田中正造 印
草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首謹テ奏ス。
伏テ惟ルニ臣田間ノ匹夫敢テ規ヲ踰エ法ヲ犯シテ鳳駕ニ近前スル其罪実ニ万死ニ当レリ。
而モ甘ジテ之ヲ為ス所以ノモノハ洵ニ国家生民ノ為ニ図リテ一片ノ耿耿竟ニ忍ブ能ハザルモノ有レバナリ。
伏テ望ムラクハ 陛下深仁深慈臣ガ至愚ヲ憐レミテ少シク乙夜ノ覧ヲ垂レ給ハンコトヲ。
伏テ惟ルニ東京ノ北四十里ニシテ足尾銅山アリ。
近年鉱業上ノ器械様式ノ発達スルニ従ヒテ其流毒益々多ク其採鉱製銅ノ際ニ生ズル所ノ毒水ト毒屑ト之レヲ澗谷ヲ埋メ渓流ニ注ギ、渡良瀬河ニ奔下シテ沿岸其害ヲ被ラザルナシ。
加フルニ比年山林ヲ濫伐シ煙毒、水源ヲ赤土ト為セルガ故ニ河身激変シテ洪水又水量ノ高マルコト数尺毒流四方ニ氾濫シ毒渣ノ浸潤スルノ処茨城栃木群馬埼玉四県及其下流ノ地数万町歩ニ達シ魚族斃死シ田園荒廃シ数十万ノ人民ノ中チ産ヲ失ヒルアリ、栄養ヲ失ヒルアリ、或ハ業ニ離レ飢テ食ナク病テ薬ナキアリ。
老幼ハ溝壑ニ転ジ壮者ハ去テ他国ニ流離セリ。
如此ニシテ二十年前ノ肥田沃土ハ今ヤ化シテ黄茅白葦満目惨憺ノ荒野ト為レルアリ。
臣夙ニ鉱毒ノ禍害ノ滔滔底止スル所ナキト民人ノ痛苦其極ニ達セルトヲ見テ憂悶手足ヲ措クニ処ナシ。
嚮ニ選レテ衆議院議員ト為ルヤ第二期議会ノ時初メテ状ヲ具シテ政府ニ質ス所アリ。
爾後議会ニ於テ大声疾呼其拯救ノ策ヲ求ムル茲ニ十年、而モ政府ノ当局ハ常ニ言ヲ左右ニ托シテ之ガ適当ノ措置ヲ施スコトナシ。
而シテ地方牧民ノ職ニ在ルモノ亦恬トシテ省ミルナシ。
甚シキハ即チ人民ノ窮苦ニ堪ヘズシテ群起シテ其保護ヲ請願スルヤ有司ハ警吏ヲ派シテ之ヲ圧抑シ誣テ兇徒ト称シテ獄ニ投ズルニ至ル。
而シテ其極ヤ既ニ国庫ノ歳入数十万円ヲ減ジ又将ニ幾億千万円ニ達セントス。
現ニ人民公民ノ権ヲ失フモノ算ナクシテ町村ノ自治全ク頽廃セラレ貧苦疾病及ビ毒ニ中リテ死スルモノ亦年々多キヲ加フ。
伏テ惟ミルニ陛下不世出ノ資ヲ以テ列聖ノ余烈ヲ紹ギ徳四海ニ溢レ威八紘ニ展ブ。
億兆昇平ヲ謳歌セザルナシ。
而モ輦轂ノ下ヲ距ル甚ダ遠カラズシテ数十万無告ノ窮民空シク雨露ノ恩ヲ希フテ昊天ニ号泣スルヲ見ル。
鳴呼是レ聖代ノ汚点ニ非ズト謂ハンヤ。
而シテ其責ヤ実ニ政府当局ノ怠慢曠職ニシテ上ハ陛下ノ聡明ヲ壅蔽シ奉リ下ハ家国民生ヲ以テ念ト為サヾルニ在ラズンバアラズ。
鳴呼四県ノ地亦陛下ノ一家ニアラズヤ。
四県ノ民亦陛下ノ赤子ニアラズヤ。
政府当局ガ陛下ノ地ト人トヲ把テ如此キノ悲境ニ陥ラシメテ省ミルナキモノ是レ臣ノ黙止スルコト能ハザル所ナリ。
伏テ惟ルニ政府当局ヲシテ能ク其責ヲ竭サシメ以テ陛下ノ赤子ヲシテ日月ノ恩ニ光被セシムルノ途地ナシ。
渡良瀬河ノ水源ヲ清ムル其一ナリ。
河身ヲ修築シテ其天然ノ旧ニ復スル其二ナリ。
激甚ノ毒土ヲ除去スル其三ナリ。
沿岸無量ノ天産ヲ復活スル其四ナリ。
多数町村ノ頽廃セルモノヲ恢復スル其五ナリ。
加毒ノ鉱業ヲ止メ毒水毒屑ノ流出ヲ根絶スル其六ナリ。
如此ニシテ数十万生霊ノ死命ヲ救ヒ居住相続ノ基ヘヲ回復シ其人口ノ減耗ヲ防遏シ、且ツ我日本帝国憲法及ビ法律ヲ正当ニ実行シテ各其権利ヲ保持セシメ、更ニ将来国家ノ基礎タル無量ノ勢力及ビ富財ノ損失ヲ断絶スルヲ得ベケンナリ。
若シ然ラズシテ長ク毒水ノ横流ニ任セバ臣ハ恐ル其禍ノ及ブ所将サニ測ル可ラザルモノアランコトヲ。
臣年六十一而シテ老病日ニ迫ル。
念フニ余命幾クモナシ。
唯万一ノ報効ヲ期シテ敢テ一身ヲ以テ利害ヲ計ラズ。
故ニ斧鉞ノ誅ヲ冒シテ以テ聞ス情切ニ事急ニシテ涕泣言フ所ヲ知ラズ。
伏テ望ムラクハ聖明矜察ヲ垂レ給ハンコトヲ。
臣痛絶呼号ノ至リニ任フルナシ。
明治三十四年十二月
草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首 印
その理由は、山本太郎氏が起こした騒動と関係しています。
この写真がツィッターで流れていたのを見て、わたしは最初、ほっこりとした印象を持ちました。
なぜかというと、皇后様が天皇の肘に手を添えられて、あなた、受け取っておあげなさいよ、と促しておられるように感じたからです。
で、
『「手紙を受け取っておあげなさいよ」美智子様はそう促してはる」というタイトルにしたんですが……。
それを読まはった複数の方から、
「あなた、病院に行った方がいいですよ」
「美智子様の手は、常に陛下の腕に添えられているのであり、特別な動作ではない」
などのご指摘をいただきました。
それで、ユーチューブで動画を確認しました。
そして、違う印象を受けたので、前回のタイトルを訂正したいと思います。
天皇は、自らの意思で、山本氏からの手紙を受け取り、美智子様の手は、その天皇の意思に、静かに添えられているように思いました。
切り取られた一場面の写真からの印象を、そのままタイトルにしたのは、軽はずみな行動だったと思います。
申し訳ありませんでした。
このおふたりは常に、国民の健康について、とても心配しておられるのだし、震災の慰霊の日には、放射能汚染に晒されている国民のことに言及されたほどなので、
この山本氏が、汚染地から動けないままの子どもたち、そして、過酷な環境で働かなければならない原発事故処理現場の作業員さんたちの助けになりたいと、必死で頑張っていることは知ってはるはず。
ところが……、
ほどなく画面上に、中傷の言葉が流れ始め、とうとう議員辞職に追い込もうという動きまで出てきてるような気配まで……。
なんでやのん?
しかも、朝日新聞の報道によると、じいさんおっさんらが喧々囂々非難しまくってて、
下村博文文部科学相も、
「議員辞職ものだ。
これを認めれば、いろんな行事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる。
政治利用そのもので、(足尾銅山鉱毒事件で明治天皇に直訴を試みた)田中正造に匹敵する」と批判した。
というような記事を読んで……、
わたしはキレました。
主権回復(いったい誰のための主権のつもりか?)の日とかいう式典に、両陛下を呼び出しといて、天皇陛下バンザ~イ、バンザ~イ!と叫ぶのはええんですか?
↓以下、あいば達也さんのブログ『世相を斬る』より抜粋。
『今日は日本政府の恥晒しどもが主催する、疑似主権回復の日という式典が行われる。
大変お気の毒だと思うのは、天皇陛下も参列を安倍内閣に要請されたらしく、宮内庁も断るに断れない苦渋の選択をしたようだ。
最終的に式辞は述べないと云う条件で容認したようだが、心からお気の毒だと考える。
あきらかに自民党の天皇の政治利用である。
現行憲法下では違憲の可能性すらある。
自民党は憲法改正草案で、天皇の元首化を試み、式典出席など天皇の公的行為を明文化しようとしている。
改憲を進めるための、天皇を政治利用しようと云う意図は明白だ』
↓そしてその式典の様子の映像を観たある市民は、
『この時の天皇は戸惑い、苦渋の表情。
一瞬どう対応したものかと戸惑いが見られた。
皇后は、睨むような呆れたような目線だった。
少なくとも喜んでいる顔ではない。
このような表情を見たのは初めて』
と述べてはるんです。
下村博文文部科学相が「(足尾銅山鉱毒事件で明治天皇に直訴を試みた)田中正造に匹敵する」という言い方で、山本氏を非難しましたけど、
この人、本来ならば、山本氏よりももっと、子どもの将来を考えなあかん人のはずでしょ?
それが、こともあろうに、貧苦疾病、中毒死をする同朋を見るに見かねて議員になり、なんとかして救おうと人生をかけた田中正造氏を引き合いに出し、まるで悪人扱い?!
田中正造氏は、銅山から流出する毒物によって、汚染され、仕事を失い、食べる物もなく、飢えて病に倒れる同朋を見るに見かねて、居ても立ってもいられなくなり、
衆議院議員に選出されてから、救済を求めて国会で何回か議論するも、全く無視され、
救済策を求めて20年もの間闘うも、政府当局はもちろんのこと、地方政府の要職者たち、官僚は、集団で請願する住民を警官隊を派遣して抑圧し投獄する始末。
それで、重罪を犯す覚悟で、手紙をしたためはった人。
ひとえに、子どもを含む県民が苦しめられてる被害の元凶である、川の水源の浄化し、それによって天然資源を復活させ、町村を回復すること、
ひいてはそれが人口減少を防止し、かつ、憲法と法律を正当に実施し、その権利を保持させ、国家の将来の基盤である無限の力、および財産の喪失を断ち切れるように、という願いが込められています。
この下村という男は、人として、親として(父親かどうか知りませんけど)、心というものを持ってるんでしょうか?
もし、この田中氏が書いた手紙の内容はまるっきり知らんと、ただ、天皇に直訴したけしからん奴、というのが、彼の認識なんでしょうか?
そうやとしたら、なんとまあ、貧弱な、政治家として物知らずな、そして人の心を持たん人間なんでしょうか。
↓以下に、田中正造氏が書かはった手紙の内容を、全文現代語訳をしてくださった方の記事を載せさせてもらいます。
転載はじめ
福島原発事故と田中正造
2012-04-05
田中正造が、足尾銅山の鉱毒事件の惨状に対する、政府の対応を見るに見かねて、
明治天皇に直訴に及んだのが、1901年の12月であった。
それからちょうど、110年後に起こった福島原発事故の、過酷な状況に対する日本政府の対応は、
全く同じ状況であることは、以下の、田中正造の「直訴文」を読めば、痛いほどよく分かる。
相も変わらず、政府は、一部の特権階級と癒着して、国民の生命と安全を、ないがしろにしている。
110年前と比べて、科学技術や物質的豊かさの面においては、比較ができないほど進歩したり、豊かになったりしているのに、
日本人の心は、極端に貧しくなってきていると言わざるを得ない。
そのことは、田中正造の直訴文を読んで、痛切に思った。
おそらく日本は、この心の貧困に合わせるかのように、経済的にも、坂道を転がり落ちていくであろう。
今の私は、田中正造よりも若く元気があるのに、また、財産も多く持っているのに、
世間体にこだわって、行動に踏み出せない臆病者・小心者・勇気なき者・愛なき者である。
一方、自分を捨ててでも、同胞のために生涯をささげ、本当の愛を示した田中正造と、同じ日本人として生まれたことに感謝している。
直訴文(全文現代語訳-訳は筆者)
在野の一国民である田中正造が、恐れ多くも謹んで、明治大帝に申し上げます。
謹んで思いますに、田畑で暮らす一国民である私が、あえて道を逸脱し、
法を犯して、陛下のご前に進み出るという罪は、実に万死に値するものであります。
しかも、不本意ながら、このようなことをする理由は、真に国家国民のためを思って活動してまいりましたが、
小さき私の忠心が、終に耐え忍ぶことができないものとなったからであります。
謹んでお願いいたしますことは、慈愛深い陛下が、私の愚かさを憐れんでくださり、
少し、この訴状に目を通していただきたい、ということでございます。
謹んで思いますに、東京から北に、160キロメートル離れたところに、足尾銅山があります。
近年、鉱業用機械が、西洋式技術の発展にしたがって、流出する毒物の量はますます多くなっており、
採掘し製銅する際に生じる、有毒な排水と鉱滓は、谷間を埋め、渓流に注ぎ、渡良瀬川に流下して、沿岸地域で、被害を受けない所はありません。
加えて、年々山林を乱伐し、煙毒が水源を赤土としてしまったために、川の流れが激変して洪水となり、
また、水嵩が数十センチも高まり、有毒な水流が四方に氾濫し、
有毒鉱滓が地下浸透した場所は、茨城・栃木・群馬・埼玉の四県と、その下流の数万坪に達し、
魚類は付近で死滅し、田園は荒廃し、数十万の国民の中には、財産を失ってしまうものもあり、栄養失調となってしまうものもおり、
あるいは、仕事を離れざるをえず、飢えて食べるものもなく、病になっても薬なきものがおります。
老人や幼児は、谷間に転がり、元気な大人はこの土地を去って、他国に流出しています。
このような有様で、20年前の肥沃な田畑は、今や見渡す限り雑草に覆われ、悲惨な荒野となってしまっています。
私は、早くから、鉱毒の害が広範囲に及び、とどまることなく、住民の苦痛が極限に達していることを見て、居ても立ってもいられませんでした。
以前、衆議院議員に選出されるや、第二回帝国議会の時に、初めて書状を持って、政府に質問をしました。
その後は、議会において、大声で激しく議論し、救済策を求めて、ここ20年間やってきましたが、
それなのに政府の当局は、常に言を左右にして、これに必要な適切な措置を、実施することはありませんでした。
そのうえ、地方政府の要職にある者も、また平然として省みようともしません。
はなはだしいことは、住民が窮苦に堪えられずに、集団で保護を請願するや、
官僚は警官隊を派遣して、これを抑圧し、事実をねじ曲げて暴徒だといって、監獄に収監するにいたっています。
こうして、極みでは、国庫の歳入を数十万円減少させ、まさに億千万円に達することになります。
現に、国民で、公民権を失うもの数えることができないほど多く、町村の自治は完全に退廃してしまい、
貧苦疾病、および中毒死するものが、また年々増加しております。
謹んで思いますに、陛下は比類なき素質をもって、天皇の地位を継がれ、
その徳は四海に溢れ、威厳は世界に広がっていらっしゃいます。
一億の国民の中で、隆盛を謳歌しないものはおりません。
ところが、首都を隔た、距離がそう遠くないところで、数十万の見捨てられた窮民は、
空しく大自然の力を期待して、天空に号泣するのを見ます。
ああ、これは今上、陛下の御代の汚点ではないといえるでしょうか。
そして、その責任は、実に政府当局の職務怠慢であって、上級官吏は陛下の聡明を覆い隠し、下級官吏は国家民生を念願しない有様です。
ああ、四つの県の地もまた、陛下の一家であるのではありませんか。
四つの県民もまた、陛下の子供であるのではありませんか。
政府当局が、陛下の地と人を、このような悲境に陥らしめて、省みようとしないことを、私は黙止することはできません。
謹んで思いますに、政府当局をして、よくその責任を尽くさせて、
もって、陛下の赤子ともいうべき県民に、自然界の恩恵を与える道は他にはありません。
それは、渡良瀬川の水源を、浄化することが第一です。
川の流れを修復して、その自然の状態に戻すことが第二です。
激甚の汚染土を除去することが、第三です。
沿岸にある、無限の天然資源を復活することが第四です。
多数の頽廃した町村を、回復することが第五です。
毒を出す鉱業を止め、有毒排水と鉱滓の流出を、根絶することが第六です。
このようにして、数十万という生命を救い、居住相続の基盤を回復し、その人口減少を防止し、
かつ、わが日本帝国憲法、および法律を正当に実施して、その権利を保持させて、
さらに、国家の将来の基盤である、無限の力、および財産の喪失を、断ち切れるようにしなければなりません。
もし、そうしないで、長期にわたって有毒排水を垂れ流したままにすれば、
私は、その被害の及ぶ範囲は、まさに測定できないほどになることを恐れます。
私は齢61歳で、加えて、老からくる病が、日に日に悪化しております。
余命いくばくもないと思っております。
ただ、万一の功を立て、恩にむくいることを期待して、あえて一身をもって、自分の利害を計算に入れていません。
ゆえに、重罪を犯して、お伺いいたしました。
情勢は切迫して、涙なくして語ることはできません。
謹んでお願い申し上げることは、陛下が明察を垂れてくださることであります。
私は、感動の涙に耐えることはできないでありましょう。
明治34年12月
在野の一国民 田中正造、恐れ多く頓首頓首 ㊞
<原文>
謹 奏
田中正造 印
草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首謹テ奏ス。
伏テ惟ルニ臣田間ノ匹夫敢テ規ヲ踰エ法ヲ犯シテ鳳駕ニ近前スル其罪実ニ万死ニ当レリ。
而モ甘ジテ之ヲ為ス所以ノモノハ洵ニ国家生民ノ為ニ図リテ一片ノ耿耿竟ニ忍ブ能ハザルモノ有レバナリ。
伏テ望ムラクハ 陛下深仁深慈臣ガ至愚ヲ憐レミテ少シク乙夜ノ覧ヲ垂レ給ハンコトヲ。
伏テ惟ルニ東京ノ北四十里ニシテ足尾銅山アリ。
近年鉱業上ノ器械様式ノ発達スルニ従ヒテ其流毒益々多ク其採鉱製銅ノ際ニ生ズル所ノ毒水ト毒屑ト之レヲ澗谷ヲ埋メ渓流ニ注ギ、渡良瀬河ニ奔下シテ沿岸其害ヲ被ラザルナシ。
加フルニ比年山林ヲ濫伐シ煙毒、水源ヲ赤土ト為セルガ故ニ河身激変シテ洪水又水量ノ高マルコト数尺毒流四方ニ氾濫シ毒渣ノ浸潤スルノ処茨城栃木群馬埼玉四県及其下流ノ地数万町歩ニ達シ魚族斃死シ田園荒廃シ数十万ノ人民ノ中チ産ヲ失ヒルアリ、栄養ヲ失ヒルアリ、或ハ業ニ離レ飢テ食ナク病テ薬ナキアリ。
老幼ハ溝壑ニ転ジ壮者ハ去テ他国ニ流離セリ。
如此ニシテ二十年前ノ肥田沃土ハ今ヤ化シテ黄茅白葦満目惨憺ノ荒野ト為レルアリ。
臣夙ニ鉱毒ノ禍害ノ滔滔底止スル所ナキト民人ノ痛苦其極ニ達セルトヲ見テ憂悶手足ヲ措クニ処ナシ。
嚮ニ選レテ衆議院議員ト為ルヤ第二期議会ノ時初メテ状ヲ具シテ政府ニ質ス所アリ。
爾後議会ニ於テ大声疾呼其拯救ノ策ヲ求ムル茲ニ十年、而モ政府ノ当局ハ常ニ言ヲ左右ニ托シテ之ガ適当ノ措置ヲ施スコトナシ。
而シテ地方牧民ノ職ニ在ルモノ亦恬トシテ省ミルナシ。
甚シキハ即チ人民ノ窮苦ニ堪ヘズシテ群起シテ其保護ヲ請願スルヤ有司ハ警吏ヲ派シテ之ヲ圧抑シ誣テ兇徒ト称シテ獄ニ投ズルニ至ル。
而シテ其極ヤ既ニ国庫ノ歳入数十万円ヲ減ジ又将ニ幾億千万円ニ達セントス。
現ニ人民公民ノ権ヲ失フモノ算ナクシテ町村ノ自治全ク頽廃セラレ貧苦疾病及ビ毒ニ中リテ死スルモノ亦年々多キヲ加フ。
伏テ惟ミルニ陛下不世出ノ資ヲ以テ列聖ノ余烈ヲ紹ギ徳四海ニ溢レ威八紘ニ展ブ。
億兆昇平ヲ謳歌セザルナシ。
而モ輦轂ノ下ヲ距ル甚ダ遠カラズシテ数十万無告ノ窮民空シク雨露ノ恩ヲ希フテ昊天ニ号泣スルヲ見ル。
鳴呼是レ聖代ノ汚点ニ非ズト謂ハンヤ。
而シテ其責ヤ実ニ政府当局ノ怠慢曠職ニシテ上ハ陛下ノ聡明ヲ壅蔽シ奉リ下ハ家国民生ヲ以テ念ト為サヾルニ在ラズンバアラズ。
鳴呼四県ノ地亦陛下ノ一家ニアラズヤ。
四県ノ民亦陛下ノ赤子ニアラズヤ。
政府当局ガ陛下ノ地ト人トヲ把テ如此キノ悲境ニ陥ラシメテ省ミルナキモノ是レ臣ノ黙止スルコト能ハザル所ナリ。
伏テ惟ルニ政府当局ヲシテ能ク其責ヲ竭サシメ以テ陛下ノ赤子ヲシテ日月ノ恩ニ光被セシムルノ途地ナシ。
渡良瀬河ノ水源ヲ清ムル其一ナリ。
河身ヲ修築シテ其天然ノ旧ニ復スル其二ナリ。
激甚ノ毒土ヲ除去スル其三ナリ。
沿岸無量ノ天産ヲ復活スル其四ナリ。
多数町村ノ頽廃セルモノヲ恢復スル其五ナリ。
加毒ノ鉱業ヲ止メ毒水毒屑ノ流出ヲ根絶スル其六ナリ。
如此ニシテ数十万生霊ノ死命ヲ救ヒ居住相続ノ基ヘヲ回復シ其人口ノ減耗ヲ防遏シ、且ツ我日本帝国憲法及ビ法律ヲ正当ニ実行シテ各其権利ヲ保持セシメ、更ニ将来国家ノ基礎タル無量ノ勢力及ビ富財ノ損失ヲ断絶スルヲ得ベケンナリ。
若シ然ラズシテ長ク毒水ノ横流ニ任セバ臣ハ恐ル其禍ノ及ブ所将サニ測ル可ラザルモノアランコトヲ。
臣年六十一而シテ老病日ニ迫ル。
念フニ余命幾クモナシ。
唯万一ノ報効ヲ期シテ敢テ一身ヲ以テ利害ヲ計ラズ。
故ニ斧鉞ノ誅ヲ冒シテ以テ聞ス情切ニ事急ニシテ涕泣言フ所ヲ知ラズ。
伏テ望ムラクハ聖明矜察ヲ垂レ給ハンコトヲ。
臣痛絶呼号ノ至リニ任フルナシ。
明治三十四年十二月
草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首 印