<後半・質疑応答>TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(文字起こし)
TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(動画・すべて文字起こし)
のつづき質疑応答部分
(右から順に・敬称略)
鳥越俊太郎
金平茂紀
田勢康弘
田原総一朗
岸井成格
川村晃司
大谷昭宏
青木理
文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=33m36s
鳥越:
ご質問をお受けいたします。
出来れば、会社名を名乗ったうえで、誰に質問するかという事を御指名の上、質問していただければありがたいと思います。
何でも結構です、どうぞ。
田中龍作:
フリーのジャーナリストで田中龍作と申します。よろしくおねがいいたします。
こうやって反対の声をあげる事は、私はもちろん大賛成ですが、声をあげるのがこれ、遅きに失したのではないか?と思っています。
今、マスコミのバッシングを浴びている、無所属のある参議院議員は、9月ごろからこの危険性を訴えて、全国行脚していました。
それで、新聞テレビの会社の幹部はですね、打ちこぞって、安倍首相と会食している訳ですが、
国民の多くはこれにですね、「何か取引をしているんじゃないか」と眉をひそめております。
で、それをですね、批判できないみなさん達がですね、ここで「秘密保護法案反対だ」って言ったところで、
やっぱり、この人達またなんか・・・、みなさん達がやっているという訳じゃないですよ。
そういうテレビ局の人が言ったからといって、やはりというメディア不信。
さっき田勢さんもおっしゃったメディア不信があって、今一つ説得力がないんじゃないかと思うんですが、
えー、質問は二つです。
・遅きに失したのではないか?
・メディア自らが襟を正すべきではないか?
この二つです、どなたでも結構です。
しいて言えば皆さん答えて下さい。
田原:
今月の朝まで生テレビは、この問題をまともに取り上げます。
まともに、ね。
だから、上が何を考えようと、朝まで生テレビは、これをまともに取り上げます。
岸井:
ま、今日は、基本的に個人の参加で、どこに所属しているという事は無し、という立場になっていますから、
あえて言いませんけれども、ずっと取り上げてきていますよ、ずっと。
だから、ただあえて反省すると、さっき言ったように
「まさか通るとは思わなかった」のが、「ひょっとしたら通るかもしれない」という、
その感覚のずれはちょっとあるかもしれません。
田原:
ほぼ通ると思う。
大谷さんが詳しいと思うけれど、多分12月にね、会期を延長しますよ。
野党は、会期延長のところで妥協しますよ、たぶん。
それで通る。
大谷:
そういう意味では、遅きに失したという今のご質問を受けられたんですが、
確かに、遅きに失しているかもしれないんですね。
ただね、「通るかもしれない」けど、「これは危ないぞ、危ないぞ、とんでもない法律だ」という事をですね、
声を高く言っておけばですね、そう簡単に動けないと思うんですね。
これ、実質的にやるのは公安警察ですよ。
手を下すのは公安警察ですから、これが6年も7年も経って、
「実はこういう事をやって、こいつはこんな取材をした」というときになったら、
国民はそれに慣らされてきている訳ですよね。
「あいつはあんな取材をしてとんでもない奴だ、やられて当然だな」という形になる。
その時期を待っていると思うんですね。
だから私たちは、通ろうと通らなかろうと、とにかくこの法律は危ないんだと言い続けてですね、
残念ながら、向こうに刀が渡ってしまったら、どうやってその刀を使わせないかと言う事のためにはですね、
御批判の、確かに遅かった事はあるかもしれませんけれども、
「使えないようにしていく」という努力をですね、間断なくやっていかなければいけない。
おそらく警察はですね、いきなり記者のみなさんを逮捕するという様な事は、しないと思うんですね。
何より彼らが欲しいのは、家宅捜索ですから。
みなさんのパソコンとか履歴とか、
「こいつは誰と会っているんだ?なんでこんな記事が書けるんだ?」
なにも、本人の身柄を押さえなくてもいいんですね、家宅捜索っていうのは。
今は、「新幹線の切符よりも家宅捜索令状の方が取りやすい」と言われているんです。
まずはそれを頻繁に取ってですね、
がんじがらめに、我々の情報を取っていこうという流れが出てくる、と思うんですね。
誰だって、岸井さんのパソコンみたい、田原さんのパソコンみたい、青木さんのパソコンを見たい、
それだけで十分だっていう気があるわけですよ。
だから、危ないから抜かせないと、いう努力を引き続きやっていかないといけないと思うんですね。
朝日新聞:
朝日新聞の川村です。
金平さんに伺いたいんですけれども、先ほど、2002年の例を持ち出されましたけれども、
今回、声明の下も、ま、意味があって黒塗りをされていると思うんですが、
この声明の趣旨には賛成であると、だけども名前を今回は出したくない、というキャスターの方は、
複数に、あるいは少なくとも何人とか、今回はいらしたんでしょうか?
それをちょっとお聞きしたいんです。
金平:
「国家安全秘密上の理由からお答えできません」、というふうに言うのは簡単なんですけどね、
あの・・・あのね、私は、鳥越さんとかみなさんと相談しながら、声かけのお手伝いをボランティアでやったんですがね、
2002年の時、さっき田原さんも言っていたように、1を除いた4から12までずっと並んで、みんなが自由にものを言えた当時と今は・・・、
全くやっぱり状況が違っているというのを、身にしみてわかりましたですね。
えー・・・かなりの数の人が、この呼び掛け文には、「もっともだ」と、「その通りなんだけどね・・・」というテンテンテンのあとに、
「時間をください」となってですね。
まず、やった事というのはその、まずメインで仕事をしている局のプロデューサとか、あるいは、上司にお伺いを立てる、という事をやるんですよね。
で、「これは個人参加ですから、一人のジャーナリストとして、どういうふうに思うという事を言いたい、ということは重要だと思います」という様な事を言ったんですが、
「いや、そうは言っても私は・・・」という様な、あるいは「ちょっと今時期が悪い」
それから、「私たちが所属している組織全体が、今実は、もっともっと、これよりも危ない攻撃を、今の政権からされている」という様な事をおっしゃってですね、
えー、大体想像がつくと思うんですが、そこの人達は、とても怯えていました。
その、「怯えている」ということを正直に、私には言ってくれましたね。
「怖い」って言っていましたね。
で、その怯えている状況というのが、むしろこの法案の本質だと思いますね。
この法案の、実は作成過程も秘密です、これ、実は。
検討委員会とか、作業グループの議事録というものを、情報公開請求したら、真っ黒なものが返ってきたんですね。
これが、どういう人達によって、どういう話し合いによって出来あがった法案なのか?、というのも、全部秘密です。
で、この法案が出来ることに、反対の意思を表示しようとした場合に、なんとなく怖れを感じることの本質というのは、
僕は、この法案が持っている恐ろしさだなという事を、このアピールの呼びかけをボランティアでやった時に、つくづくと感じましたですね。
ただ、今回は、すごく短時間で、ま、遅きに失したというふうにおっしゃっていましたけれども、
それは、田勢さんがさっき言ったように、今の政権が、メディア不信を利用しながら、これをやっていってるんですよね。
で、そこがすごく大事なことで、メディア不信を利用しながら、これを通そうとしている、というところに目が向かないとですね、
「またあんたたちがやったって、だれも信用してくれないよ」というような言い方というのは、
とても僕はあの…良くないと思います。ね、正直言って。
今はそんな事をやっている時期じゃない、と思いますね。
えー、ここに加わろうとしている人は、これから増えると思いますね。
僕らはこれをやって、ラジオに、今回声をかける事が出来なかった。
それから関西の人とか、地域ですごく一生懸命やっている人たちも、実はものすごく危機感を持っていて、
その人たちも声をかけると、すぐに加わってくるという事があると思いますね。
で、今回は、とりあえずやらないともう、事態がどんどんどんどん進んでしまうので、一回ここでやっておこうという、ま、キックオフですよね。
だから、「これは始まりにすぎません」という文言で結ばれているんですけれども、
そういう息苦しさみたいなものが、僕は、この法案の本質だという事を感じた、という次第ですね。
青木:
あのー、僕、一個だけ付けたしてもいいですか?
この中で、おそらく40代って、僕だけだと思うんですね。
で、2002年の頃というのは、僕は通信社の現役の記者でですね、
おそらくみなさんと同じように、例えばこういう場だったら、取材する側に居たんですけれども、
やっぱりこの10年間ぐらいで、急速に、メディアが、おそらく内部でですね、息苦しくなっているんですね。
これは別に、どこの社がとか、新聞社がとか、テレビがということなく、ほぼ共通する現象だと思うんですね。
で、別に、ここにいらっしゃる先輩方の、ゴマをするわけじゃないんですけれども、
この先輩方がいらっしゃった時代よりも、確実に悪くなっている、ように感じるのは、多分僕だけじゃないと思うんですが、
これはやっぱり、世代論は僕は嫌いですけれど、僕らの世代が悪くしているんじゃないだろうか?
声をあげるべき時に、あげられなくなっているんじゃないか?
どうもみんな、臆病になっているんじゃないか?っていうような事をですね、ものすごく強く感じるんですね。
筑紫さんが、僕は、個人的には、筑紫さんとはほとんどお付き合いはなかったんですけれども、
筑紫さんがお亡くなりになって、ここにいる皆さんもみんな、筑紫さんや筑紫さんとほぼ同年代の方々で、
この先輩方がいたころよりも、悪くなっているという事をやっぱり、これはたまたま、僕は今日、こっち側に座っていますけれども、
そちら側居座っているみな、僕と同世代、あるいはもっと若い記者のみなさんは、
本当に問題点を共有してですね、もっと声をあげるべきだろうと、もっと自由に振る舞うべきじゃないかなというふうに、
僕の自己反省も含めて、今日は強く思いました。
岸井:
もうひとつ、先ほど金平さんが、キックオフって言いましたけどね、
大体、今現在、「名前を出せないけど」っていう人達が、10人前後いますよね。
それと、ご存じのとおり、地方紙を含めると、新聞は、かなりの数の新聞が、すでに社説で、
何回も、「廃案を求める」という社説を掲げていますからね。
だから、いずれそういう、いろんな形の連携というのは、出てくるんじゃないかなと、思いますね。
田勢:
さっき、メディアの首脳陣が総理と会食している、という話をされたとおもいますけれども、
この法律の危険性は、少し別に、やっぱり、メディアと政権の距離感っていうのが、私は非常におかしくなっていると思うんですね。
で、今の官邸は、非常に狡猾になってきて、
いつのどの番組に総理が出るかというのは、直前に官邸が決めるというふうに完全にしちゃったんですね。
それからその新聞のインタビューを受けるかというのも、官邸が全部主導権を握って決めると。
そうすると、新聞でもテレビでも、どうしても総理大臣を出したいと、上の方が思うもんですから、
やっぱり番組をつくっている人たちも、「そろそろ総理を出さないとまずいんじゃないか」みたいな雰囲気になってきて、
それが、かなり利用されているところがある、と思うんですね。
私がかねがね思っているのは、たとえば日本に必要なのは、
ニューヨークタイムスというのは、めったに、大統領のインタビューはやらないんですよ。
「そんな下品なことはできるか」というのをプライドにして売っているんですね。
そういう文化を日本もつくらなきゃいけないな、と。ま、余計な話ですけれども思いました。
(※本当にそう思う。総理大臣の方から「お願いだから僕を出してくれ」と言わせるくらいに、無視しちゃえばいいのに。安倍のインタビューなんかいらないと思います)
http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=45m55s
共同通信:
共同通信の吉田です。
2002年の話が出たんですけれども、その前の、1985年の国家秘密法案。
自民党が、確か中曽根政権の時ですが、自民党が提案して、廃案になって、
その翌年にも、修正案を出そうとしたけれども、国会にも出せなかったと、
その時と比べて、先ほど、岸井さん田勢さんから、「国会議員の危機感が足りない」とかですね、
それから、「世の中が騒然としていない」という話がありましたけれども、
その30年近く前と比べて、国会議員がどう変わっているのか?
さらに、我々メディアも含めて、当時の世論と今の世論が、どうしてこう違っているのか?
その二つについて、お二人にお尋ねしたいんですが。
岸井:
これは、いろんな視点があると思うんで、私の立場で「こうだ」と決めつけてお話しするのは、なかなか難しいところがありますけれども、
最近の動きでちょっと感じるのは、「世論が結構ね、右寄りになってきているのかな」っていう感じがするんですよね。
それは、ひとつは、メディア不信に乗じている部分があるでしょうし、それからこの法律を出す、NSCをつくっているという理由。
法案の前文に、目的と、それから提案理由というのが書いてありますけど、
「最近の国際情勢」って必ず入っているんですよね。
「最近の国際情勢」に対して、そして自民党議員や野党議員が言う、「今の日本人は平和ボケをしている」と。
こういう風潮に、ひょっとするとのせられやすくなっちゃっているのかな?
ここは昔とちょっと違うなと。
つまりね、
あの中曽根内閣の頃は、ちょうど私は、ワシントン特派員をやっていた頃ですけれども、
しかし、与党議員も、そして官邸も、相当にね、「自制する」って言う気持ちが強かったですよね。
「これはちょっと無理かな」という感覚があると、
やっぱり、外からいろんな声も聞いて、諦めも早かったですよね。
で、今、そうでないというのは、そういう、時代のちょっとした違いと言いますかね、時代背景があるのかな、という感じはしていますけどね、
これわかりません。
明らかに、それを乗じているなというのは感じますね。
だって、「今、この国際情勢は」が、必ず入っている訳ですよ。
「だから必要だ」
そしてこの、ネットの発展、ここから漏れやすい。
「漏れる事によって、どれだけ国が危うくなるか」
「そう思ったら、これが必要でしょ」って、こういう説得の仕方をしているんですね。
だから、国際情勢とネットの伸展の二つを、大きな理由にしています。
これは、80年代の時にはあまりなかった事ですね。
田勢:
私は、今の政権の特殊性がかなりあるんじゃないかと思いますね。
「安倍カラ―」というのを何とか出したいと思って今、96条改正あたりから動き始めたんですけれども、
96条改正、それから靖国参拝、それから、従軍慰安婦問題の韓国批判。
「これだけは絶対にダメだ」と、アメリカにくぎを刺された、私の取材ではそうなんですね。
で、それは出来ないと言うので、アメリカが数少ないとして、「これはいいよ」と言ったのが、
NSCをつくるというのと、集団的自衛権はアメリカもまだ割れていますけれども、この秘密保護法。
これはまぁ、「日本からどんどん、我々の軍事情報が漏れるのはけしからん」とかねてから言っていた事なので、「これはいいよ」と。
ですから、「アメリカの手のひらの上で認められたのが、これだった」という感じがしますよね。
で、自民党の中でもこの問題で、かつてのリベラル系の人達は批判的なんですけれども、全く発言していないんですよね。
それは、この政権の党運営のうまさ、というのがあるんだろうと思いますね。
年が明けたらもう、人事があるとみんな思っていますから、
「こんな時になんか変なことは言わない方が良い」というように、みんな沈黙しているんですよね。
そういう状況があると思います。
大谷:
補足していいですか?
あの、1985年の中曽根内閣の時のスパイ防止法というのは、明らかに旧ソ連を対象にしてですね、そこに目的を設定している訳ですね。
ですから、東西冷戦、あるいは東西冷戦が終わりつつある時と今とは、大分情勢が違う。
一体、今は何を、こんなに焦って作る必要があるのか?
ま、当然、中国とか北朝鮮とか、あるいはテロとかという項目を入れている訳ですけれども、
むしろあの時の方が、自民党の議員の中に、「こんな危ないものを通せるか」と。
中曽根さんが、非常に強権力を発揮していたのにもかかわらず、席を立つ議員が沢山出てきたという事から比べると、
随分おかしなことになっているんではないかと。
それからもう一点は、二言目には「日本はスパイ天国だ」と「スパイがうじゃうじゃいるんだ」と。
でも日本にも、自衛隊法には、懲役5年以下と軍事に対しては定められていますし、
国家公務員法、ならびに地方公務員法では、懲役1年以下と、これはま、刑罰的には低いかもしれませんけど、
そういう事で、この15年間に引っ掛かったというのは、僅か5件なんですよ。
なんでそれがスパイがうじゃうじゃいるのか、と。
国家公務員法とか地方公務員法とかは、職務上知り得た秘密という、非常に漠然としていて、誰でもひっかけられる法律なんですね。
それがありながら、15年間で5件しか引っ掛かってない。
じゃあ、どこがスパイ天国で、スパイがうじゃうじゃいるのか?
これは明らかにプロパガンダで、15年間で5件しかない。
しかも、国家公務員法がちゃんとあるにもかかわらず、誰が秘密を漏らしているの?
誰がスパイと接触しているのか?と。
いう事からすると、
「最初からこういう法律は必要ないのもかかわらず、あえて作ろうとしている」としか、私には思えないですね。
http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=51m30s
Q:
呼びかけ人の人数の、正確な数を教えていただきたいのと、
秘密保護法案が、生活の場にどんな悪影響があるのか?どういう影響があると考えていらっしゃるのか?を、
みなさんそれぞれに、お聞きしたいと思います。
鳥越:
呼びかけ人の数は、ここに書いてある通りです。
もちろん、先ほど金平さんから話があったように、
「個人的には反対することに賛成だけれども、自分が所属している組織との兼ね合いで、今名前は出せません」
とおっしゃる人たちが、複数いらっしゃる事は事実です。
だから、ここに、名前は呼びかけ人という形では出ていません。
だから今、呼びかけ人という形で名前を出しているのは、ここに書かれている人だけです。
但し、何べんも言うように「気持ちはあるけれど出せない」という人が何人もいる。
複数いらっしゃるということも、事実です。
田原:
具体的に言いますとね、たとえばこの間も、石破さんに言ったんだけども、集団的自衛権をどうするか?と。
その時に、たとえば、第一次安倍内閣で4類型というのがあったの。
で、この4類型よりももっと範囲が広がるのか?
あるいは具体的に、これとこれとこれをやるのか?
という事が一切聞けなくなります。
そういう取材ができなくなる。
だから、「石破さんには今だから聞けるけれど、秘密保護法が通ったらこんなことは聞けないよね?」
って聞いたら、彼は苦笑していました。
いっぱいあります。
原発の問題も、ほとんど取材できないと思います。
これはテロと関係するから。
ーー:潜入取材ができなくなりますよね?
田原:
これは週刊誌がいつもやる、たとえば東電の原発の中に作業員として潜入して、後に雑誌に書くなんていう事は一切できないね。
大谷:
我々の生活にどんな関係があるのか?とおっしゃっていましたけれども、
先日、海渡雄一弁護士と重里さんと私で、この問題を1時間やったんですが、
あの福島みずほさんのご主人ですね、その海渡さんが、
あんまり皆さん知らないでしょうけれども、福島原発の大変な事故の時に、東京消防庁が、
例のこういう、キリンみたいな消火装置を持って、「どこから放水したら一番効果的か?」という事で、
東京電力福一に、「設計図を出してほしい」という話をしたら、東京電力の本社が「これはテロ対策資料なので出せない」と。
放射線がボンボコボンボコ出てきて、国民の命が危ない、少なくともあれだけの被害を出している、
にもかかわらず、東京消防庁が応援に行くという要請に関して、
「テロに関わるからこの資料は出せない」と、
それは国民の生活じゃなくて、国民の命にかかわる事ですよね。
だから、私は、東京消防庁が資料を要求して、東電が断って、最後、国会議員が一括して出してきたという事に関しては、
海渡さんからの又聞きですので、裏を取るためにもしお調べになるのなら、ぜひ調べていただきたいと思います。
岸井:
それと、さっきサイバー的な話も出ましたけれども、
一般というとなかなか広がっちゃって、説明しにくいところもありますけれども、
もうひとつ重要な法律と方針の変更がある。
「武器輸出三原則の見直し」というのがあるんですよね。
これは、共同開発を進めるという事になる。
つまり、私が聞いているところでは、まず、即特定秘密になるのが軍事情報です。
特に、武器の設計図とか暗号とか、というものになるんですね。
そうすると、今までの軍事産業と言われているような、自衛隊と契約をして武器を生産している会社、
さらにこれから、アメリカの技術と提携して、アメリカに武器を、現実には輸出する会社。
これは全部、引っかかりますよね。
だからここで、そういうふうな情報をサイバー的にやられても、下手をすれば引っ掛かるという事になりますからね。
だから、そういう社の仕事を、家に持って帰れなくなるんですね。
一般的にどうか?という話とは別ですけど、少なくても、目の前にそういうふうな問題は出てきます。
青木:
あのー、一般市民の問題という事になると、これ、先程も申し上げましたけれども、
基本的に、事務局が、内閣情報調査室なんですよね。
公安警察の事実上の母体なんですけれども。
つまり、すなわち警察的な発想がものすごく強い外交防衛にテロ対策というのをくっつければですね、およそ警察の何でもかんでもが秘密にできる。
この間、国会答弁でも出ていましたけれど、
「原発警備というのが特定秘密になり得る」という答弁をしたようですけれども、
「原発警備」というものが、特定秘密に本当になり得るのならば、さっきどなたかがおっしゃっていましたけれども、
市民団体なんかが、小高い丘の上から福島原発を撮って、そこに警察官が映っていると、
場合によっては、特定秘密法を漏えいした、という事になりかねないですし、
最近ですと、僕なんかはつくづく思っているのは、たとえばNシステムなんていうのは、
警察はいまだに、どういうところに配置していて、どれ位の予算を使ってなんて、基本的に明らかにしていませんけど、
これは100%、特定秘密になるでしょうね。
そうなってくると、Nシステムのために、一体いくらぐらい予算を使っているのか?とか
あるいは、Nシステムがどこら辺に配置されているのか?なんていう事は、基本的に知り得ないし、知ろうとしたら違反になる。
(※Nシステム=自動車ナンバー自動読取装置
Nシステムを通過した車両(2輪を除く)を全て記録し、警察の手配車リストと照会する)
あるいは、自衛隊の配置だって、情報保全隊などが問題にしていますけれども、特定秘密になり得るでしょうし、
極端に言えば、オスプレイが「何機配備されて、いつどこに飛んでいくのか」なんていうのは、特定秘密にされかねないなというふうに、僕は思いますから、
やっぱり一般市民の生活、「知る権利」という問題ももちろんですけれども、
一般市民が、本当に生活に密着するような場面でも、必ず特定秘密で知れなくなるという事は、おびただしく出てくる。
ま、それが先程来、先輩方がおっしゃっているように、どんどん拡大されていきかねない。
事実上、法案を読む限りは、拡大できるようになっているという事だと思います。
金平:
一個だけ、ちょっと言い忘れた。
あの、「公益通報者の保護法(平成16年法律第122号)」っていうのがあるんですよ。
これは、要するに内部告発というか、組織の内部にいる人間が内部告発をした、その人間を保護する、という法律なんですけれどもね、
この法律は、多分、死文化すると思いますよね。
ほとんど何もできなくなりますね。
それだけちょっと付け加えておきます。
鳥越:
一応、会場は3時までの時間ですよね、じゃ、川村さん最後に。
川村:
生活にどういうふうなかかわりがあるか?という事なんですけど、
この全文を読むと別表に、たとえばの話ですが、
特定有害活動の防止に関して、収集した外国の政府、または国際機関からの情報、その他の重要な情報。
「その他」というのがですね、この別表だけで11あります。
全体の法律の中でも、全文の中にも、これが36あるわけですけれども、
後で、「その他」のところにそれを入れこむという。
たとえば、これが、アメリカと日本の情報共有のために、というのはよく言われている訳ですけど、
アメリカですでにですね、チェック機関があって、国立公文書館とか、いわゆる検証に耐え得るチェックを、同時にしている訳ですけれども、
その中で、すでに情報が公開されて、たとえば、「沖縄の米軍基地の構造はこうなっています」というようなことが、
アメリカからは情報を得られているのに、日本は特定秘密になっているというような時には、
日本で報道することが、「その他」というところに入るとすればですね、これは非常に大きな、国際的な問題としても、矛盾を抱えている法案だという事を、
我々の生活の中にも、後で、「その他」にあなたのやっている活動は匹敵しますよ、ということが
入りこむ危険性が非常に大きい、という事を申し上げておきたいと思います。
鳥越:
これはですね、おそらく、1時間でも2時間でも議論になり得る事なので、
一応会場が3時までという事になっておりますので、会見はここでお終らさせていただきます。
但し、この声明文の最後に書いてありますように、「これは始まりにすぎません」という事で、
我々一同は、「これで終わり」という事ではございません。
これは始まりですので、
「これからも、法案の廃案を求めて、出来るだけの事はやっていく」ということはお約束できるかと思います。
今日はみなさん、どうもありがとうございました。
TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(動画・すべて文字起こし)
のつづき質疑応答部分
(右から順に・敬称略)
鳥越俊太郎
金平茂紀
田勢康弘
田原総一朗
岸井成格
川村晃司
大谷昭宏
青木理
文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=33m36s
鳥越:
ご質問をお受けいたします。
出来れば、会社名を名乗ったうえで、誰に質問するかという事を御指名の上、質問していただければありがたいと思います。
何でも結構です、どうぞ。
田中龍作:
フリーのジャーナリストで田中龍作と申します。よろしくおねがいいたします。
こうやって反対の声をあげる事は、私はもちろん大賛成ですが、声をあげるのがこれ、遅きに失したのではないか?と思っています。
今、マスコミのバッシングを浴びている、無所属のある参議院議員は、9月ごろからこの危険性を訴えて、全国行脚していました。
それで、新聞テレビの会社の幹部はですね、打ちこぞって、安倍首相と会食している訳ですが、
国民の多くはこれにですね、「何か取引をしているんじゃないか」と眉をひそめております。
で、それをですね、批判できないみなさん達がですね、ここで「秘密保護法案反対だ」って言ったところで、
やっぱり、この人達またなんか・・・、みなさん達がやっているという訳じゃないですよ。
そういうテレビ局の人が言ったからといって、やはりというメディア不信。
さっき田勢さんもおっしゃったメディア不信があって、今一つ説得力がないんじゃないかと思うんですが、
えー、質問は二つです。
・遅きに失したのではないか?
・メディア自らが襟を正すべきではないか?
この二つです、どなたでも結構です。
しいて言えば皆さん答えて下さい。
田原:
今月の朝まで生テレビは、この問題をまともに取り上げます。
まともに、ね。
だから、上が何を考えようと、朝まで生テレビは、これをまともに取り上げます。
岸井:
ま、今日は、基本的に個人の参加で、どこに所属しているという事は無し、という立場になっていますから、
あえて言いませんけれども、ずっと取り上げてきていますよ、ずっと。
だから、ただあえて反省すると、さっき言ったように
「まさか通るとは思わなかった」のが、「ひょっとしたら通るかもしれない」という、
その感覚のずれはちょっとあるかもしれません。
田原:
ほぼ通ると思う。
大谷さんが詳しいと思うけれど、多分12月にね、会期を延長しますよ。
野党は、会期延長のところで妥協しますよ、たぶん。
それで通る。
大谷:
そういう意味では、遅きに失したという今のご質問を受けられたんですが、
確かに、遅きに失しているかもしれないんですね。
ただね、「通るかもしれない」けど、「これは危ないぞ、危ないぞ、とんでもない法律だ」という事をですね、
声を高く言っておけばですね、そう簡単に動けないと思うんですね。
これ、実質的にやるのは公安警察ですよ。
手を下すのは公安警察ですから、これが6年も7年も経って、
「実はこういう事をやって、こいつはこんな取材をした」というときになったら、
国民はそれに慣らされてきている訳ですよね。
「あいつはあんな取材をしてとんでもない奴だ、やられて当然だな」という形になる。
その時期を待っていると思うんですね。
だから私たちは、通ろうと通らなかろうと、とにかくこの法律は危ないんだと言い続けてですね、
残念ながら、向こうに刀が渡ってしまったら、どうやってその刀を使わせないかと言う事のためにはですね、
御批判の、確かに遅かった事はあるかもしれませんけれども、
「使えないようにしていく」という努力をですね、間断なくやっていかなければいけない。
おそらく警察はですね、いきなり記者のみなさんを逮捕するという様な事は、しないと思うんですね。
何より彼らが欲しいのは、家宅捜索ですから。
みなさんのパソコンとか履歴とか、
「こいつは誰と会っているんだ?なんでこんな記事が書けるんだ?」
なにも、本人の身柄を押さえなくてもいいんですね、家宅捜索っていうのは。
今は、「新幹線の切符よりも家宅捜索令状の方が取りやすい」と言われているんです。
まずはそれを頻繁に取ってですね、
がんじがらめに、我々の情報を取っていこうという流れが出てくる、と思うんですね。
誰だって、岸井さんのパソコンみたい、田原さんのパソコンみたい、青木さんのパソコンを見たい、
それだけで十分だっていう気があるわけですよ。
だから、危ないから抜かせないと、いう努力を引き続きやっていかないといけないと思うんですね。
朝日新聞:
朝日新聞の川村です。
金平さんに伺いたいんですけれども、先ほど、2002年の例を持ち出されましたけれども、
今回、声明の下も、ま、意味があって黒塗りをされていると思うんですが、
この声明の趣旨には賛成であると、だけども名前を今回は出したくない、というキャスターの方は、
複数に、あるいは少なくとも何人とか、今回はいらしたんでしょうか?
それをちょっとお聞きしたいんです。
金平:
「国家安全秘密上の理由からお答えできません」、というふうに言うのは簡単なんですけどね、
あの・・・あのね、私は、鳥越さんとかみなさんと相談しながら、声かけのお手伝いをボランティアでやったんですがね、
2002年の時、さっき田原さんも言っていたように、1を除いた4から12までずっと並んで、みんなが自由にものを言えた当時と今は・・・、
全くやっぱり状況が違っているというのを、身にしみてわかりましたですね。
えー・・・かなりの数の人が、この呼び掛け文には、「もっともだ」と、「その通りなんだけどね・・・」というテンテンテンのあとに、
「時間をください」となってですね。
まず、やった事というのはその、まずメインで仕事をしている局のプロデューサとか、あるいは、上司にお伺いを立てる、という事をやるんですよね。
で、「これは個人参加ですから、一人のジャーナリストとして、どういうふうに思うという事を言いたい、ということは重要だと思います」という様な事を言ったんですが、
「いや、そうは言っても私は・・・」という様な、あるいは「ちょっと今時期が悪い」
それから、「私たちが所属している組織全体が、今実は、もっともっと、これよりも危ない攻撃を、今の政権からされている」という様な事をおっしゃってですね、
えー、大体想像がつくと思うんですが、そこの人達は、とても怯えていました。
その、「怯えている」ということを正直に、私には言ってくれましたね。
「怖い」って言っていましたね。
で、その怯えている状況というのが、むしろこの法案の本質だと思いますね。
この法案の、実は作成過程も秘密です、これ、実は。
検討委員会とか、作業グループの議事録というものを、情報公開請求したら、真っ黒なものが返ってきたんですね。
これが、どういう人達によって、どういう話し合いによって出来あがった法案なのか?、というのも、全部秘密です。
で、この法案が出来ることに、反対の意思を表示しようとした場合に、なんとなく怖れを感じることの本質というのは、
僕は、この法案が持っている恐ろしさだなという事を、このアピールの呼びかけをボランティアでやった時に、つくづくと感じましたですね。
ただ、今回は、すごく短時間で、ま、遅きに失したというふうにおっしゃっていましたけれども、
それは、田勢さんがさっき言ったように、今の政権が、メディア不信を利用しながら、これをやっていってるんですよね。
で、そこがすごく大事なことで、メディア不信を利用しながら、これを通そうとしている、というところに目が向かないとですね、
「またあんたたちがやったって、だれも信用してくれないよ」というような言い方というのは、
とても僕はあの…良くないと思います。ね、正直言って。
今はそんな事をやっている時期じゃない、と思いますね。
えー、ここに加わろうとしている人は、これから増えると思いますね。
僕らはこれをやって、ラジオに、今回声をかける事が出来なかった。
それから関西の人とか、地域ですごく一生懸命やっている人たちも、実はものすごく危機感を持っていて、
その人たちも声をかけると、すぐに加わってくるという事があると思いますね。
で、今回は、とりあえずやらないともう、事態がどんどんどんどん進んでしまうので、一回ここでやっておこうという、ま、キックオフですよね。
だから、「これは始まりにすぎません」という文言で結ばれているんですけれども、
そういう息苦しさみたいなものが、僕は、この法案の本質だという事を感じた、という次第ですね。
青木:
あのー、僕、一個だけ付けたしてもいいですか?
この中で、おそらく40代って、僕だけだと思うんですね。
で、2002年の頃というのは、僕は通信社の現役の記者でですね、
おそらくみなさんと同じように、例えばこういう場だったら、取材する側に居たんですけれども、
やっぱりこの10年間ぐらいで、急速に、メディアが、おそらく内部でですね、息苦しくなっているんですね。
これは別に、どこの社がとか、新聞社がとか、テレビがということなく、ほぼ共通する現象だと思うんですね。
で、別に、ここにいらっしゃる先輩方の、ゴマをするわけじゃないんですけれども、
この先輩方がいらっしゃった時代よりも、確実に悪くなっている、ように感じるのは、多分僕だけじゃないと思うんですが、
これはやっぱり、世代論は僕は嫌いですけれど、僕らの世代が悪くしているんじゃないだろうか?
声をあげるべき時に、あげられなくなっているんじゃないか?
どうもみんな、臆病になっているんじゃないか?っていうような事をですね、ものすごく強く感じるんですね。
筑紫さんが、僕は、個人的には、筑紫さんとはほとんどお付き合いはなかったんですけれども、
筑紫さんがお亡くなりになって、ここにいる皆さんもみんな、筑紫さんや筑紫さんとほぼ同年代の方々で、
この先輩方がいたころよりも、悪くなっているという事をやっぱり、これはたまたま、僕は今日、こっち側に座っていますけれども、
そちら側居座っているみな、僕と同世代、あるいはもっと若い記者のみなさんは、
本当に問題点を共有してですね、もっと声をあげるべきだろうと、もっと自由に振る舞うべきじゃないかなというふうに、
僕の自己反省も含めて、今日は強く思いました。
岸井:
もうひとつ、先ほど金平さんが、キックオフって言いましたけどね、
大体、今現在、「名前を出せないけど」っていう人達が、10人前後いますよね。
それと、ご存じのとおり、地方紙を含めると、新聞は、かなりの数の新聞が、すでに社説で、
何回も、「廃案を求める」という社説を掲げていますからね。
だから、いずれそういう、いろんな形の連携というのは、出てくるんじゃないかなと、思いますね。
田勢:
さっき、メディアの首脳陣が総理と会食している、という話をされたとおもいますけれども、
この法律の危険性は、少し別に、やっぱり、メディアと政権の距離感っていうのが、私は非常におかしくなっていると思うんですね。
で、今の官邸は、非常に狡猾になってきて、
いつのどの番組に総理が出るかというのは、直前に官邸が決めるというふうに完全にしちゃったんですね。
それからその新聞のインタビューを受けるかというのも、官邸が全部主導権を握って決めると。
そうすると、新聞でもテレビでも、どうしても総理大臣を出したいと、上の方が思うもんですから、
やっぱり番組をつくっている人たちも、「そろそろ総理を出さないとまずいんじゃないか」みたいな雰囲気になってきて、
それが、かなり利用されているところがある、と思うんですね。
私がかねがね思っているのは、たとえば日本に必要なのは、
ニューヨークタイムスというのは、めったに、大統領のインタビューはやらないんですよ。
「そんな下品なことはできるか」というのをプライドにして売っているんですね。
そういう文化を日本もつくらなきゃいけないな、と。ま、余計な話ですけれども思いました。
(※本当にそう思う。総理大臣の方から「お願いだから僕を出してくれ」と言わせるくらいに、無視しちゃえばいいのに。安倍のインタビューなんかいらないと思います)
http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=45m55s
共同通信:
共同通信の吉田です。
2002年の話が出たんですけれども、その前の、1985年の国家秘密法案。
自民党が、確か中曽根政権の時ですが、自民党が提案して、廃案になって、
その翌年にも、修正案を出そうとしたけれども、国会にも出せなかったと、
その時と比べて、先ほど、岸井さん田勢さんから、「国会議員の危機感が足りない」とかですね、
それから、「世の中が騒然としていない」という話がありましたけれども、
その30年近く前と比べて、国会議員がどう変わっているのか?
さらに、我々メディアも含めて、当時の世論と今の世論が、どうしてこう違っているのか?
その二つについて、お二人にお尋ねしたいんですが。
岸井:
これは、いろんな視点があると思うんで、私の立場で「こうだ」と決めつけてお話しするのは、なかなか難しいところがありますけれども、
最近の動きでちょっと感じるのは、「世論が結構ね、右寄りになってきているのかな」っていう感じがするんですよね。
それは、ひとつは、メディア不信に乗じている部分があるでしょうし、それからこの法律を出す、NSCをつくっているという理由。
法案の前文に、目的と、それから提案理由というのが書いてありますけど、
「最近の国際情勢」って必ず入っているんですよね。
「最近の国際情勢」に対して、そして自民党議員や野党議員が言う、「今の日本人は平和ボケをしている」と。
こういう風潮に、ひょっとするとのせられやすくなっちゃっているのかな?
ここは昔とちょっと違うなと。
つまりね、
あの中曽根内閣の頃は、ちょうど私は、ワシントン特派員をやっていた頃ですけれども、
しかし、与党議員も、そして官邸も、相当にね、「自制する」って言う気持ちが強かったですよね。
「これはちょっと無理かな」という感覚があると、
やっぱり、外からいろんな声も聞いて、諦めも早かったですよね。
で、今、そうでないというのは、そういう、時代のちょっとした違いと言いますかね、時代背景があるのかな、という感じはしていますけどね、
これわかりません。
明らかに、それを乗じているなというのは感じますね。
だって、「今、この国際情勢は」が、必ず入っている訳ですよ。
「だから必要だ」
そしてこの、ネットの発展、ここから漏れやすい。
「漏れる事によって、どれだけ国が危うくなるか」
「そう思ったら、これが必要でしょ」って、こういう説得の仕方をしているんですね。
だから、国際情勢とネットの伸展の二つを、大きな理由にしています。
これは、80年代の時にはあまりなかった事ですね。
田勢:
私は、今の政権の特殊性がかなりあるんじゃないかと思いますね。
「安倍カラ―」というのを何とか出したいと思って今、96条改正あたりから動き始めたんですけれども、
96条改正、それから靖国参拝、それから、従軍慰安婦問題の韓国批判。
「これだけは絶対にダメだ」と、アメリカにくぎを刺された、私の取材ではそうなんですね。
で、それは出来ないと言うので、アメリカが数少ないとして、「これはいいよ」と言ったのが、
NSCをつくるというのと、集団的自衛権はアメリカもまだ割れていますけれども、この秘密保護法。
これはまぁ、「日本からどんどん、我々の軍事情報が漏れるのはけしからん」とかねてから言っていた事なので、「これはいいよ」と。
ですから、「アメリカの手のひらの上で認められたのが、これだった」という感じがしますよね。
で、自民党の中でもこの問題で、かつてのリベラル系の人達は批判的なんですけれども、全く発言していないんですよね。
それは、この政権の党運営のうまさ、というのがあるんだろうと思いますね。
年が明けたらもう、人事があるとみんな思っていますから、
「こんな時になんか変なことは言わない方が良い」というように、みんな沈黙しているんですよね。
そういう状況があると思います。
大谷:
補足していいですか?
あの、1985年の中曽根内閣の時のスパイ防止法というのは、明らかに旧ソ連を対象にしてですね、そこに目的を設定している訳ですね。
ですから、東西冷戦、あるいは東西冷戦が終わりつつある時と今とは、大分情勢が違う。
一体、今は何を、こんなに焦って作る必要があるのか?
ま、当然、中国とか北朝鮮とか、あるいはテロとかという項目を入れている訳ですけれども、
むしろあの時の方が、自民党の議員の中に、「こんな危ないものを通せるか」と。
中曽根さんが、非常に強権力を発揮していたのにもかかわらず、席を立つ議員が沢山出てきたという事から比べると、
随分おかしなことになっているんではないかと。
それからもう一点は、二言目には「日本はスパイ天国だ」と「スパイがうじゃうじゃいるんだ」と。
でも日本にも、自衛隊法には、懲役5年以下と軍事に対しては定められていますし、
国家公務員法、ならびに地方公務員法では、懲役1年以下と、これはま、刑罰的には低いかもしれませんけど、
そういう事で、この15年間に引っ掛かったというのは、僅か5件なんですよ。
なんでそれがスパイがうじゃうじゃいるのか、と。
国家公務員法とか地方公務員法とかは、職務上知り得た秘密という、非常に漠然としていて、誰でもひっかけられる法律なんですね。
それがありながら、15年間で5件しか引っ掛かってない。
じゃあ、どこがスパイ天国で、スパイがうじゃうじゃいるのか?
これは明らかにプロパガンダで、15年間で5件しかない。
しかも、国家公務員法がちゃんとあるにもかかわらず、誰が秘密を漏らしているの?
誰がスパイと接触しているのか?と。
いう事からすると、
「最初からこういう法律は必要ないのもかかわらず、あえて作ろうとしている」としか、私には思えないですね。
http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=51m30s
Q:
呼びかけ人の人数の、正確な数を教えていただきたいのと、
秘密保護法案が、生活の場にどんな悪影響があるのか?どういう影響があると考えていらっしゃるのか?を、
みなさんそれぞれに、お聞きしたいと思います。
鳥越:
呼びかけ人の数は、ここに書いてある通りです。
もちろん、先ほど金平さんから話があったように、
「個人的には反対することに賛成だけれども、自分が所属している組織との兼ね合いで、今名前は出せません」
とおっしゃる人たちが、複数いらっしゃる事は事実です。
だから、ここに、名前は呼びかけ人という形では出ていません。
だから今、呼びかけ人という形で名前を出しているのは、ここに書かれている人だけです。
但し、何べんも言うように「気持ちはあるけれど出せない」という人が何人もいる。
複数いらっしゃるということも、事実です。
田原:
具体的に言いますとね、たとえばこの間も、石破さんに言ったんだけども、集団的自衛権をどうするか?と。
その時に、たとえば、第一次安倍内閣で4類型というのがあったの。
で、この4類型よりももっと範囲が広がるのか?
あるいは具体的に、これとこれとこれをやるのか?
という事が一切聞けなくなります。
そういう取材ができなくなる。
だから、「石破さんには今だから聞けるけれど、秘密保護法が通ったらこんなことは聞けないよね?」
って聞いたら、彼は苦笑していました。
いっぱいあります。
原発の問題も、ほとんど取材できないと思います。
これはテロと関係するから。
ーー:潜入取材ができなくなりますよね?
田原:
これは週刊誌がいつもやる、たとえば東電の原発の中に作業員として潜入して、後に雑誌に書くなんていう事は一切できないね。
大谷:
我々の生活にどんな関係があるのか?とおっしゃっていましたけれども、
先日、海渡雄一弁護士と重里さんと私で、この問題を1時間やったんですが、
あの福島みずほさんのご主人ですね、その海渡さんが、
あんまり皆さん知らないでしょうけれども、福島原発の大変な事故の時に、東京消防庁が、
例のこういう、キリンみたいな消火装置を持って、「どこから放水したら一番効果的か?」という事で、
東京電力福一に、「設計図を出してほしい」という話をしたら、東京電力の本社が「これはテロ対策資料なので出せない」と。
放射線がボンボコボンボコ出てきて、国民の命が危ない、少なくともあれだけの被害を出している、
にもかかわらず、東京消防庁が応援に行くという要請に関して、
「テロに関わるからこの資料は出せない」と、
それは国民の生活じゃなくて、国民の命にかかわる事ですよね。
だから、私は、東京消防庁が資料を要求して、東電が断って、最後、国会議員が一括して出してきたという事に関しては、
海渡さんからの又聞きですので、裏を取るためにもしお調べになるのなら、ぜひ調べていただきたいと思います。
岸井:
それと、さっきサイバー的な話も出ましたけれども、
一般というとなかなか広がっちゃって、説明しにくいところもありますけれども、
もうひとつ重要な法律と方針の変更がある。
「武器輸出三原則の見直し」というのがあるんですよね。
これは、共同開発を進めるという事になる。
つまり、私が聞いているところでは、まず、即特定秘密になるのが軍事情報です。
特に、武器の設計図とか暗号とか、というものになるんですね。
そうすると、今までの軍事産業と言われているような、自衛隊と契約をして武器を生産している会社、
さらにこれから、アメリカの技術と提携して、アメリカに武器を、現実には輸出する会社。
これは全部、引っかかりますよね。
だからここで、そういうふうな情報をサイバー的にやられても、下手をすれば引っ掛かるという事になりますからね。
だから、そういう社の仕事を、家に持って帰れなくなるんですね。
一般的にどうか?という話とは別ですけど、少なくても、目の前にそういうふうな問題は出てきます。
青木:
あのー、一般市民の問題という事になると、これ、先程も申し上げましたけれども、
基本的に、事務局が、内閣情報調査室なんですよね。
公安警察の事実上の母体なんですけれども。
つまり、すなわち警察的な発想がものすごく強い外交防衛にテロ対策というのをくっつければですね、およそ警察の何でもかんでもが秘密にできる。
この間、国会答弁でも出ていましたけれど、
「原発警備というのが特定秘密になり得る」という答弁をしたようですけれども、
「原発警備」というものが、特定秘密に本当になり得るのならば、さっきどなたかがおっしゃっていましたけれども、
市民団体なんかが、小高い丘の上から福島原発を撮って、そこに警察官が映っていると、
場合によっては、特定秘密法を漏えいした、という事になりかねないですし、
最近ですと、僕なんかはつくづく思っているのは、たとえばNシステムなんていうのは、
警察はいまだに、どういうところに配置していて、どれ位の予算を使ってなんて、基本的に明らかにしていませんけど、
これは100%、特定秘密になるでしょうね。
そうなってくると、Nシステムのために、一体いくらぐらい予算を使っているのか?とか
あるいは、Nシステムがどこら辺に配置されているのか?なんていう事は、基本的に知り得ないし、知ろうとしたら違反になる。
(※Nシステム=自動車ナンバー自動読取装置
Nシステムを通過した車両(2輪を除く)を全て記録し、警察の手配車リストと照会する)
あるいは、自衛隊の配置だって、情報保全隊などが問題にしていますけれども、特定秘密になり得るでしょうし、
極端に言えば、オスプレイが「何機配備されて、いつどこに飛んでいくのか」なんていうのは、特定秘密にされかねないなというふうに、僕は思いますから、
やっぱり一般市民の生活、「知る権利」という問題ももちろんですけれども、
一般市民が、本当に生活に密着するような場面でも、必ず特定秘密で知れなくなるという事は、おびただしく出てくる。
ま、それが先程来、先輩方がおっしゃっているように、どんどん拡大されていきかねない。
事実上、法案を読む限りは、拡大できるようになっているという事だと思います。
金平:
一個だけ、ちょっと言い忘れた。
あの、「公益通報者の保護法(平成16年法律第122号)」っていうのがあるんですよ。
これは、要するに内部告発というか、組織の内部にいる人間が内部告発をした、その人間を保護する、という法律なんですけれどもね、
この法律は、多分、死文化すると思いますよね。
ほとんど何もできなくなりますね。
それだけちょっと付け加えておきます。
鳥越:
一応、会場は3時までの時間ですよね、じゃ、川村さん最後に。
川村:
生活にどういうふうなかかわりがあるか?という事なんですけど、
この全文を読むと別表に、たとえばの話ですが、
特定有害活動の防止に関して、収集した外国の政府、または国際機関からの情報、その他の重要な情報。
「その他」というのがですね、この別表だけで11あります。
全体の法律の中でも、全文の中にも、これが36あるわけですけれども、
後で、「その他」のところにそれを入れこむという。
たとえば、これが、アメリカと日本の情報共有のために、というのはよく言われている訳ですけど、
アメリカですでにですね、チェック機関があって、国立公文書館とか、いわゆる検証に耐え得るチェックを、同時にしている訳ですけれども、
その中で、すでに情報が公開されて、たとえば、「沖縄の米軍基地の構造はこうなっています」というようなことが、
アメリカからは情報を得られているのに、日本は特定秘密になっているというような時には、
日本で報道することが、「その他」というところに入るとすればですね、これは非常に大きな、国際的な問題としても、矛盾を抱えている法案だという事を、
我々の生活の中にも、後で、「その他」にあなたのやっている活動は匹敵しますよ、ということが
入りこむ危険性が非常に大きい、という事を申し上げておきたいと思います。
鳥越:
これはですね、おそらく、1時間でも2時間でも議論になり得る事なので、
一応会場が3時までという事になっておりますので、会見はここでお終らさせていただきます。
但し、この声明文の最後に書いてありますように、「これは始まりにすぎません」という事で、
我々一同は、「これで終わり」という事ではございません。
これは始まりですので、
「これからも、法案の廃案を求めて、出来るだけの事はやっていく」ということはお約束できるかと思います。
今日はみなさん、どうもありがとうございました。