ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

声を上げるべき立場の者が怯えている状況というのが、この『特定秘密保護法』の本質

2013年11月14日 | 日本とわたし
<後半・質疑応答>TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(文字起こし)

TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(動画・すべて文字起こし)
のつづき質疑応答部分


(右から順に・敬称略)
鳥越俊太郎
金平茂紀
田勢康弘
田原総一朗
岸井成格
川村晃司
大谷昭宏
青木理

文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=33m36s

鳥越:
ご質問をお受けいたします。
出来れば、会社名を名乗ったうえで、誰に質問するかという事を御指名の上、質問していただければありがたいと思います。
何でも結構です、どうぞ。


田中龍作:
フリーのジャーナリストで田中龍作と申します。よろしくおねがいいたします。
こうやって反対の声をあげる事は、私はもちろん大賛成ですが、声をあげるのがこれ、遅きに失したのではないか?と思っています。
今、マスコミのバッシングを浴びている、無所属のある参議院議員は、9月ごろからこの危険性を訴えて、全国行脚していました。
それで、新聞テレビの会社の幹部はですね、打ちこぞって、安倍首相と会食している訳ですが、
国民の多くはこれにですね、「何か取引をしているんじゃないか」と眉をひそめております。
で、それをですね、批判できないみなさん達がですね、ここで「秘密保護法案反対だ」って言ったところで、
やっぱり、この人達またなんか・・・、みなさん達がやっているという訳じゃないですよ。
そういうテレビ局の人が言ったからといって、やはりというメディア不信。
さっき田勢さんもおっしゃったメディア不信があって、今一つ説得力がないんじゃないかと思うんですが、
えー、質問は二つです。
・遅きに失したのではないか?
・メディア自らが襟を正すべきではないか?

この二つです、どなたでも結構です。
しいて言えば皆さん答えて下さい。

田原:
今月の朝まで生テレビは、この問題をまともに取り上げます
まともに、ね。
だから、上が何を考えようと、朝まで生テレビは、これをまともに取り上げます。

岸井:
ま、今日は、基本的に個人の参加で、どこに所属しているという事は無し、という立場になっていますから、
あえて言いませんけれども、ずっと取り上げてきていますよ、ずっと
だから、ただあえて反省すると、さっき言ったように
まさか通るとは思わなかった」のが、「ひょっとしたら通るかもしれない」という、
その感覚のずれはちょっとあるかもしれません

田原:
ほぼ通ると思う
大谷さんが詳しいと思うけれど、多分12月にね、会期を延長しますよ。
野党は、会期延長のところで妥協しますよ、たぶん。
それで通る。

大谷:
そういう意味では、遅きに失したという今のご質問を受けられたんですが、
確かに、遅きに失しているかもしれないんですね。
ただね、「通るかもしれない」けど、「これは危ないぞ、危ないぞ、とんでもない法律だ」という事をですね、
声を高く言っておけばですね、そう簡単に動けないと思うんですね。
これ、実質的にやるのは公安警察ですよ。
手を下すのは公安警察ですから、これが6年も7年も経って
「実はこういう事をやって、こいつはこんな取材をした」というときになったら、
国民はそれに慣らされてきている訳ですよね。
あいつはあんな取材をしてとんでもない奴だ、やられて当然だな」という形になる。
その時期を待っていると思うんですね。
だから私たちは、通ろうと通らなかろうと、とにかくこの法律は危ないんだと言い続けてですね、
残念ながら、向こうに刀が渡ってしまったら、どうやってその刀を使わせないかと言う事のためにはですね、
御批判の、確かに遅かった事はあるかもしれませんけれども、
「使えないようにしていく」という努力をですね、間断なくやっていかなければいけない
おそらく警察はですね、いきなり記者のみなさんを逮捕するという様な事は、しないと思うんですね。
何より彼らが欲しいのは、家宅捜索ですから。
みなさんのパソコンとか履歴とか、
「こいつは誰と会っているんだ?なんでこんな記事が書けるんだ?」
なにも、本人の身柄を押さえなくてもいいんですね、家宅捜索っていうのは。
今は、「新幹線の切符よりも家宅捜索令状の方が取りやすい」と言われているんです。
まずはそれを頻繁に取ってですね、
がんじがらめに、我々の情報を取っていこうという流れが出てくる、と思うんですね。
誰だって、岸井さんのパソコンみたい、田原さんのパソコンみたい、青木さんのパソコンを見たい、
それだけで十分だっていう気があるわけですよ。
だから、危ないから抜かせないと、いう努力を引き続きやっていかないといけないと思うんですね。


朝日新聞:
朝日新聞の川村です。
金平さんに伺いたいんですけれども、先ほど、2002年の例を持ち出されましたけれども、
今回、声明の下も、ま、意味があって黒塗りをされていると思うんですが、
この声明の趣旨には賛成であると、だけども名前を今回は出したくない、というキャスターの方は、
複数に、あるいは少なくとも何人とか、今回はいらしたんでしょうか?
それをちょっとお聞きしたいんです。

金平:
「国家安全秘密上の理由からお答えできません」、というふうに言うのは簡単なんですけどね、
あの・・・あのね、私は、鳥越さんとかみなさんと相談しながら、声かけのお手伝いをボランティアでやったんですがね、
2002年の時、さっき田原さんも言っていたように、1を除いた4から12までずっと並んで、みんなが自由にものを言えた当時と今は・・・、
全くやっぱり状況が違っているというのを、身にしみてわかりましたですね。
えー・・・かなりの数の人が、この呼び掛け文には、「もっともだ」と、「その通りなんだけどね・・・」というテンテンテンのあとに、
「時間をください」となってですね。
まず、やった事というのはその、まずメインで仕事をしている局のプロデューサとか、あるいは、上司にお伺いを立てる、という事をやるんですよね。
で、「これは個人参加ですから、一人のジャーナリストとして、どういうふうに思うという事を言いたい、ということは重要だと思います」という様な事を言ったんですが、
「いや、そうは言っても私は・・・」という様な、あるいは「ちょっと今時期が悪い」
それから、「私たちが所属している組織全体が、今実は、もっともっと、これよりも危ない攻撃を、今の政権からされている」という様な事をおっしゃってですね、
えー、大体想像がつくと思うんですが、そこの人達は、とても怯えていました。
その、「怯えている」ということを正直に、私には言ってくれましたね。
怖い」って言っていましたね。
で、その怯えている状況というのが、むしろこの法案の本質だと思いますね。

この法案の、実は作成過程も秘密です、これ、実は。
検討委員会とか、作業グループの議事録というものを、情報公開請求したら、真っ黒なものが返ってきたんですね。

これが、どういう人達によって、どういう話し合いによって出来あがった法案なのか?、というのも、全部秘密です。

で、この法案が出来ることに、反対の意思を表示しようとした場合に、なんとなく怖れを感じることの本質というのは、
僕は、この法案が持っている恐ろしさだなという事を、このアピールの呼びかけをボランティアでやった時に、つくづくと感じましたですね。

ただ、今回は、すごく短時間で、ま、遅きに失したというふうにおっしゃっていましたけれども、
それは、田勢さんがさっき言ったように、今の政権が、メディア不信を利用しながら、これをやっていってるんですよね。

で、そこがすごく大事なことで、メディア不信を利用しながら、これを通そうとしている、というところに目が向かないとですね、
「またあんたたちがやったって、だれも信用してくれないよ」というような言い方というのは、
とても僕はあの…良くないと思います。ね、正直言って。
今はそんな事をやっている時期じゃない、と思いますね。

えー、ここに加わろうとしている人は、これから増えると思いますね。
僕らはこれをやって、ラジオに、今回声をかける事が出来なかった。
それから関西の人とか、地域ですごく一生懸命やっている人たちも、実はものすごく危機感を持っていて、
その人たちも声をかけると、すぐに加わってくるという事があると思いますね。

で、今回は、とりあえずやらないともう、事態がどんどんどんどん進んでしまうので、一回ここでやっておこうという、ま、キックオフですよね。
だから、「これは始まりにすぎません」という文言で結ばれているんですけれども、
そういう息苦しさみたいなものが、僕は、この法案の本質だという事を感じた、という次第ですね。

青木:
あのー、僕、一個だけ付けたしてもいいですか?
この中で、おそらく40代って、僕だけだと思うんですね。
で、2002年の頃というのは、僕は通信社の現役の記者でですね、
おそらくみなさんと同じように、例えばこういう場だったら、取材する側に居たんですけれども、
やっぱりこの10年間ぐらいで、急速に、メディアが、おそらく内部でですね、息苦しくなっているんですね。
これは別に、どこの社がとか、新聞社がとか、テレビがということなく、ほぼ共通する現象だと思うんですね。
で、別に、ここにいらっしゃる先輩方の、ゴマをするわけじゃないんですけれども、
この先輩方がいらっしゃった時代よりも、確実に悪くなっている、ように感じるのは、多分僕だけじゃないと思うんですが、

これはやっぱり、世代論は僕は嫌いですけれど、僕らの世代が悪くしているんじゃないだろうか?
声をあげるべき時に、あげられなくなっているんじゃないか?
どうもみんな、臆病になっているんじゃないか?っていうような事をですね、ものすごく強く感じるんですね。

筑紫さんが、僕は、個人的には、筑紫さんとはほとんどお付き合いはなかったんですけれども、
筑紫さんがお亡くなりになって、ここにいる皆さんもみんな、筑紫さんや筑紫さんとほぼ同年代の方々で、
この先輩方がいたころよりも、悪くなっているという事をやっぱり、これはたまたま、僕は今日、こっち側に座っていますけれども、
そちら側居座っているみな、僕と同世代、あるいはもっと若い記者のみなさんは、
本当に問題点を共有してですね、もっと声をあげるべきだろうと、もっと自由に振る舞うべきじゃないかなというふうに、
僕の自己反省も含めて、今日は強く思いました。

岸井:
もうひとつ、先ほど金平さんが、キックオフって言いましたけどね、
大体、今現在、「名前を出せないけど」っていう人達が、10人前後いますよね。
それと、ご存じのとおり、地方紙を含めると、新聞は、かなりの数の新聞が、すでに社説で、
何回も、「廃案を求める」という社説を掲げています
からね。
だから、いずれそういう、いろんな形の連携というのは、出てくるんじゃないかなと、思いますね。

田勢:
さっき、メディアの首脳陣が総理と会食している、という話をされたとおもいますけれども、
この法律の危険性は、少し別に、やっぱり、メディアと政権の距離感っていうのが、私は非常におかしくなっていると思うんですね。
で、今の官邸は、非常に狡猾になってきて、
いつのどの番組に総理が出るかというのは、直前に官邸が決めるというふうに完全にしちゃったんですね。
それからその新聞のインタビューを受けるかというのも、官邸が全部主導権を握って決めると。

そうすると、新聞でもテレビでも、どうしても総理大臣を出したいと、上の方が思うもんですから、
やっぱり番組をつくっている人たちも、「そろそろ総理を出さないとまずいんじゃないか」みたいな雰囲気になってきて、
それが、かなり利用されているところがある、と思うんですね。

私がかねがね思っているのは、たとえば日本に必要なのは、
ニューヨークタイムスというのは、めったに、大統領のインタビューはやらないんですよ。
そんな下品なことはできるか」というのをプライドにして売っているんですね。
そういう文化を日本もつくらなきゃいけないな、と。ま、余計な話ですけれども思いました。

(※本当にそう思う。総理大臣の方から「お願いだから僕を出してくれ」と言わせるくらいに、無視しちゃえばいいのに。安倍のインタビューなんかいらないと思います)

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=45m55s


共同通信:
共同通信の吉田です。
2002年の話が出たんですけれども、その前の、1985年の国家秘密法案。
自民党が、確か中曽根政権の時ですが、自民党が提案して、廃案になって、
その翌年にも、修正案を出そうとしたけれども、国会にも出せなかった
と、
その時と比べて、先ほど、岸井さん田勢さんから、「国会議員の危機感が足りない」とかですね、
それから、「世の中が騒然としていない」という話がありましたけれども、
その30年近く前と比べて、国会議員がどう変わっているのか?
さらに、我々メディアも含めて、当時の世論と今の世論が、どうしてこう違っているのか?
その二つについて、お二人にお尋ねしたいんですが。

岸井:
これは、いろんな視点があると思うんで、私の立場で「こうだ」と決めつけてお話しするのは、なかなか難しいところがありますけれども、
最近の動きでちょっと感じるのは、「世論が結構ね、右寄りになってきているのかな」っていう感じがするんですよね。
それは、ひとつは、メディア不信に乗じている部分があるでしょうし、それからこの法律を出す、NSCをつくっているという理由。
法案の前文に、目的と、それから提案理由というのが書いてありますけど、
最近の国際情勢」って必ず入っているんですよね。
「最近の国際情勢」に対して、そして自民党議員や野党議員が言う、「今の日本人は平和ボケをしている」と。
こういう風潮に、ひょっとするとのせられやすくなっちゃっているのかな?
ここは昔とちょっと違うなと。

つまりね、
あの中曽根内閣の頃は、ちょうど私は、ワシントン特派員をやっていた頃ですけれども、
しかし、与党議員も、そして官邸も、相当にね、「自制する」って言う気持ちが強かったですよね。
「これはちょっと無理かな」という感覚があると、
やっぱり、外からいろんな声も聞いて、諦めも早かったですよね。

で、今、そうでないというのは、そういう、時代のちょっとした違いと言いますかね、時代背景があるのかな、という感じはしていますけどね、
これわかりません。
明らかに、それを乗じているなというのは感じますね。
だって、「今、この国際情勢は」が、必ず入っている訳ですよ。
だから必要だ
そしてこの、ネットの発展、ここから漏れやすい。
「漏れる事によって、どれだけ国が危うくなるか」
「そう思ったら、これが必要でしょ」って、こういう説得の仕方をしている
んですね。

だから、国際情勢とネットの伸展の二つを、大きな理由にしています。
これは、80年代の時にはあまりなかった事ですね。

田勢:
私は、今の政権の特殊性がかなりあるんじゃないかと思いますね。
「安倍カラ―」というのを何とか出したいと思って今、96条改正あたりから動き始めたんですけれども、
96条改正、それから靖国参拝、それから、従軍慰安婦問題の韓国批判
「これだけは絶対にダメだ」と、アメリカにくぎを刺された、私の取材ではそうなんですね。
で、それは出来ないと言うので、アメリカが数少ないとして、「これはいいよ」と言ったのが
NSCをつくるというのと、集団的自衛権はアメリカもまだ割れていますけれども、この秘密保護法
これはまぁ、「日本からどんどん、我々の軍事情報が漏れるのはけしからん」とかねてから言っていた事なので、「これはいいよ」と。

ですから、「アメリカの手のひらの上で認められたのが、これだった」という感じがしますよね。

で、自民党の中でもこの問題で、かつてのリベラル系の人達は批判的なんですけれども、全く発言していないんですよね。
それは、この政権の党運営のうまさ、というのがあるんだろうと思いますね。

年が明けたらもう、人事があるとみんな思っていますから、
「こんな時になんか変なことは言わない方が良い」というように、みんな沈黙しているんですよね。
そういう状況があると思います。

大谷:
補足していいですか?
あの、1985年の中曽根内閣の時のスパイ防止法というのは、明らかに旧ソ連を対象にしてですね、そこに目的を設定している訳ですね。
ですから、東西冷戦、あるいは東西冷戦が終わりつつある時と今とは、大分情勢が違う。

一体、今は何を、こんなに焦って作る必要があるのか?

ま、当然、中国とか北朝鮮とか、あるいはテロとかという項目を入れている訳ですけれども、
むしろあの時の方が、自民党の議員の中に、「こんな危ないものを通せるか」と
中曽根さんが、非常に強権力を発揮していたのにもかかわらず、席を立つ議員が沢山出てきたという事から比べると、
随分おかしなことになっているんではないかと。

それからもう一点は、二言目には「日本はスパイ天国だ」と「スパイがうじゃうじゃいるんだ」と。
でも日本にも、自衛隊法には、懲役5年以下と軍事に対しては定められていますし、
国家公務員法、ならびに地方公務員法では、懲役1年以下と、これはま、刑罰的には低いかもしれませんけど、

そういう事で、この15年間に引っ掛かったというのは、僅か5件なんですよ。

なんでそれがスパイがうじゃうじゃいるのか、と。
国家公務員法とか地方公務員法とかは、職務上知り得た秘密という、非常に漠然としていて、誰でもひっかけられる法律
なんですね。

それがありながら、15年間で5件しか引っ掛かってない。
じゃあ、どこがスパイ天国で、スパイがうじゃうじゃいるのか?
これは明らかにプロパガンダで、15年間で5件しかない。
しかも、国家公務員法がちゃんとあるにもかかわらず、誰が秘密を漏らしているの?
誰がスパイと接触しているのか?
と。

いう事からすると、
「最初からこういう法律は必要ないのもかかわらず、あえて作ろうとしている」としか、私には思えないですね。

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=51m30s


Q:
呼びかけ人の人数の、正確な数を教えていただきたいのと、
秘密保護法案が、生活の場にどんな悪影響があるのか?どういう影響があると考えていらっしゃるのか?を、
みなさんそれぞれに、お聞きしたいと思います。

鳥越:
呼びかけ人の数は、ここに書いてある通りです。
もちろん、先ほど金平さんから話があったように、
「個人的には反対することに賛成だけれども、自分が所属している組織との兼ね合いで、今名前は出せません」
とおっしゃる人たちが、複数いらっしゃる事は事実です。
だから、ここに、名前は呼びかけ人という形では出ていません。
だから今、呼びかけ人という形で名前を出しているのは、ここに書かれている人だけです。

但し、何べんも言うように「気持ちはあるけれど出せない」という人が何人もいる。
複数いらっしゃるということも、事実です。

田原:
具体的に言いますとね、たとえばこの間も、石破さんに言ったんだけども、集団的自衛権をどうするか?と。
その時に、たとえば、第一次安倍内閣で4類型というのがあったの。
で、この4類型よりももっと範囲が広がるのか?
あるいは具体的に、これとこれとこれをやるのか?
という事が一切聞けなくなります。
そういう取材ができなくなる
だから、「石破さんには今だから聞けるけれど、秘密保護法が通ったらこんなことは聞けないよね?」
って聞いたら、彼は苦笑していました。

いっぱいあります。
原発の問題も、ほとんど取材できないと思います。
これはテロと関係するから。

ーー:潜入取材ができなくなりますよね?

田原:
これは週刊誌がいつもやる、たとえば東電の原発の中に作業員として潜入して、後に雑誌に書くなんていう事は一切できないね。


大谷:
我々の生活にどんな関係があるのか?とおっしゃっていましたけれども、
先日、海渡雄一弁護士と重里さんと私で、この問題を1時間やったんですが、
あの福島みずほさんのご主人ですね、その海渡さんが、
あんまり皆さん知らないでしょうけれども、福島原発の大変な事故の時に、東京消防庁が
例のこういう、キリンみたいな消火装置を持って、「どこから放水したら一番効果的か?」という事で、
東京電力福一に、「設計図を出してほしい」という話をしたら、東京電力の本社が「これはテロ対策資料なので出せない」と。
放射線がボンボコボンボコ出てきて、国民の命が危ない、少なくともあれだけの被害を出している
にもかかわらず、東京消防庁が応援に行くという要請に関して
テロに関わるからこの資料は出せない」と、


それは国民の生活じゃなくて、国民の命にかかわる事ですよね。

だから、私は、東京消防庁が資料を要求して、東電が断って、最後、国会議員が一括して出してきたという事に関しては、
海渡さんからの又聞きですので、裏を取るためにもしお調べになるのなら、ぜひ調べていただきたいと思います。

岸井:
それと、さっきサイバー的な話も出ましたけれども、
一般というとなかなか広がっちゃって、説明しにくいところもありますけれども、
もうひとつ重要な法律と方針の変更がある。
「武器輸出三原則の見直し」というのがあるんですよね。
これは、共同開発を進めるという事になる。

つまり、私が聞いているところでは、まず、即特定秘密になるのが軍事情報です。
特に、武器の設計図とか暗号とか、というものになるんですね。
そうすると、今までの軍事産業と言われているような、自衛隊と契約をして武器を生産している会社
さらにこれから、アメリカの技術と提携して、アメリカに武器を、現実には輸出する会社
これは全部、引っかかりますよね。

だからここで、そういうふうな情報をサイバー的にやられても、下手をすれば引っ掛かるという事になりますからね。
だから、そういう社の仕事を、家に持って帰れなくなるんですね。
一般的にどうか?という話とは別ですけど、少なくても、目の前にそういうふうな問題は出てきます。

青木:
あのー、一般市民の問題という事になると、これ、先程も申し上げましたけれども、
基本的に、事務局が、内閣情報調査室なんですよね。
公安警察の事実上の母体なんですけれども。
つまり、すなわち警察的な発想がものすごく強い外交防衛にテロ対策というのをくっつければですね、およそ警察の何でもかんでもが秘密にできる

この間、国会答弁でも出ていましたけれど、
原発警備というのが特定秘密になり得る」という答弁をしたようですけれども、
「原発警備」というものが、特定秘密に本当になり得るのならば、さっきどなたかがおっしゃっていましたけれども、
市民団体なんかが、小高い丘の上から福島原発を撮って、そこに警察官が映っていると、
場合によっては、特定秘密法を漏えいした、という事になりかねない
ですし、

最近ですと、僕なんかはつくづく思っているのは、たとえばNシステムなんていうのは、
警察はいまだに、どういうところに配置していて、どれ位の予算を使ってなんて、基本的に明らかにしていませんけど、
これは100%、特定秘密になるでしょうね。
そうなってくると、Nシステムのために、一体いくらぐらい予算を使っているのか?とか
あるいは、Nシステムがどこら辺に配置されているのか?なんていう事は、基本的に知り得ないし、知ろうとしたら違反になる
(※Nシステム=自動車ナンバー自動読取装置‎ 
Nシステムを通過した車両(2輪を除く)を全て記録し、警察の手配車リストと照会する)


あるいは、自衛隊の配置だって、情報保全隊などが問題にしていますけれども、特定秘密になり得るでしょうし、
極端に言えば、オスプレイが「何機配備されて、いつどこに飛んでいくのか」なんていうのは、特定秘密にされかねないなというふうに、僕は思いますから、
やっぱり一般市民の生活、「知る権利」という問題ももちろんですけれども、
一般市民が、本当に生活に密着するような場面でも、必ず特定秘密で知れなくなるという事は、おびただしく出てくる
ま、それが先程来、先輩方がおっしゃっているように、どんどん拡大されていきかねない。

事実上、法案を読む限りは、拡大できるようになっているという事だと思います。

金平:
一個だけ、ちょっと言い忘れた。
あの、「公益通報者の保護法(平成16年法律第122号)」っていうのがあるんですよ。
これは、要するに内部告発というか、組織の内部にいる人間が内部告発をした、その人間を保護する、という法律なんですけれどもね、
この法律は、多分、死文化すると思いますよね。
ほとんど何もできなくなりますね。
それだけちょっと付け加えておきます。

鳥越:
一応、会場は3時までの時間ですよね、じゃ、川村さん最後に。

川村:
生活にどういうふうなかかわりがあるか?という事なんですけど、
この全文を読むと別表に、たとえばの話ですが、
特定有害活動の防止に関して、収集した外国の政府、または国際機関からの情報、その他の重要な情報。

「その他」というのがですね、この別表だけで11あります

全体の法律の中でも、全文の中にも、これが36あるわけですけれども、
後で、「その他」のところにそれを入れこむという。
たとえば、これが、アメリカと日本の情報共有のために、というのはよく言われている訳ですけど、
アメリカですでにですね、チェック機関があって、国立公文書館とか、いわゆる検証に耐え得るチェックを、同時にしている訳ですけれども、
その中で、すでに情報が公開されて、たとえば、「沖縄の米軍基地の構造はこうなっています」というようなことが、
アメリカからは情報を得られているのに、日本は特定秘密になっているというような時には、
日本で報道することが、「その他」というところに入るとすればですね、これは非常に大きな、国際的な問題としても、矛盾を抱えている法案だという事を、
我々の生活の中にも、後で、「その他」にあなたのやっている活動は匹敵しますよ、ということが
入りこむ危険性が非常に大きい
、という事を申し上げておきたいと思います。

鳥越:
これはですね、おそらく、1時間でも2時間でも議論になり得る事なので、
一応会場が3時までという事になっておりますので、会見はここでお終らさせていただきます。
但し、この声明文の最後に書いてありますように、「これは始まりにすぎません」という事で、
我々一同は、「これで終わり」という事ではございません
これは始まりですので、
「これからも、法案の廃案を求めて、出来るだけの事はやっていく」ということはお約束できるかと思います。
今日はみなさん、どうもありがとうございました。
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自らが書いた立派な声明文に恥じない、『特秘保護法廃案』実現の為の、迅速で的確で効果絶大な行動を!

2013年11月14日 | 日本とわたし
今日から日曜まで、調べものをしたり、記事をあれこれ読んで考えをまとめる時間をとることができません。
こういう時にいつも、きーこさんに頼ってしまいます。
彼女は毎日毎日、大変な手間と時間とエネルギーを消費する、膨大な量の文字起こしをしてくださっています。
その文字起こし作業をやったことがある者として、そのことの大変さが身にしみているので、
こんなふうにお借りする時は、せめて、文字をペーストするのではなく、打ち直しながら、自分なりに考えて、文字の強調などをしたいと思います。

さて、これは、昨日ケチョンケチョンに非難しながら書いた、有名TVジャーナリストさんたちによる記者会見の全内容を、文字起こししてくださったものです。
わたしはその記者会見を全編観ずに、IWJの記事を中心に記事にまとめました。
そして今朝、きーこさんが文字起こししてくださった文章を一通り読みながら、ツィッターで提言してくださったともたさんの言葉を思い出していました。

①彼らの鈍感さ・行動の遅さは批判。
②だが、彼らが行動を起こしたことは評価。
③それが”アリバイ的”かどうかは、今後の行動で判断。
④「私たちは厳しい目で見守ってますよ。共に頑張りましょう。」が、いま我々が発すべきメッセージ。

もちろん今も、遅すぎた行動に対して、フツフツとした怒りは感じています。
が、非難をすることで彼らを急かすよりも、怒りはあるけれども、手を差し伸べて握手し、同じ方向に足を踏み出すことが大事だと思います。
わたしたちは今、市民力の根本である数が必要です。
今だにぼんやりとテレビを観続けているばかりか、テレビの中の人間が言うことのいちいちに、大きく影響を受ける人が多いのが現実なのだから。


↓以下、転載はじめ

TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見11/11(動画・すべて文字起こし)

2013年11月11日
TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対臨時会見
日本プレスセンター10階プレスセンターホール千代田区内幸町


(右から、敬称略)
鳥越俊太郎
金平茂紀
田勢康弘
田原総一朗
岸井成格
川村晃司
大谷昭宏
青木理

各局の大物キャスターたち、錚々たるメンバーです。
このような記者会見が行われたのに、
TBSの夜11時のニュースでさらりと報じられていましたが、
ほとんどニュースで映像が流れていないのが気になります。
なので、文字起こしლ (。◕ˇε ˇ◕。ლ)
私たちはちゃんと知っておくべきです。



鳥越:
今回私たちで、一応声明文を出していますので、金平さんから、その声明文を読んでいただいて、
皆さんに、その紙は渡っていると思いますが、一応説明をしていただいて、
それから、金平さんのご意見も一応付け足していただけると幸いです。
そして、段取りとして、それから一人ずつご意見を頂く、という形、
そして最後に、質疑応答という事で、3時までには終わらせるつもりでいます。
それでは最初に、金平さんからお願いいたします。


金平茂紀:
お手元に『私たちは特定秘密保護法案に反対します』という声明文が渡っていると思いますが、
ご覧頂いたように、黒塗りの部分がいっぱいあります。
この意味は、この法案が通ってしまうと、
「皆さんに配布される資料というのには、こういうものが出てきますよ」という事を、私たちで想像して書きました。

で、呼びかけ人の中にですね、沢山、黒塗りになった名前がありますが、
これは・・・今日この集会にですね、このアピールの呼びかけに来たいという人がいてですね、
「何らかの事情で、それを明らかにできないという人達が、これ位います」よ、という様な趣旨で、こう書きました。

この声明文の書き方から、みなさん、いま何が起きているか?という事を、想像していただきたいと思うんですが、
とりあえず、この『特定秘密保護法案に反対します』というアピール文を読み上げます。
着席のままで失礼します。

私たちは、日本のテレビ番組で、情報を伝える仕事に関わっています。
私たちは、今国会に提出されている『特定秘密保護法案』の、法制化に対する強い危惧の念を共有しています。
国民の知る権利に行使し、行政機関や、強大な組織が持つ権力の使われ方を、国民の立場に立って監守することは、
私たち、ジャーナリスムの一端を担うものに課せられた、大切な役割です。
この法案が成立すると、取材報道の自由は著しく制限され、ひいては、国民の知る権利が、大きく侵害される事になりかねません。

行政機関の情報公開は、世界の大きな潮流です。

秘密の多い国は息苦しく、非民主主義的な国家である事を、私たちは過去から学んできたはずです。
この流れに逆行する『特定秘密保護法案』が、法制化されようとしている事を、私たちは黙視している訳には行きません。

今日、緊急に、ここに駆け付けた私たち以外にも、多くの同調者がいる事を、私たちは知っています。

これは、始まりにすぎません。

2013年11月11日 有志一同。


鳥越:
えっと、それでは、これから一人ずつ、ご意見を頂きたいと思いますが、あのまぁ、順不同ということで、青木さん方からお願いします。


青木理:
はい。
青木理(あおきおさむ)です。
一番若輩者なんですけれども、順不同って、これ「あいうえお順」で青木になったと思うんですが、私から発言させていただきます。
えっと、これから先輩方がいろいろとおっしゃると思うので、僕はちょっと手短かに。
非常に強い懸念を抱いています。
いろんな問題点があると思うんですけれども、
この法案の中で、僕は、警察を長く取材してきたんですけれども、
テロ対策という、ま、「テロ対策目的であれば秘密にできる」という文言が入っていてですね、
これがおそらく制定されれば、
警察関連のほとんどの情報が、特定秘密にされてしまいかねない」という感じを抱いています。

あの、僕は、何年か前に、公安警察の事を取材して、1冊の本を書いた事がありました。
これは、僕は、間違いなく今自信を持って言えるんですが、
この法律ができた後であれば、あの本はもう書けないと思います。

非常に強い懸念を抱いています、以上です。



大谷昭宏:
大谷昭宏(おおたにあきひろ)でございます。
諸先輩から、この法案の対応策というのは、後々出てくると思いますので、
私も青木さんと同じで、長いこと事件を担当しています。
21条の方で、「報道の自由に配慮する」と、「国民の知る権利に配慮する」というのは、正当な業務であればしないと、
ま、「しない」とは書いていないんですけれども、「正当な業務と認める」と書いてあるんですが、

私が一番怖いのは、この21条に
共謀教唆扇動(きょうぼうきょうさせんどう)、これは、全て引っ掛かってくるという事になっています。
これは、皆様方にお配りしている黒字のところをですね、
これを「黒字で伏せているところを、ちょっと教えてくれないか」という事を取材先に言えば、
それで「教唆」になるわけです。

で、「これは公共の福祉のために必要なんだから、是非とも言ってくれ」という事を言えば、
これは「煽動」になるわけです。

つまり、私たちの取材全てが、この24条でひっかけられる、という仕組みになっている。
この24条の教唆を引っ掛けるのは、共謀罪の時にあったんですけれど、
いつの間にか、この法律の中にこっそりと潜り込まされて、
共謀罪を見事に、これは復活させている」という事が言えようかと思うんです。

こういう、きわめて狡猾な手口でやられると、
これは、刑事訴訟法の281条の、証拠の目的外使用の時に、散々揉めたんですけれども、
時の権力というのは必ず、「悪いようにはしない」と言うんですが、
見事、NHKがこの間、関西の一戦を、クローズアップ現代で、大阪地検からその資料を流した弁護士が、懲戒請求されると、
最初のうちはすぐひっかけてくる事はしないんですが、
281条が出来て、これですでに7年経つと、みごとに引っ掛けてくると。
それが常道であるわけですから、とてもじゃないけどこの法律は通せない、という思いでございます。
以上です。



川村晃司:
川村です。
今の大谷さんの言葉に尽きるんですけれども、この全文をそれぞれ読んでみますと、
基本的なこの法律の構造が「(民は)由らしむべし、知らしむべからず」という事をですね、感じる人が多いんではないかと思います。

とりわけメディアにおいて、「萎縮してしまう」という事が大変懸念されます。

「正当な業務による行為」
正当な方法によって取材するという事と、不当、不正な方法というのは、誰が判断するのか?
内容よりも、不当であるとか不正であるといいますと、
皆さん、日常的に取材をされている、夜討ち朝駆けという中でですね、
夜討ちをした時に、「これは不当な行為である」と、「安眠妨害だ」というふうに言われた時点でしてですね、
「正当な取材方法ではない」とも解釈されかねない。
非常に、その解釈の幅が広く取られていて、メディアにおいて漏れるという事は、
メディアが書いて初めて、それが報道され、秘密が漏れたという事が判断されるのであれば
メディア規制を前提とした一つの法案の中身になっている、とも言えると思いますし、

たとえば、田原さんが公開の番組の場で、
「そういう事では無くて、きちっと真実を述べて下さい」と閣僚に言ってですね、
「そういうことじゃダメじゃないか」と、「国民はもっと真実を知りたいんだ」と押し迫った時に、
それがある意味では、「教唆」もしくは「煽動」、という事にも受け取られるような、この法案になっているという事を考えますと、
これは、このまま法案が通過する、という事における一つの意味というものを、国民がどう受け止めるか?

今の時点でも、ま、世論調査ですけれども、この法案については、賛成よりも反対の方が多い
「やはりそこには、国民自身も違和感を覚えているのではないか」というふうに思う次第です。



岸井成格:
あ、岸井です。
皆さん、おそらく大きな危惧を持っているその問題点というのは、共通していると思うんですけれどもね。
私にとって、今日ここに座っている、また、皆さんにこうやってお話をさせていただいている一つの気持ちは、
後々とにかく後悔をしたくない」という気持ちからですね。

いろんな見方がありますけれども、
なぜ今、この時期に急浮上して、急いでこれを成立させようとしているのか?

まだ十分な裏付けが取れてはいませんけれども、やっぱり、何らかの集団的自衛権の問題、
日本版NSCの、こういうものがセットになって
いて、
おそらく最初は、アメリカとの軍事情報に限られていた話だったんじゃないかな、と思うんですね。

そこへいろいろなものが入ってきて、
どんどん一気に悪乗りして、こういう事をつくってしまった、という感じが非常にするんですね。

皆さん同じだと思うんですけれども、まず一つ、特定秘密というのは何だ?というのが、秘密の定義が全くありません
そして、定義が無いだけに、範囲も曖昧です。
ですから、非常に、何でも秘密にしようと思えば秘密指定にできるような、そういう構造になっていますよね。
しかも秘密情報、それが何が秘密か?っていう事を書いていないうえに、「その他の情報」っていうのがあるんです。
必ずそれがくっついているんですよね。

その情報についてまたさらに、その情報を収集、整理する、そのことも秘密。
そしてその能力も秘密……って、これなんの事かよく分かりませんよ。
そういう情報にまつわるもの全てが、秘密になってしまうという、そういう恐れもありますよね。

ですから、最大の、我々の立場で言えば、危惧はみなさんがおっしゃるように、やっぱり21条なんでしょうね。
やっぱり全体に、「取材報道の自由には配慮をする」という事で、条文的にもいろんな事が書いてあります。
書いてありますけれども、これはあくまでも配慮条項ですね、担保したものではないですね、法律的にね。

とにかく取材も「正当な取材、方法」と。
「正当な取材ってなんですか?」
誰がそれを判断するんですか?
正当でないか、正当か正当でないかですね。
しかも、公益に奉仕する、資する、そういうものである正当な取材であれば、「これは正当な取材として認める」という、こういう言い方なんですね。

御存じのとおり、その時の政府が考える公益と、メディアが考える公益と言うのは、しばしば違う時がありますからね。

だから、そういうような判断も、全てどこかに委ねられてしまうという事が、一番大きいんじゃないかなと思います。
あとは、いろいろと議論が出ると思いますけれども、「検証の手段が全くない」という事なんですね。

それと、もうひとつ申し上げたいのは、なんとなく「まだ、国民の関心が高まっていないな」と。
これは危機感を一つ持ちます。

それからもうひとつは、国会、及び国会議員達の意識の低さ、と言いますか、危機感が足りないんじゃないかなぁ。
これは間違いなく、国政調査権も相当制限されますからね。
秘密会というところでやるとしても、あくまでも全体を被せている定義は、「国家安全保障に支障がある情報」ですからね。

だから、そういうものであれば、秘密会にも出さないという事になります
そうすると、国勢調査もどこまでできるのか?と。
だから、取材だけの問題ではないと。
国会にも相当な制限がいろいろかかるんですよ、という事を、国会議員のみなさんにも考えていただきたいなと思います。

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=16m6s



田原総一朗:
田原総一朗です。
大きく分けて二つあるんですが、一つは、大谷さんがおっしゃった主題の問題です。
私なんかが国会に、特に総理大臣とかね、大臣を取材する時に、いろんなものを調べまして、
彼らの今まで言ったことに矛盾がある、その矛盾をつくと、必ず弁解をいたします。
「弁解なんか聞きたかないんだ」と。
ね、この矛盾、「あなたは本当はどうなんだ?」という事を聞いて、私は何人か総理大臣を失脚させたんですが、
これは多分、「教唆煽動」になると思います。
あるいは、そそのかし、教唆煽動だよね、なると思いますし。

たとえば、しょっちゅうみなさんもやると思いますけど、
オフレコで、限定で、自民党の幹部が、一応官僚の幹部に会うと。
それでいろんな話を聞いて、
「名前は出さないよ、そのかわり財務省がこういう事を言っている、外務省がこういう事を言っている」
これは多分、「共謀」になると思うんですね。
だから事実上、これをやらないと取材ができない。

もうひとつ大きいのは、実は、自民党の国会議員が、この秘密保護法の事をよく分かっていない
この間、自民党の幹事長に、
「たとえばアメリカだとね、国立公文書書簡の局長が、『この問題はありだ』とか『これはおかしい』という事をちゃんとチェックできる
あるいは、アメリカには、二重三重にチェックできる機関がある
日本には全く無いじゃないか!と。
で、国会は、国権の最高機関だけど、国会にもチェックできないじゃないかと」

え?そうですか

「だからあなたは、自民党の幹事長として、やっぱり政府に向かって、国会に、少なくとも、チェックする機関をつくるように提言すべきだ」と言ったら、

そうですね」と。

でね、もっとひどいのは野党。
野党は初めからね、もう慣れ合い。

ね、岸井さん。

岸井:
ん、まだそこまでは

田原:
だって、反対なんだもの。

岸井:
修正論ですね

田原:
もういきなり修正なんですよね。
で、ま、一つは、マスコミが取材をしにくくなる、いやできなくなる
もうひとつは、国会に、日本にはどこにもこれをチェックする機関がない
この両方。
しかももっと大きいのは、これ、どこの国でも20年30年で全部公開するんです。
ところが内閣がこれを承認した場合には、永遠に公開しないと。
こういうばかばかしい法律はあってはいけないと思います。
以上。

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=19m2s



田勢康弘:
田勢康弘です。
歴史的に見ても、権力というのは、どの国でもどの時代でも、必ず拡大解釈するものですね。
必ず物を隠すんですね。
で、最後には必ずウソをつくと。
権力というものはそういうものだという事を、まず前提として考えなければいけない、と思いますね。

私は、これほどの法案が出てきているにもかかわらず、世の中があまり悄然となっていないのは、
所詮、「メディアが取材に困るだけの話だろう」と。
メディア不信のようなところに、今の政権が便乗しているようなところがある、と思うんですよね。
それは、我々が、本当に反省しなきゃあかんと思っておりますし、
34か所ですか?その、いわゆる対象となるものの、非常にあいまいな表現が、「例外」という言葉で入っているんですよね。
例外規定」のようなものが。
ですから、ま、この政権の体質を見ていても、間違いなく拡大解釈してくると思うし、
これ正当な、先程、岸井さんも言いましたけれど、
「正当な取材かどうか」なんていうのは、全くそれは、もう誰も判断できないような話なので、

これほど、もう初めから危ない法案は無いと。
なんとしてもこれは潰さなければあかんと思います。

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=20m19s


金平茂紀:
えっといま、田勢さんがおっしゃったみたいに、長い事こういう取材を続けてくるとですね、
政府はこれまでウソをついてきたし、おそらくこれからも嘘をつくであろうと思いますね。

で、この法案の論議の中で、私が腹にすえかねているのは、
「西山事件は処罰対象になります」という事を、その担当大臣が言っているんですね。
西山事件と言われているものは、外務省の機密漏えい事件ですけれども、
あの事件の本質というのは、
「沖縄の返還に絡んで、政府が密約を結んでいた」ということ。
で、その「密約はない」というふうに、国民に嘘を付き続けていたという事が本質です。

それをですね、この法案の論議の中で、
「西山事件は処罰対象になります」という様な事を、軽々しく言うような人たちがこの法案を作っている、という事に対して、
僕は、心の底からの憤りを感じていました。

このアピールに加わった理由は、いくつかあるんですが、
2002年の4月に、鳥越さんも、それから田原さんも、その時に加わったと思うんですが、
いわゆる、メディア規制三法というものが出てきた時に、同じように、こういうふうにアピールをして
同じように、こう、反対の声をあげたという事があったんですが、
その当時と比べると、今は非常に、もっともっと息苦しい世の中になっています
こういう事をやるのにも、非常に神経を使わなければならなくなっている、ということが、
筑紫さんも、おそらく生きていたらですね、必ずこの場にもちろん加わっていた、という事を考えて、
そういう事に後押しされて、私も出てきたんですが、
その、あの時に筑紫さんが言っていた言葉は、「多事争論」というのをもじってですね、「多事封論」と言っていましたね。

多くの事を、多くの物事を、自由に論じ合う空気を封じるような事に対しては、
私たちは、身体を張って止めて行かなければいけない
、という事を感じて、この場に加わりました。

修正とかそういう論議ではなくて、この法案は、僕は、廃案にするべきだというふうに思います。

http://youtu.be/Er2xv9ICpBc?t=22m42s



鳥越俊太郎:
最後に、私鳥越が、意見を述べさせていただきます。

みなさんは、特定秘密保護法の問題点について、具体的に述べておられ、私は全く賛成ですが、
ちょっと、もう少し、大きく考えてみたいと思っているんですが、
安倍政権は、政権が出来て以来、「レジームチェンジ」という事を言っております

※レジームチェンジ
武力を行使したり、非軍事的手段によって、他国の指導者や政権を交代させること。
体制転換。
政権交代。


それからもうひとつは、「積極的平和主義」という事を言っています
この二つを合わせるとですね、
実は、安倍政権が今求めているのは、単に特定秘密保護法だけではない


それはもちろん、日本版NSC、国家安全保障会議という様な、今国会を通過しましたけれども、
これを司令塔に、特定秘密保護法を手に持ち、そして最終的には、集団的自衛権行使に踏み切る


これはどういう事か?というと、
「積極的平和主義」というのは、「積極的」という言葉も「平和主義」という言葉も、一見とても良い事のように聞こえますけれども、
「積極的平和主義」という事を続けて言うとですね、これは実は「戦争をするよ」と言う事だ、と僕は解釈しています。

つまり、NSC、特定秘密保護法、そして集団的自衛権行使を認めるという、これは三点セットで、
先程岸井さんもちょっとおしゃいましたけれども、
「日本が戦争を出来る国に、レジームを変える」「体制を変える」という事が、今回の法案の背景には横たわっているんだ。
その事を、僕たちはちゃんと見抜いて、もっと国民全体で、この法案については反対をしなければならない。

しかし、残念ながら、みなさんがおっしゃったように、
世論調査なんかを見ているとですね、この特定秘密保護法の反対の方が多いんですよね。
だけど、世論という形でなんとなく、「反対!」という感じはあまり漂っていなくて、
なんとなく、もう国会でスーッと通っていきそうな感じがありまして、
私たちはそのことに危機感を持って、こうやって今日集まっております。

私は、基本的にはみなさんと同じですが、
「なにを?」要するに秘密って「誰が?」「どうやって?」決めるのか、「なにが秘密なのか?」という事は、まず全く分からない。
そして、それをどうやって取材するか?という取材の方法が、「正当な」とか「不当でなければ」という言葉で表されていますけれども、
どれもですね・・・あの・・・「秘密」というのは分からない訳ですから、
国民の目から、メディアの目から、私たちの目からですね、なにが秘密になっているのかわかりませんから、
これはちょっと、秘密なんじゃないかな?」というふうに、勝手に自己規制をしてしまう
つまり、もっとちゃんとして言葉で言うと、「萎縮をしてしまう」、委縮効果を生んでしまう

これは、公務員側でですね、そういう事が起き、それから当然、「不当である」とか「不当でない」とか、そういう取材の方法も一応条文に書かれていますから、
これは「誰がそれを判断するのか?」ということも、これは、権力側が判断をするわけですから、
先程例に出されました「西山事件」もですね、最終的には、警察検察裁判所、その「西山記者が行った取材活動は不当である」、
つまり、「正当ではない」という判断をして、有罪にしてしまったわけですけれども、
ま、そういう事は今後もさらに、弱まる事は無くて強まって、「んー、これは、ちょっとやるとヤバいんじゃないの?」
というふうな自己規制
が、今度はメディア側に当然、これから、皆さん方の同僚や後輩達の間にですね、自然自然のうちにそういう、
地雷を踏むんじゃないか」という自己規制ですね、こういう気持ちがだんだん芽生えてきて、
長い時間のうちに、それは結果的には、国民の知る権利に答えるような報道が出来なくなってくる
その事を、私たちは、非常に恐れるわけです。
だから私は、この特定秘密保護法案はですね、「今国会で廃案にするべきだ」というふうに思います。
「廃案」を要求したい、と思います。

ということで、一応こちら側が意見を申し述べましたので、これからは一応皆さん方の、あ、補足がありますか?
どうぞ。

田原:
ちょっとね、今の鳥越さんの話で、「西山事件は有罪だ」と。
でもね、とんでもない話、要するに、ここにいるほとんど全員がね、
たとえば国会議員や、あるいは官僚の幹部に取材するときに、秘書と仲良くするのは当たり前じゃない、ね、誰だって。
秘書と仲良くして、秘書から相当情報を取って、それで、本人に「これはどうだ」と聞くというのは、これは常識なんですよね。
だから、西山事件が、西山さんが有罪になるという事は、ここにいるほとんど全員が有罪になる、という事なんです。

あのね、もう亡くなったけれど、あの時の検事がくだらない表現をした。
「情を通じて」なんて。
だからね、情を通じるのは当たり前なんだよね。
国会議員や幹部の人達と仲良くして、そこからある程度の情報を得て、そしてボーンとぶつける!
常識ですよね、はい。

岸井:
もう一つ付け加えますとね、
取材源の尊厳を傷つけたことが有罪という、不当なあれになったという根拠にされたんですよね。
だから、そこが、非常に微妙な人間関係が、それは裁判になってからいろいろな事があったのは事実ですけれど、
ものすごく重要な事は、裁判を通じて「あの密約は、そういう秘密にするべき物ではなかった」という事を、裁判は認定しているんですよ。
それでも、いまだに外務省は、あの密約の存在を認めていない
しかも、資料まで、全部破棄して無いんですよ。
こういう事が大問題なんですよ。

田原:
政府は嘘を付き続けている。

岸井:
そう、嘘を付き続けているという事ですからね。

大谷:
いいですか、ちょっと一言。
この西山事件で言えば、御承知のように、横路さんが、国会で質問したわけですね。
その時に、その現物を掲げたものだから、そこがカメラに映って、それで西山さんに波及していく訳ですが、
この法律が通ると、西山さんだけじゃなくて、横路さんも逮捕される訳ですね。
国会議員が秘密を漏らした場合には、懲役5年と。
最長10年の半分が、国会議員になったわけですね。
で、国会議員は、秘密会にだけ出られる、というふうに書いてあるわけですね。
ですから、秘密会に出た国会議員が、今日の議事はこうだったという事を、秘書にしゃべったという段階で、
国会議員が懲役5年、という事になるんですね。
当然、西山事件の横路さんは、その文の、国会議員の懲役5年に引っ掛かってくる。


国権の最高機関で、我々が選挙で選んだ人たちが、官僚が作った秘密を知った場合には、懲役5年と。
こんな、立法権を犯した法律が、どこにあるんだと、

しかもそれを、与党も野党も、まともに論議しないで、自分たちが懲役を食らう法律を通すバカが
バカって言っちゃいかんが、世の中のどこにいるんだ?というのが、私の率直な感じなんですね。

「もっと足元を見てくれ」と。
我々報道機関が、こうやって声をあげているものですから、
何か国会議員は、自分たちの権限が大幅に、官僚にそがれているという事に気付いているのか?
それとも気付かないふりをして、こんなことを通すのか?
私は本当に疑問でならない
んです。

岸井:
今日ね、急がなければならないもう一つの理由は、
これだけずさんな天下の悪法、もし我々の危惧が本物であればですよ。
そういうものであるだけに、私なんか常識的にね、「この法律が、そんな、通る筈がない」と、
当然、この国会で廃案だろうな」と思っていたら、
なんと、「与野党修正協議のうえ、この国会で成立するかもしれない」という情報を聞いたもんだから、
それはウソでしょ!?いくらなんでも」ということが、一番大きなきっかけですね。

「まさか」ですよね。

鳥越:
あの、それから一つ付け加えますと、僕もこの間ビックリしたんですが、
自民党の小池百合子さんがですね、首相の・・・、ま、新聞によって全部表現が違いますが、
毎日新聞は、首相動静日日ナントカ、だったんですね。
首相の行動がですね、一応全部載っている訳ですね、新聞の2面の終わりぐらいのところに各新聞大体載っています。
で、「これも秘密に当たる」みたいなことを小池さんがですね、国会のある場でおっしゃっているのを聞いて、
本当に「アホじゃないか」と思いましたですね。

つまりもう、過去形ですよね。
翌日の新聞ですから。

つまり、テロリストの、これは万が一ですけれども、そんなことはありませんが、テロリストのターゲットになり得ると。
それは、予定が書いてあったらですね、それは、ま、一つの可能性としてあり得るんですけれど、
過去の事をですね、書くのはね、どうして秘密に当たるのか

もう本当に、笑止千万としか言いようがないんですが、
そういう意識で自民党の今の議員がですね、この問題を取り扱っている事について、本当に・・・これはもう・・・どうしようもないなと、こんなものでは。

これについて、野党からもあまり異論も出ないという話に、危機感を感じざるを得ないという事が、正直なところであります。

ほかにありますか?みなさん。
無ければ、一応質疑応答という事で。

(*まうみ注・記事の文字制限のため、質疑応答の文字起こし部分は、次の記事に続きます)
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