友人わかちゃんは、祖国のこと、同胞のことを思い、幼い娘さん二人を育てながら、毎日必死にメッセージを発信してる女性。
原発事故後、日本におられるご両親が、子どもたちを連れて帰郷してはならないと、彼女に伝えたことが発端となり、精力的に調べ始めた。
その彼女が、Facebook上で紹介してくれたドラマ・【リーガル・ハイ】の、ある演説シーン。
わたしは全く知らんまま、ひょいと覗いてみた。
案の定、動画は観られなくなってたけど、音声だけは残ってた。
聞きながら、文字起こしされた文章を読んだ。
号泣した。
どうしようもなく、泣けて泣けて、また聞いては泣いた。
若い弁護士が、村のひとりひとりの生きた歴史を、誰よりもよく理解し、その本人よりも誇りに思い、
なぜそのような、立派な魂を持った大人がと地団駄を踏む。
その声に、その怒声に、わたしの心が震えた。
くやしい。
棄民されてることを、気づかせることすらできん自分の不甲斐なさ、力の無さが、くやしい。
そしてさらにくやしいことに、棄民扱いを受けて気づかんでいるのは、なにも過疎の村の人たちだけやない。
都会にも、このアメリカの田舎にも、世界中に存在してる。
そしてさらにさらに、こんなふうに必死で、腹の底から、怒ってくれる弁護士などまずいないし、
いたとしても、そのことで呼び覚まされて、皆が立ち上がるってなことにもほとんどならない。
↓以下、転載はじめ
【リーガル・ハイ】 - 演説シーンが素晴らしすぎる!
【村人たち】
私たちの望んでいたのは、センバ化学(?)さんの誠意なんです。
今回、それがよぉーく感じられました。
そう、絆を再確認できたもんね。
金がすべてじゃあないんですよ。
そうだそうだ!
そうよね、そうそう!
(拍手が続く)
【古美門】
素晴らしい!
皆さんのお考えに感服いたしました。
さすがふれあいと絆の里だ。
それではそのように手続きしましょう。
黛君あとは頼んだ、さようなら。
【黛】
先生、これでいいんですか?
【古美門】
いいんだよ。
【黛】
でも……。
【古美門】
彼らが良いと言ってるんだから、ですよね皆さん。
【村人たち】
ええ、この世には、金よりも大事なものがありますから。な!
【古美門】
見たまえ、彼らの満足そうなこの表情を。
ズワイガニ食べ放題ツアーの、帰りのバスの中そのものじゃないか。
黛君、よく覚えておきたまえ。
これがこの国の、馴れ合いという文化の根深さだ。
人間は、長い年月飼い馴らされると、かくもダニのような生き物になるのだよ。
【村人】
ダニ!?俺たちのこと言ったのか!!
【古美門】
他に誰かいますか?
自覚すらないとは、本当にうらやましい。
コケにされているのも気づかないまま墓に入れるなんて、幸せな人生だ。
【村人】
あんた、ちょっとひどいんじゃないか?
【古美門】
申し訳ありません。
最初に申し上げたとおり、皆さんのような惨めな老人共が、大っ嫌いなもんでして。
【村人たち】
おい若造、お前何なんだよ!お前そんなに偉いのか!
そうよ!目上の人を敬うってことがないの!?
私たちは、君の倍は生きてるんだ!
【古美門】
倍も生きていらっしゃるのに、ご自分のこともわかっていらっしゃらないようなので、教えて差し上げているんです。
いいですか、皆さんは、国に見捨てられた民、棄民なんです。
国の発展の為には、年金を貪るだけの老人なんて、無価値ですから。
ちりとりで集めてはじっこに寄せて、羊羹を食わせて黙らせているんです。
大企業に寄生する心優しいダニ、それが皆さんだ。
【黛】
先生、もうやめてください。
【村人たち】
てめえだって、ダニに寄生してるバイキンじゃねえか!
あたしたちの何が気に入らないの!
【古美門】
かつてこの地は、一面に、桑畑が広がっていたそうです。
どの家でも蚕を飼っていたからだ。
それはそれは美しい絹を紡いだそうです。
それを讃えて人々は、いつしかこの地を、絹美と呼ぶようになりました。
養蚕業が衰退してからは、稲作に転じました。
日本酒に適した、素晴らしい米を作ったそうですが、政府の農地改革によって、それも衰退した。
その後はこれといった産業もなく、過疎化の一途を辿りました。
市町村合併を繰り返し、補助金でしのぎました。
5年前に、化学工場がやってきましたねえ。
反対運動をしてみたら、お小遣いが貰えた。
多くは農業すら放棄した。
ふれあいセンターなどという、中身の無い、立派な箱物も建ててもらえた。
使いもしない光ファイバーも引いてもらえた。
ありがたいですねー。
絹美という古臭い名前を捨てたら、南モンブラン市というファッショナブルな名前になりました。
なんてナウでヤングでトレンディなんでしょう。
そして今、土を汚され、水を汚され、病に冒され、この土地にも最早住めない可能性だってあるけれど、
でも商品券もくれたし、誠意も絆も感じられた。
ありがたいことです。
本当によかったよかった。
これで土地も水も甦るんでしょう。
病気も治るんでしょう。
工場は、汚染物質を垂れ流し続けるけれど、きっともう問題は起こらないんでしょう。
だって絆があるから!
【村人たち】
うがぁー!!
放せー!てめえなんか、てめえなんか、ぶっ殺してくれるー!
ジョウジの気持ちはもっともだ!
そうよ、どうしてそんな酷いことが言えるの!あんたは悪魔よ!
あんたなんかに、俺たちの苦しみがわかってたまるか!
俺たちだって、あんたの言ったことぐらい、嫌というほどわかってる。
みんな、悔しくて悔しくて仕方ねえんだ。
だけど、必死で気持ちを押し殺して、納得しようとしてるんじゃないか!
【古美門】
なぜ?
ゴミクズ扱いされているのをわかっているのに、なぜ納得しようとしてるんです!
【村人】
俺たちはもう年寄りなんだし。
【古美門】
年寄りだからなんなんですか?
【村人】
具合が悪いのに、みんな頑張ってきたんだ。
【古美門】
だから何だってんだー!
だから労わってほしいんですか。
だから慰めてほしいんですか。
だから優しくされたら、すぐに嬉しくなってしまうんですか。
先人たちに申し訳ないとは、子々孫々に恥ずかしいとは思わないですか?
何が南モンブランだ。
絹美村は、本物のモンブランより遥かに美しいと、どうして思わないんですか!
誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていければ楽でしょう。
しかし、もし、誇りある生き方を取り戻したいのなら、見たくない現実を見なければならない。
深い傷を負う覚悟で、前に進まなければならない。
戦うということはそういうことだ。
愚痴なら墓場で言えばいい。
金が全てではない?
金なんですよ。
あなた方が相手に一矢報い、意気地を見せ付ける方法は、
奪われたものと、踏みにじられた尊厳にふさわしい対価を、勝ち取ることだけなんだ。
それ以外にないんだ。
ニシキノハルオさん、あなたは元郵便局長だ。
幾度となく閉鎖されそうになった村の郵便局を、最後まで守り抜いた。
モリグチサブロウさんは、小学校の校長先生。
村にいた子供たちは、みんなあなたの教え子だ。
奥さんのヒサコさんは、町のデパートの化粧品売り場で、月間売り上げの記録の保持者。
ゴウダジョウジさんは、実に100ヘクタールもの田畑を開墾した。
カワタサトコさんとご主人は、田んぼをやりながら、日雇いの仕事をいくつもいくつも掛け持った。
トミタヤスヒロさんは、商店街の会長。
毎年祭りを盛り上げて、あのクリスタルキングを呼んだこともある。
イタクラハツネさんは、女だてらにクレーン車を動かし、6人の子供を育て上げた。
敗戦のどん底から、この国の最繁栄期を築き上げたあなた方なら、その魂をきっと、どこかに残してる!
……はずだと期待した私が愚かでした。
いいですか、二度と、老後の暇つぶしに、私を巻き込まないでいただきたい。
心優しいダニ同士、お互い傷を舐めあいながら、穏やかに健やかに、どうぞくたばっていってください。
それではみなさん、さようなら!
原発事故後、日本におられるご両親が、子どもたちを連れて帰郷してはならないと、彼女に伝えたことが発端となり、精力的に調べ始めた。
その彼女が、Facebook上で紹介してくれたドラマ・【リーガル・ハイ】の、ある演説シーン。
わたしは全く知らんまま、ひょいと覗いてみた。
案の定、動画は観られなくなってたけど、音声だけは残ってた。
聞きながら、文字起こしされた文章を読んだ。
号泣した。
どうしようもなく、泣けて泣けて、また聞いては泣いた。
若い弁護士が、村のひとりひとりの生きた歴史を、誰よりもよく理解し、その本人よりも誇りに思い、
なぜそのような、立派な魂を持った大人がと地団駄を踏む。
その声に、その怒声に、わたしの心が震えた。
くやしい。
棄民されてることを、気づかせることすらできん自分の不甲斐なさ、力の無さが、くやしい。
そしてさらにくやしいことに、棄民扱いを受けて気づかんでいるのは、なにも過疎の村の人たちだけやない。
都会にも、このアメリカの田舎にも、世界中に存在してる。
そしてさらにさらに、こんなふうに必死で、腹の底から、怒ってくれる弁護士などまずいないし、
いたとしても、そのことで呼び覚まされて、皆が立ち上がるってなことにもほとんどならない。
↓以下、転載はじめ
【リーガル・ハイ】 - 演説シーンが素晴らしすぎる!
【村人たち】
私たちの望んでいたのは、センバ化学(?)さんの誠意なんです。
今回、それがよぉーく感じられました。
そう、絆を再確認できたもんね。
金がすべてじゃあないんですよ。
そうだそうだ!
そうよね、そうそう!
(拍手が続く)
【古美門】
素晴らしい!
皆さんのお考えに感服いたしました。
さすがふれあいと絆の里だ。
それではそのように手続きしましょう。
黛君あとは頼んだ、さようなら。
【黛】
先生、これでいいんですか?
【古美門】
いいんだよ。
【黛】
でも……。
【古美門】
彼らが良いと言ってるんだから、ですよね皆さん。
【村人たち】
ええ、この世には、金よりも大事なものがありますから。な!
【古美門】
見たまえ、彼らの満足そうなこの表情を。
ズワイガニ食べ放題ツアーの、帰りのバスの中そのものじゃないか。
黛君、よく覚えておきたまえ。
これがこの国の、馴れ合いという文化の根深さだ。
人間は、長い年月飼い馴らされると、かくもダニのような生き物になるのだよ。
【村人】
ダニ!?俺たちのこと言ったのか!!
【古美門】
他に誰かいますか?
自覚すらないとは、本当にうらやましい。
コケにされているのも気づかないまま墓に入れるなんて、幸せな人生だ。
【村人】
あんた、ちょっとひどいんじゃないか?
【古美門】
申し訳ありません。
最初に申し上げたとおり、皆さんのような惨めな老人共が、大っ嫌いなもんでして。
【村人たち】
おい若造、お前何なんだよ!お前そんなに偉いのか!
そうよ!目上の人を敬うってことがないの!?
私たちは、君の倍は生きてるんだ!
【古美門】
倍も生きていらっしゃるのに、ご自分のこともわかっていらっしゃらないようなので、教えて差し上げているんです。
いいですか、皆さんは、国に見捨てられた民、棄民なんです。
国の発展の為には、年金を貪るだけの老人なんて、無価値ですから。
ちりとりで集めてはじっこに寄せて、羊羹を食わせて黙らせているんです。
大企業に寄生する心優しいダニ、それが皆さんだ。
【黛】
先生、もうやめてください。
【村人たち】
てめえだって、ダニに寄生してるバイキンじゃねえか!
あたしたちの何が気に入らないの!
【古美門】
かつてこの地は、一面に、桑畑が広がっていたそうです。
どの家でも蚕を飼っていたからだ。
それはそれは美しい絹を紡いだそうです。
それを讃えて人々は、いつしかこの地を、絹美と呼ぶようになりました。
養蚕業が衰退してからは、稲作に転じました。
日本酒に適した、素晴らしい米を作ったそうですが、政府の農地改革によって、それも衰退した。
その後はこれといった産業もなく、過疎化の一途を辿りました。
市町村合併を繰り返し、補助金でしのぎました。
5年前に、化学工場がやってきましたねえ。
反対運動をしてみたら、お小遣いが貰えた。
多くは農業すら放棄した。
ふれあいセンターなどという、中身の無い、立派な箱物も建ててもらえた。
使いもしない光ファイバーも引いてもらえた。
ありがたいですねー。
絹美という古臭い名前を捨てたら、南モンブラン市というファッショナブルな名前になりました。
なんてナウでヤングでトレンディなんでしょう。
そして今、土を汚され、水を汚され、病に冒され、この土地にも最早住めない可能性だってあるけれど、
でも商品券もくれたし、誠意も絆も感じられた。
ありがたいことです。
本当によかったよかった。
これで土地も水も甦るんでしょう。
病気も治るんでしょう。
工場は、汚染物質を垂れ流し続けるけれど、きっともう問題は起こらないんでしょう。
だって絆があるから!
【村人たち】
うがぁー!!
放せー!てめえなんか、てめえなんか、ぶっ殺してくれるー!
ジョウジの気持ちはもっともだ!
そうよ、どうしてそんな酷いことが言えるの!あんたは悪魔よ!
あんたなんかに、俺たちの苦しみがわかってたまるか!
俺たちだって、あんたの言ったことぐらい、嫌というほどわかってる。
みんな、悔しくて悔しくて仕方ねえんだ。
だけど、必死で気持ちを押し殺して、納得しようとしてるんじゃないか!
【古美門】
なぜ?
ゴミクズ扱いされているのをわかっているのに、なぜ納得しようとしてるんです!
【村人】
俺たちはもう年寄りなんだし。
【古美門】
年寄りだからなんなんですか?
【村人】
具合が悪いのに、みんな頑張ってきたんだ。
【古美門】
だから何だってんだー!
だから労わってほしいんですか。
だから慰めてほしいんですか。
だから優しくされたら、すぐに嬉しくなってしまうんですか。
先人たちに申し訳ないとは、子々孫々に恥ずかしいとは思わないですか?
何が南モンブランだ。
絹美村は、本物のモンブランより遥かに美しいと、どうして思わないんですか!
誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていければ楽でしょう。
しかし、もし、誇りある生き方を取り戻したいのなら、見たくない現実を見なければならない。
深い傷を負う覚悟で、前に進まなければならない。
戦うということはそういうことだ。
愚痴なら墓場で言えばいい。
金が全てではない?
金なんですよ。
あなた方が相手に一矢報い、意気地を見せ付ける方法は、
奪われたものと、踏みにじられた尊厳にふさわしい対価を、勝ち取ることだけなんだ。
それ以外にないんだ。
ニシキノハルオさん、あなたは元郵便局長だ。
幾度となく閉鎖されそうになった村の郵便局を、最後まで守り抜いた。
モリグチサブロウさんは、小学校の校長先生。
村にいた子供たちは、みんなあなたの教え子だ。
奥さんのヒサコさんは、町のデパートの化粧品売り場で、月間売り上げの記録の保持者。
ゴウダジョウジさんは、実に100ヘクタールもの田畑を開墾した。
カワタサトコさんとご主人は、田んぼをやりながら、日雇いの仕事をいくつもいくつも掛け持った。
トミタヤスヒロさんは、商店街の会長。
毎年祭りを盛り上げて、あのクリスタルキングを呼んだこともある。
イタクラハツネさんは、女だてらにクレーン車を動かし、6人の子供を育て上げた。
敗戦のどん底から、この国の最繁栄期を築き上げたあなた方なら、その魂をきっと、どこかに残してる!
……はずだと期待した私が愚かでした。
いいですか、二度と、老後の暇つぶしに、私を巻き込まないでいただきたい。
心優しいダニ同士、お互い傷を舐めあいながら、穏やかに健やかに、どうぞくたばっていってください。
それではみなさん、さようなら!