原発のウソと誤摩化しと恫喝については、これまでも散々ここに書いてきました。
まさに、キリが無いというのはこのことです。
よくもこんなデタラメなものが、いまだに堂々と、みなさんの電気代や税金を湯水のように使いながら存在し得ているもんです。
バカらしいと思いませんか?
原発はウソとデタラメの権化です。
だって、こんな地理条件の国に、原発などというものを建てるには、ウソをつき、デララメを言い、言動ともに暴力を駆使するしかありませんから。
もう、建ってしまったのはどうしようもありません。
だから、二度と稼働させない!と、反対の意を強く表明し、行動していくしかありません。
相手は、これまで通り、堂々と、ゴリ押しする気でいるのですから。
↓以下、『ニュースサイト ハンター(HUNTER)』の、4月と5月の記事をふたつ、続けて転載させていただきます。
文字色の変更と強調は、わたしの一存で行いました。
川内原発安全審査の茶番 九電が「活断層調査」の誤り否定
2014年4月8日
「原発の安全審査は茶番」――そうした声が聞こえてきそうな、電力会社と原子力規制委員会との馴れ合い審査の実態が、浮き彫りとなった。
原発再稼働第一号になることが確実視される、九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査をめぐり、
国の地震調査研究推進本部(推本)が否定したはずの、九電による「活断層調査」を、九電側が「間違っていない」と認識していることが、明らかとなった。
九電が提出した安全審査のための書類には、推本の指摘を反映させた、基準値振動の値を明記した九電だが、これ自体、形ばかりのものだったことになる。
否定された九電の活断層調査
HUNTERは昨年1月、推本が実施した活断層再評価のうち、川内原発に近接する「市来断層帯」に関する議事録を、文部科学省に情報公開請求。
平成24年5月17日、同6月25日、同7月26日にそれぞれ行われた第16回、第17回、第18回の、地質調査委員会長期評価部会の、分科会議事録を入手した。
議事録によれば、平成24年に行われた会議で、
九電の地質調査結果(平成21年『川内原子力発電所敷地周辺・敷地近傍の地質・地質構造(補足説明:その2)』。右が表紙)である。上記がその表紙)を酷評、
川内原発にもっとも近接する「市来断層帯」を、大幅に海側に延ばすなど、川内原発の安全性に疑問符を付けた形となっていた。
市来断層帯に関する議論では、同年5月17日の第16回分科会で、九州電力の資料を基に議論することで一致。
6月25日には、川内原発沖の甑海峡にある甑断層が、北に延びる可能性と、内陸を走る市来断層の海域部分が、さらに延びることなどが確認されていた。
詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘し、再評価結果が、川内原発の安全性評価に影響を与えることを示唆している。
下は、この時の議事録の一部だ。
(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
同年7月26日に行われた第18回分科会では、さらに踏み込んで、
九電作成の資料について、「参考資料3-1-2の解釈はとにかくひどいものである」と酷評。
「最もひどいのは、地表面(海底面)にまで断層変位が及んでいるにも関わらず、断層の存在を全く無視していることである」として、未公表の断層があることも示唆していた。
(下はその議事録。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
この推本の再評価結果を受けて、原子力規制委員会は、九電が出した川内原発の安全審査に対し、次のような指示を行っている。
《検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による、
断層の長さより短く評価したものなどについては、少なくとも、推本評価を反映して評価し直すこと》――下の文書、アンダーラインの部分が、活断層評価に関する指示である。
(まうみ注・この表を転記できませんので、ここに書き写させていただきます)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
九州電力(株)川内原子力発電所1-2号機の真性内容に関わる主要な論点
新規性基準に対して提出された原子炉設置変更許可申請等に関し、これまでの審査会合やヒアリングを通じて確認した結果、主要な論点を以下の通り指摘する。
これらについては、特に今後詳細な説明を求める。
なお、これらは、現時点におけるものであり、今後の審査の進捗により変更が有り得る。
(地盤・地震関係)
● 評価の対象としている破砕帯の代表性の適切性を判断するため、全ての破砕帯の調査・評価に関わるテータを提示すること。
● 検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による断層長さより短く評価したものなどについては、少なくとも推本評価を反映して、評価し直すこと。
● 「震源を特定せず策定する地震動」に関して、基準地震動評価ガイドにある地震観測記録収集対象事例の16地震について、観測記録等の分析・評価を実施すること。
● 敷地地下構造を把握するために実施している地震観測記録の分析について、特異な傾向の有無を確認するため、全ての評価結果を提示すること。
(津波関係)
● 海域の活断層による津波については、推本評価を反映した震源断層の連動等を考慮した場合の検討を行うこと。
● 海域の活断層以外の波源による津波の評価の全体を示すこと。
(火山関係)
● モニタリングの対象となる全ての火山について、大規模火山活動の予兆を捉え
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
規制委の指示を受けた九電が提出した、最終的な資料が、次のものだ。
地震動評価や津波影響評価において、推本の再評価を反映させた形とはなっているが、
九電がかつて国に提示し、推本から酷評された活断層調査については、間違いだったのかどうかさえ明示されていない。
《一部の活断層については、当社より長く評価》と表現、自社調査の結果について、大した間違いはないと言わんばかりだ。
しかし、推本は、九電調査の『一部』について酷評したのではなく、前述の「市来断層帯」を含めて、川内原発周辺すべての九電調査について評価し直していた。
九電資料は、川内原発周辺の活断層を、F-A、F-B、F-C、F-D、五反田川断層、F-E、F-Fの7つに分けて評価しているが、
推本ではF-C断層、F-D断層、五反田川断層を、それぞれ甑海峡中央区間、吹上浜西方沖区間、市来区間と呼んで再評価。
残るF-A、F-B、F-E、F-Fの活断層は、上甑島北東沖区間、辻の堂断層を含む区間、および甑区間の三つに区分され、「甑断層帯」として再評価していた。
下記の上が九電の資料、下が推進本部の、公表資料にある図面である。
九電資料
推進本部の資料
それぞれの断層についての九電側の評価と、推本による再評価結果は、大きく違っている。
まず、九電の言い分。
【F-A断層】
F-A断層については、活動性を考慮し、北東部は断層が認められないs14測線まで、南西部は後期更新世以降の地層に、変位・変形が認められないNo21m測線まで延長した、長さ約18kmとして評価する。
【F-B断層】
F-B断層については、活動性を考慮し、北東部は後期更新世以降の地層に変位・変形が認められないs24測線まで、南西部は断層が認められないs30測線まで延長した、長さ約15kmとして評価する。
【F-A断層とF-B断層の連続性について】
F-A断層、及びF-B断層は、それぞれ累積的な変位・変形構造が認められ、F-B断層の北東側の伏在断層については、後期更新世以降の活動は認められない。
ブーゲー異常においては、F-A断層、及びF-B断層周辺では、連続する構造が認められるものの、
前期更新世の地層であるC層の層厚分布の形態等からは、両断層が連続する構造は認められない。
後期更新世以降の活動が認められる両断層の離隔は、5km以上である。
以上のことから、F-A断層及びF-B断層は、\連続しないものと判断した。
一方、地震調査研究推進本部の再評価ではこうなる。
【地震調査研究推進本部の再評価】
甑区間の北東端の位置、及び南西端の位置については、九州電力株式会社(2009)に示されている。
九州電力株式会社(2009)は、本評価の甑断層が、上甑島の南方海域において途切れ、これより北東側をF-A 断層、南西側をF-B 断層とした。
九州電力株式会社(2009)は、この活断層が途切れるとした区間における構造について、地下でF-A 断層とF-B 断層をつなぐように伏在するものの、
海底に近い部分にみられる、反射面の不連続は不整合面であり、活断層ではないとした。
ところで、甑断層は、重力異常の勾配の大きい領域に一致し、この領域は、九州電力株式会社(2009)が活断層ではないとした区間でも認められる。
また、この不整合面とされた区間を含む、甑断層の南西部分の音波探査断面には、海底に窪地状の地形が存在し、
さらに、九州電力株式会社が不整合面とした、反射面の不連続の上盤側では、地層に引きずり状の変形が認められることから、甑区間の活動を示している可能性がある。
以上のことから、甑区間は上記の北東端から南西端にかけて、途切れることなく断層が連続して分布しているものと推定した。
そして推本の結論――
《甑断層帯においては、過去の断層活動に関する調査研究が行われておらず、現状では、地震後経過率等の評価を行うことができない。
今後、最新活動時期や平均活動間隔など、過去の断層活動を明らかにするための調査が必要である。
甑区間は、推定される活動時の地震規模が、M7.5 程度と大きいうえ、上下方向のずれを伴う沿岸海域の活断層であることから、津波の発生を検討する必要がある》
「M7.5」、「津波の発生」― 政府機関が、甑断層帯について、大きな危険性があることを指摘した形だが、
これは、川内原発の安全性に、警鐘を鳴らしたも同然だ。
右上の写真は、川内原発の現在の状況である。川内原発の温排水を放出する「放水口」近くの砂浜から撮影した一枚だが、
一帯に樹木が生い茂るだけで、防潮堤などの整備は行なわれていない。
これで、本当に安全と言えるのだろうか。
九電―「間違っていない」
推本の活断層再評価結果を反映させ、基準値振動を「620ガル」に引き上げたという九電だが、
想定されるマグニチュードがどの程度のものか、資料には明示されていない。
そもそも九電は、自社の活断層評価をどう見ているのか――、九電に取材した。
驚いたことに、九電広報の答えは、「当社の活断層評価は間違っていません」。
推本の再評価で酷評されている調査結果を、「間違いではない」と主張する。
何度聞いても同じ答えで、それが九電の正式見解なのだという。
それでは、なぜ、基準値振動の策定に、推本の再評価を反映させたのか?
これに対しては、明確な回答はなかった。
要は、川内原発再稼働を急ぐため、とりあえず、規制委の言う通りにやったということだ。
ために、「620ガル」の根拠があやふやで、なぜこの数字に落ち着いたのかの、科学的裏付けが出されていない。
「再稼働ありき」が規制委の姿勢
これを良しとした規制委も、随分と無責任だ。
前述したように、推本の再評価における議論の中では、市来断層帯についての詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘している。
これは、再評価そのものが不完全だったことを示している。
しかし、保安院を引き継いだ形の規制委は、この検討作業を行っていない。
不完全だった推本の再評価結果を、九電に丸投げし、審査が通るように配慮した、としか思えない対応なのだ。
つまりは茶番。
「再稼働ありきの審査」、ということになる。
フクシマの教訓は、何も生かされていない。
知事もグル
「再稼働ありき」は、川内原発を抱える鹿児島県知事も同じ。
つい先日も、規制委が、川内原発を優先審査する方針であることについて、「ありがたい」と明言。
もともと、再稼働への同意は県と立地自治体だけで十分、と公言するほどの知事だけに、わが意を得たりの心境なのだろう。
周辺自治体でも説明会を開くというが、どうせ形だけ。
この知事は、アリバイだけ作れば何をやってもいいと考えている独裁主義者。
原子力ムラとグルになって、再稼働に向けてがむしゃらに進んでいくものと見られている。
原発がらみは、どれも茶番だ。
原発温排水 画像があばく九電と佐賀県の「嘘」
2014年5月12日
原発をめぐる、電力会社や立地自治体の「嘘」が、また一つ明らかになった。
九州電力や佐賀県は、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)から排出される「温排水」の影響評価について、「変化なし」と公表してきたが、
佐賀県在住のダイバーが潜水調査した結果、原発停止後、海中の生態系が、劇的に変化している状況が確認された。
原発停止の数年前、温排水の放水口そばは、海藻類がまったくない状態。
これに対し、福島第一原発の事故を受けて、玄海原発が停止された後は、「クロメ」などの植物が繁茂し、豊かな自然を感じさせる情景に変わっていた。
原発をめぐる原子力ムラの嘘やごまかしが、フクシマ以後も続いていることを証明する事実だ。
(写真は玄海3、4号機)
温排水影響調査
玄海原発を抱える佐賀県と、事業者である九電は、年度ごとに、原発の運転状況や、周辺環境放射能の調査結果に加え、
「温排水」がもたらす影響調査の結果を公表してきた。
「温排水」とは、原発から放出される海水のこと。
原発の炉内を循環した冷却水は、高温となるため、パイプに通して、周りを海水で冷やす。
この海水を吸い込むのが「取水口」で、役目を終えた海水を、再び海に出すのが「放水口」。
海水は温められて放出されるため、「温排水」と呼ばれる。
温排水は、取水したときから、7度を超えて上がらないよう定められているが、国や電力会社の公表資料には、「7度」の根拠など皆無。
原発特有の、裏づけのない一方的な基準で、温排水が垂れ流されてきた、というの実情だ。
HUNTERは、佐賀県が公表した、平成24年度の「温排水影響調査結果(佐賀県実施分)」と「温排水影響調査結果(九州電力実施分)」に注目し、その内容を確認した。
九電の調査は、季節ごとに実施されており、下は、平成22年度と24年度の、冬季における「潮間帯生物出現一覧表」である。
22年度冬季
24年度冬季
動植物の順番や種類、出現数などに若干の違いが認められるが、じつはその内容大に大きな変化はなく、
24年度の九電調査結果の「要約」には、そのことが明記されている(下がその「要約」の一部。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。
九電は、水質、底質、プランクトン、潮間帯生物ともに、「過去の調査結果と同程度」だとしており、佐賀県も、この調査結果を追認した形。
が、残念ながら、これは周辺海中の実情を正確に反映しておらず、調査結果は「嘘」だと言っても過言ではない。
画像は語る
下は、佐賀県在住のダイバーが撮影した、平成22年頃の、放水口そばの海中の状況。
魚類はいるが、海藻などの植物は視認できない。
もちろん、玄海原発は運転中。
取水された海水が「7度」上昇することで、植物の生育を妨げていたことが分かる。
平成20年頃の放水口そばの状況。画像の奥に放水口が見える。
この、まるで死の海のような様子が、劇的に変化したのが、原発の停止後。
下の写真は、今年の春、前掲の写真とほぼ同一の場所で撮影された一枚だが、「クロメ」と呼ばれるカジメ属の褐藻が繁茂しているのが分かる。
原発周辺の海に詳しい関係者の話によれば、平成24年には、すでに同じような状況が現出していたという。
今年春の同じ場所付近。クロメでいっぱいの海の中の状況。写真奥に放水口。
九電や佐賀県は、調査地点や調査方法の違いを、言い訳の材料に持ち出してくるのだろうが、画像はなによりも正直。
違いは歴然としており、「過去の調査結果と同程度」という報告を、信じる者はいないだろう。
原発停止前と後の、同じ位置でのワンショットが、温排水についての九電や佐賀県の「嘘」を証明している。
放射能まみれの廃液垂れ流し
温排水は、ただ海水の温度を上げるだけのものではない。
九電は、原発内で発生した、放射能まみれの「液体廃棄物」を、温排水に混ぜてたれ流し続けてきた。
下の文書は、九電が国に提出した、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する「原子炉設置変更許可申請書」の添付文書だが、そのことが明記してある。
(赤いアンダーラインと矢印は、HUNTER編集部)
川内原発の温排水めぐる「嘘」
温排水絡みの「嘘」やごまかしは、枚挙にいとまがない。
電力各社で組織された、電気事業連合会(電事連)のホームページには、温排水対策として、
“取水口は温排水が再循環しないような位置に設ける”と明記しているが、これが真っ赤な嘘。
九電の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の取水口と放水口は、下の図のような位置関係にあるため、
再循環が起きており、このことは、『反原発・かごしまネット』の海水温調査によって明らかとなっている。
反原発・かごしまネットの調査によれば、『温排水の水温上昇は7度以下』のはずなのに、
川内原発では、周辺環境より平均8.5度、最高10度も、高温化した温排水を放出していたという。
データ捏造も
九電の体質を示す、「捏造」の事実も存在する。
電力各社は、温排水によって温度が上昇する海域の実態を調査し、原発立地県に報告する義務があるのだが、
平成22年、温排水の危険性を独自に追跡していた『反原発・かごしまネット』のメンバーが、
九電の海域モニタリングの調査結果に、虚偽があったことを見つけていた。
九電の調査結果には、温度データと等温線が書いてあり、いずれも1度上昇を示す等温線が、"2km"以内となっていた。
だが、反原発・かごしまネットのメンバーが精査したところ、等温線の外側にも、海水温上昇を示す数字があることに気付いたという。
次の2枚の資料を見れば、一目瞭然だ。
(注:色づけ部分が広がった高温域)
九電は、温排水の拡散範囲を、意図的に小さく見せかけ、
かねがね公表していた『温排水の1度上昇範囲は2km内外』に、無理やり当てはめようとしていたのである。
確認された平成12年以降、なんと、17枚もの捏造があったという。
九電や原発立地県は、こうした嘘やごまかしが露見するたび、都合のいい言い訳をして、原発の安全性だけを強調してきた。
しかし、玄海原発放水口付近の画像や、川内原発に関する調査結果が、原子力ムラの「嘘」を証明している。
これは、「神話」などという、きれいな言葉で括れるような話ではない。
それでも再稼働が許されるのか――?
↑以上、転載おわり
まさに、キリが無いというのはこのことです。
よくもこんなデタラメなものが、いまだに堂々と、みなさんの電気代や税金を湯水のように使いながら存在し得ているもんです。
バカらしいと思いませんか?
原発はウソとデタラメの権化です。
だって、こんな地理条件の国に、原発などというものを建てるには、ウソをつき、デララメを言い、言動ともに暴力を駆使するしかありませんから。
もう、建ってしまったのはどうしようもありません。
だから、二度と稼働させない!と、反対の意を強く表明し、行動していくしかありません。
相手は、これまで通り、堂々と、ゴリ押しする気でいるのですから。
↓以下、『ニュースサイト ハンター(HUNTER)』の、4月と5月の記事をふたつ、続けて転載させていただきます。
文字色の変更と強調は、わたしの一存で行いました。
川内原発安全審査の茶番 九電が「活断層調査」の誤り否定
2014年4月8日
「原発の安全審査は茶番」――そうした声が聞こえてきそうな、電力会社と原子力規制委員会との馴れ合い審査の実態が、浮き彫りとなった。
原発再稼働第一号になることが確実視される、九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査をめぐり、
国の地震調査研究推進本部(推本)が否定したはずの、九電による「活断層調査」を、九電側が「間違っていない」と認識していることが、明らかとなった。
九電が提出した安全審査のための書類には、推本の指摘を反映させた、基準値振動の値を明記した九電だが、これ自体、形ばかりのものだったことになる。
否定された九電の活断層調査
HUNTERは昨年1月、推本が実施した活断層再評価のうち、川内原発に近接する「市来断層帯」に関する議事録を、文部科学省に情報公開請求。
平成24年5月17日、同6月25日、同7月26日にそれぞれ行われた第16回、第17回、第18回の、地質調査委員会長期評価部会の、分科会議事録を入手した。
議事録によれば、平成24年に行われた会議で、
九電の地質調査結果(平成21年『川内原子力発電所敷地周辺・敷地近傍の地質・地質構造(補足説明:その2)』。右が表紙)である。上記がその表紙)を酷評、
川内原発にもっとも近接する「市来断層帯」を、大幅に海側に延ばすなど、川内原発の安全性に疑問符を付けた形となっていた。
市来断層帯に関する議論では、同年5月17日の第16回分科会で、九州電力の資料を基に議論することで一致。
6月25日には、川内原発沖の甑海峡にある甑断層が、北に延びる可能性と、内陸を走る市来断層の海域部分が、さらに延びることなどが確認されていた。
詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘し、再評価結果が、川内原発の安全性評価に影響を与えることを示唆している。
下は、この時の議事録の一部だ。
(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
同年7月26日に行われた第18回分科会では、さらに踏み込んで、
九電作成の資料について、「参考資料3-1-2の解釈はとにかくひどいものである」と酷評。
「最もひどいのは、地表面(海底面)にまで断層変位が及んでいるにも関わらず、断層の存在を全く無視していることである」として、未公表の断層があることも示唆していた。
(下はその議事録。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
この推本の再評価結果を受けて、原子力規制委員会は、九電が出した川内原発の安全審査に対し、次のような指示を行っている。
《検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による、
断層の長さより短く評価したものなどについては、少なくとも、推本評価を反映して評価し直すこと》――下の文書、アンダーラインの部分が、活断層評価に関する指示である。
(まうみ注・この表を転記できませんので、ここに書き写させていただきます)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
九州電力(株)川内原子力発電所1-2号機の真性内容に関わる主要な論点
新規性基準に対して提出された原子炉設置変更許可申請等に関し、これまでの審査会合やヒアリングを通じて確認した結果、主要な論点を以下の通り指摘する。
これらについては、特に今後詳細な説明を求める。
なお、これらは、現時点におけるものであり、今後の審査の進捗により変更が有り得る。
(地盤・地震関係)
● 評価の対象としている破砕帯の代表性の適切性を判断するため、全ての破砕帯の調査・評価に関わるテータを提示すること。
● 検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による断層長さより短く評価したものなどについては、少なくとも推本評価を反映して、評価し直すこと。
● 「震源を特定せず策定する地震動」に関して、基準地震動評価ガイドにある地震観測記録収集対象事例の16地震について、観測記録等の分析・評価を実施すること。
● 敷地地下構造を把握するために実施している地震観測記録の分析について、特異な傾向の有無を確認するため、全ての評価結果を提示すること。
(津波関係)
● 海域の活断層による津波については、推本評価を反映した震源断層の連動等を考慮した場合の検討を行うこと。
● 海域の活断層以外の波源による津波の評価の全体を示すこと。
(火山関係)
● モニタリングの対象となる全ての火山について、大規模火山活動の予兆を捉え
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
規制委の指示を受けた九電が提出した、最終的な資料が、次のものだ。
地震動評価や津波影響評価において、推本の再評価を反映させた形とはなっているが、
九電がかつて国に提示し、推本から酷評された活断層調査については、間違いだったのかどうかさえ明示されていない。
《一部の活断層については、当社より長く評価》と表現、自社調査の結果について、大した間違いはないと言わんばかりだ。
しかし、推本は、九電調査の『一部』について酷評したのではなく、前述の「市来断層帯」を含めて、川内原発周辺すべての九電調査について評価し直していた。
九電資料は、川内原発周辺の活断層を、F-A、F-B、F-C、F-D、五反田川断層、F-E、F-Fの7つに分けて評価しているが、
推本ではF-C断層、F-D断層、五反田川断層を、それぞれ甑海峡中央区間、吹上浜西方沖区間、市来区間と呼んで再評価。
残るF-A、F-B、F-E、F-Fの活断層は、上甑島北東沖区間、辻の堂断層を含む区間、および甑区間の三つに区分され、「甑断層帯」として再評価していた。
下記の上が九電の資料、下が推進本部の、公表資料にある図面である。
九電資料
推進本部の資料
それぞれの断層についての九電側の評価と、推本による再評価結果は、大きく違っている。
まず、九電の言い分。
【F-A断層】
F-A断層については、活動性を考慮し、北東部は断層が認められないs14測線まで、南西部は後期更新世以降の地層に、変位・変形が認められないNo21m測線まで延長した、長さ約18kmとして評価する。
【F-B断層】
F-B断層については、活動性を考慮し、北東部は後期更新世以降の地層に変位・変形が認められないs24測線まで、南西部は断層が認められないs30測線まで延長した、長さ約15kmとして評価する。
【F-A断層とF-B断層の連続性について】
F-A断層、及びF-B断層は、それぞれ累積的な変位・変形構造が認められ、F-B断層の北東側の伏在断層については、後期更新世以降の活動は認められない。
ブーゲー異常においては、F-A断層、及びF-B断層周辺では、連続する構造が認められるものの、
前期更新世の地層であるC層の層厚分布の形態等からは、両断層が連続する構造は認められない。
後期更新世以降の活動が認められる両断層の離隔は、5km以上である。
以上のことから、F-A断層及びF-B断層は、\連続しないものと判断した。
一方、地震調査研究推進本部の再評価ではこうなる。
【地震調査研究推進本部の再評価】
甑区間の北東端の位置、及び南西端の位置については、九州電力株式会社(2009)に示されている。
九州電力株式会社(2009)は、本評価の甑断層が、上甑島の南方海域において途切れ、これより北東側をF-A 断層、南西側をF-B 断層とした。
九州電力株式会社(2009)は、この活断層が途切れるとした区間における構造について、地下でF-A 断層とF-B 断層をつなぐように伏在するものの、
海底に近い部分にみられる、反射面の不連続は不整合面であり、活断層ではないとした。
ところで、甑断層は、重力異常の勾配の大きい領域に一致し、この領域は、九州電力株式会社(2009)が活断層ではないとした区間でも認められる。
また、この不整合面とされた区間を含む、甑断層の南西部分の音波探査断面には、海底に窪地状の地形が存在し、
さらに、九州電力株式会社が不整合面とした、反射面の不連続の上盤側では、地層に引きずり状の変形が認められることから、甑区間の活動を示している可能性がある。
以上のことから、甑区間は上記の北東端から南西端にかけて、途切れることなく断層が連続して分布しているものと推定した。
そして推本の結論――
《甑断層帯においては、過去の断層活動に関する調査研究が行われておらず、現状では、地震後経過率等の評価を行うことができない。
今後、最新活動時期や平均活動間隔など、過去の断層活動を明らかにするための調査が必要である。
甑区間は、推定される活動時の地震規模が、M7.5 程度と大きいうえ、上下方向のずれを伴う沿岸海域の活断層であることから、津波の発生を検討する必要がある》
「M7.5」、「津波の発生」― 政府機関が、甑断層帯について、大きな危険性があることを指摘した形だが、
これは、川内原発の安全性に、警鐘を鳴らしたも同然だ。
右上の写真は、川内原発の現在の状況である。川内原発の温排水を放出する「放水口」近くの砂浜から撮影した一枚だが、
一帯に樹木が生い茂るだけで、防潮堤などの整備は行なわれていない。
これで、本当に安全と言えるのだろうか。
九電―「間違っていない」
推本の活断層再評価結果を反映させ、基準値振動を「620ガル」に引き上げたという九電だが、
想定されるマグニチュードがどの程度のものか、資料には明示されていない。
そもそも九電は、自社の活断層評価をどう見ているのか――、九電に取材した。
驚いたことに、九電広報の答えは、「当社の活断層評価は間違っていません」。
推本の再評価で酷評されている調査結果を、「間違いではない」と主張する。
何度聞いても同じ答えで、それが九電の正式見解なのだという。
それでは、なぜ、基準値振動の策定に、推本の再評価を反映させたのか?
これに対しては、明確な回答はなかった。
要は、川内原発再稼働を急ぐため、とりあえず、規制委の言う通りにやったということだ。
ために、「620ガル」の根拠があやふやで、なぜこの数字に落ち着いたのかの、科学的裏付けが出されていない。
「再稼働ありき」が規制委の姿勢
これを良しとした規制委も、随分と無責任だ。
前述したように、推本の再評価における議論の中では、市来断層帯についての詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘している。
これは、再評価そのものが不完全だったことを示している。
しかし、保安院を引き継いだ形の規制委は、この検討作業を行っていない。
不完全だった推本の再評価結果を、九電に丸投げし、審査が通るように配慮した、としか思えない対応なのだ。
つまりは茶番。
「再稼働ありきの審査」、ということになる。
フクシマの教訓は、何も生かされていない。
知事もグル
「再稼働ありき」は、川内原発を抱える鹿児島県知事も同じ。
つい先日も、規制委が、川内原発を優先審査する方針であることについて、「ありがたい」と明言。
もともと、再稼働への同意は県と立地自治体だけで十分、と公言するほどの知事だけに、わが意を得たりの心境なのだろう。
周辺自治体でも説明会を開くというが、どうせ形だけ。
この知事は、アリバイだけ作れば何をやってもいいと考えている独裁主義者。
原子力ムラとグルになって、再稼働に向けてがむしゃらに進んでいくものと見られている。
原発がらみは、どれも茶番だ。
原発温排水 画像があばく九電と佐賀県の「嘘」
2014年5月12日
原発をめぐる、電力会社や立地自治体の「嘘」が、また一つ明らかになった。
九州電力や佐賀県は、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)から排出される「温排水」の影響評価について、「変化なし」と公表してきたが、
佐賀県在住のダイバーが潜水調査した結果、原発停止後、海中の生態系が、劇的に変化している状況が確認された。
原発停止の数年前、温排水の放水口そばは、海藻類がまったくない状態。
これに対し、福島第一原発の事故を受けて、玄海原発が停止された後は、「クロメ」などの植物が繁茂し、豊かな自然を感じさせる情景に変わっていた。
原発をめぐる原子力ムラの嘘やごまかしが、フクシマ以後も続いていることを証明する事実だ。
(写真は玄海3、4号機)
温排水影響調査
玄海原発を抱える佐賀県と、事業者である九電は、年度ごとに、原発の運転状況や、周辺環境放射能の調査結果に加え、
「温排水」がもたらす影響調査の結果を公表してきた。
「温排水」とは、原発から放出される海水のこと。
原発の炉内を循環した冷却水は、高温となるため、パイプに通して、周りを海水で冷やす。
この海水を吸い込むのが「取水口」で、役目を終えた海水を、再び海に出すのが「放水口」。
海水は温められて放出されるため、「温排水」と呼ばれる。
温排水は、取水したときから、7度を超えて上がらないよう定められているが、国や電力会社の公表資料には、「7度」の根拠など皆無。
原発特有の、裏づけのない一方的な基準で、温排水が垂れ流されてきた、というの実情だ。
HUNTERは、佐賀県が公表した、平成24年度の「温排水影響調査結果(佐賀県実施分)」と「温排水影響調査結果(九州電力実施分)」に注目し、その内容を確認した。
九電の調査は、季節ごとに実施されており、下は、平成22年度と24年度の、冬季における「潮間帯生物出現一覧表」である。
22年度冬季
24年度冬季
動植物の順番や種類、出現数などに若干の違いが認められるが、じつはその内容大に大きな変化はなく、
24年度の九電調査結果の「要約」には、そのことが明記されている(下がその「要約」の一部。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。
九電は、水質、底質、プランクトン、潮間帯生物ともに、「過去の調査結果と同程度」だとしており、佐賀県も、この調査結果を追認した形。
が、残念ながら、これは周辺海中の実情を正確に反映しておらず、調査結果は「嘘」だと言っても過言ではない。
画像は語る
下は、佐賀県在住のダイバーが撮影した、平成22年頃の、放水口そばの海中の状況。
魚類はいるが、海藻などの植物は視認できない。
もちろん、玄海原発は運転中。
取水された海水が「7度」上昇することで、植物の生育を妨げていたことが分かる。
平成20年頃の放水口そばの状況。画像の奥に放水口が見える。
この、まるで死の海のような様子が、劇的に変化したのが、原発の停止後。
下の写真は、今年の春、前掲の写真とほぼ同一の場所で撮影された一枚だが、「クロメ」と呼ばれるカジメ属の褐藻が繁茂しているのが分かる。
原発周辺の海に詳しい関係者の話によれば、平成24年には、すでに同じような状況が現出していたという。
今年春の同じ場所付近。クロメでいっぱいの海の中の状況。写真奥に放水口。
九電や佐賀県は、調査地点や調査方法の違いを、言い訳の材料に持ち出してくるのだろうが、画像はなによりも正直。
違いは歴然としており、「過去の調査結果と同程度」という報告を、信じる者はいないだろう。
原発停止前と後の、同じ位置でのワンショットが、温排水についての九電や佐賀県の「嘘」を証明している。
放射能まみれの廃液垂れ流し
温排水は、ただ海水の温度を上げるだけのものではない。
九電は、原発内で発生した、放射能まみれの「液体廃棄物」を、温排水に混ぜてたれ流し続けてきた。
下の文書は、九電が国に提出した、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する「原子炉設置変更許可申請書」の添付文書だが、そのことが明記してある。
(赤いアンダーラインと矢印は、HUNTER編集部)
川内原発の温排水めぐる「嘘」
温排水絡みの「嘘」やごまかしは、枚挙にいとまがない。
電力各社で組織された、電気事業連合会(電事連)のホームページには、温排水対策として、
“取水口は温排水が再循環しないような位置に設ける”と明記しているが、これが真っ赤な嘘。
九電の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の取水口と放水口は、下の図のような位置関係にあるため、
再循環が起きており、このことは、『反原発・かごしまネット』の海水温調査によって明らかとなっている。
反原発・かごしまネットの調査によれば、『温排水の水温上昇は7度以下』のはずなのに、
川内原発では、周辺環境より平均8.5度、最高10度も、高温化した温排水を放出していたという。
データ捏造も
九電の体質を示す、「捏造」の事実も存在する。
電力各社は、温排水によって温度が上昇する海域の実態を調査し、原発立地県に報告する義務があるのだが、
平成22年、温排水の危険性を独自に追跡していた『反原発・かごしまネット』のメンバーが、
九電の海域モニタリングの調査結果に、虚偽があったことを見つけていた。
九電の調査結果には、温度データと等温線が書いてあり、いずれも1度上昇を示す等温線が、"2km"以内となっていた。
だが、反原発・かごしまネットのメンバーが精査したところ、等温線の外側にも、海水温上昇を示す数字があることに気付いたという。
次の2枚の資料を見れば、一目瞭然だ。
(注:色づけ部分が広がった高温域)
九電は、温排水の拡散範囲を、意図的に小さく見せかけ、
かねがね公表していた『温排水の1度上昇範囲は2km内外』に、無理やり当てはめようとしていたのである。
確認された平成12年以降、なんと、17枚もの捏造があったという。
九電や原発立地県は、こうした嘘やごまかしが露見するたび、都合のいい言い訳をして、原発の安全性だけを強調してきた。
しかし、玄海原発放水口付近の画像や、川内原発に関する調査結果が、原子力ムラの「嘘」を証明している。
これは、「神話」などという、きれいな言葉で括れるような話ではない。
それでも再稼働が許されるのか――?
↑以上、転載おわり