ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

原発ムラを護る要塞⇒『原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)の第4条3項』の改正廃棄を叶えよう!

2014年05月28日 | 日本とわたし
今朝、想田監督がツィッターで、こんなことをポツリとつぶやいていました。

「これ、いまさらですけど非常に興味深い。→平田オリザさんからの台湾速報(内田樹の研究室)」

わたしも興味深かったので、さっそく覗いてみました。
4月6日に書かれた記事です。
文字の強調は、わたし自身の考えで行いました。

↓以下、転載はじめ

内田樹の研究室

平田オリザさんからの台湾速報

佐藤学先生と入れ替わるように、台湾の大学で集中講義をされた平田オリザさんから、台湾事情について、たいへん興味深いレポートが寄せられました。
ふうむ、そういうことなのか・・・

第一報(4月4日)

佐藤先生と入れ替わりで、四月一日から台湾に来ています。
国立台北藝術大学で、五日間の集中講義(ワークショップ)をしています。

立法院の占拠は、政府が強攻策をとるという噂もあれば、このまま持久戦に持ち込んで、学生が疲れるのを待つのではないかという説もあります。
今週は、台湾の大学は、もともと休みなので(私は、その期間を利用して行う公開講座の講師として呼ばれたのですが)、大学が再開される来週からが山場かもしれません。

私が今いるのは、芸術系の大学ですので、教授陣も全員が学生側を支持しています。
今回は特に、「サービス貿易協定」で、言論の自由を実質的に封殺される可能性の高い、演劇、映画、出版界などからの支持が強いようです。
30日(日)のデモには50万人、全国では70万人以上の人々が、デモに参加したといわれています。
台湾の人は、普段は政治に無関心な人間が多いのに、これは異常な数字だ」と、私を招いてくれた教授も言っていました。
馬英九の支持率は、実質は5%を切っているのではないか、と噂されています。

今回の学生運動と、その支持が大きく広がったのは、運動の過程を通じて、
中国資本の浸透が思っていた以上に進んでいたという事実が、はからずも露呈した、ということがあるようです。

たとえば、地方から運動に参加する学生たちが、バスをチャーターしようとしたところ、多くのバス会社に中国資本が入っており、バスを貸さないという事態が起こった
あるいは、テレビは、中国資本の影響(直接的な資本参加とCMのスポンサーとしての影響)が強いので、公平な報道をしていないといった事実。
こういったことが重なって、一般市民が危機感を強めたようです。
たまたま、先週は香港にいたのですが、香港でも、中国資本による柔らかい言論封殺への危機感が、叫ばれていました。
30日のデモでは、香港でも800人の市民が、連帯を示すデモをしました。
私の中国の友人も、「いま中国は、共産党とグローバリズムの、二つの抑圧を受けている」と言います。
韓国などでは成立した、「経済の繁栄が民主化を促す」というモデルが、完全に破綻した世界に、私たちは生きていると、認識すべきなのかもしれません。

明日の夜には帰国なので、もう少し早くご報告出来れば良かったのですが、朝から夕方まで授業をしているので、ご連絡が遅くなりました。


第二報(4月5日)

いま、台北の松山空港です。
すべての日程を終えて、搭乗を待っているところです。
やはり、今日、明日にも、警官隊が突入するのではないかと噂になっています。
昨日まで通常の装備だった警察隊が、昨夜から、防弾チョッキなどを身につけているとも言われています。
暴力行為が心配されます
大統領は、週明けには、立法院を正常化する方針のようです。

私は、佐藤先生のように現場に行ったりしたわけではないので、あくまで側聞に過ぎませんが、大きな問題点をいくつか、まとめてみました。

1.台湾の産業の空洞化は、ある意味では日本以上に進んでいて、大企業の工場の中国移転は、すでに完了している。
問題は、その大企業が大陸で儲けた金が、台湾に戻ってくるときに、現在は大きく課税されいるが、新しい協定ではこれがなくなる。
要するに、儲かるのは大企業に投資した資本家たちだけ
その投資家たちは、台湾で金を使うわけでもないし(国民党に献金はするだろうが)、納税するわけでもないし、国内に再投資をするわけでもない。
一方、現在、九割以上と言われる台湾の中小企業は、中国資本の進出によって、壊滅的な打撃を受ける

2.国民党は、台湾全土にネットワークを持っていて、選挙に強い
そのため、国会議員の選挙では、民進党はなかなか勝てない。
総統選挙で勝ったとしても、少数与党になりがち
また、反国民党が、党是のような野党体質の党なので、派閥が多く内紛も絶えない
といった背景から、もともとあんまり政治に関心のない台湾国民は
「やっぱり安心なのは国民党」という感じで巨大与党を選んだら、それが暴走し始めて現在に至っている
という、どこかの国の近い将来を、予感させる状態になっている。

3.これほど広範囲な運動になったのは、前回報告したように、中国資本に対する漠然とした不安が、顕在化したことにある。
誰も、台湾が中国に飲み込まれることを望んでいない



中国嫌いの安倍政権にとっては、今回の反対運動は、シンパシーを持つべきものだと思いますが、
それは一方で、経済のグローバル化に反対する、という自己矛盾を起こします。
世界がバルカン化する状況の中で、反中国色を強めながら、いわゆる「中国化」していることに無自覚な安倍政権の外交政策が、よりいっそう迷走することも懸念されます。


最後に、私の仕事について。
今回のミッションは、五日間、毎日6時間ワークショップをするというものでした。
今日は最後の成果発表の日で、28人が4チームに分かれて、15分ほどの劇を作り上演しました。
ある班のストーリーは、以下のようなものでした。

・河口湖畔のホテル、富士山のいちばんよく見えるスイートルームが舞台。
 この部屋は、子作りパワースポットしても有名。
・そこに、中国人の夫婦が、子作りのためにやってくる。
・部屋でくつろごうとすると、バスルームから、台湾人の女性が出てくる。
 どうもダブルブッキングしたらしい。
・いろいろもめるが、オーナーを呼んでくることになる。
・オーナーは、このホテルを最近買い取った中国人で、当然、中国人夫婦の味方をする。
・台湾人女性、怒って部屋の中で座り込みを決行(ここで観客から大拍手)。
・台湾人女性のフィアンセのアメリカ人実業家が、遅れてやってくる。
・アメリカ人実業家との提携話を進めるために、中国人オーナーは、突如、台湾人女性の味方をする。
 中国人夫婦激怒。
・オーナー権限で全員、退去させられて、台湾人女性とアメリカ人のフィアンセが残る。
 台湾人女性は、早く子作りをしようと迫る。
 しかし、アメリカ人は東洋かぶれで、「もう儲けるだけ儲けたから、全財産を寄付して、日本で出家する」と言って去って行く。
・ここで、掃除にやって来た日本人女性従業員と 中国人オーナーの不倫がばれる。
 共働きの日本人従業員の夫が泣き出す。
 台湾人女性は、アメリカ人を追いかけて出て行く。
・みな、部屋に戻ってくる。
 日本人女性従業員が、オーナーの子供を身ごもっていることを告白。
 中国人夫婦が「どこで身ごもったの?」と聞くと、女性従業員から「下の部屋です」という答えが返ってきて、夫婦は急いで子作りのために下の部屋に移動。
 中国人オーナーは、「これでどうにかして」と、札束を女性従業員に投げつけて逃げ去る。
・残った日本人夫婦が、窓の外を眺めながら、「やっぱり富士山いいよね」としんみり話していると、富士山が噴火し始める。


この劇を作った学生たちに聞くと、このホテルのスイートルーム自体が、尖閣諸島のイメージなのだそうです。
単純なネトウヨの人とか怒るんでしょうけど、でも、この芝居における台湾学生の国別好感度は、台湾-日本-アメリカ-中国なんですね。

楽しい五日間でした。

↑以上、転載おわり


この記事が書かれた時の、台湾の学生による立法院の占拠が、どのような状態だったのか。
ウィキペディアに書かれていることを、ここに転載します。

4月4日
馬英九は、学生らが制定を求めていた、立法院などの監視機能を定めた法令案(両岸協議監督条例)を、行政院で決定した。
学生らの要求に対して、一定の譲歩を示したが、学生側はより透明性の高い制度を要求しており、
さらに、サービス貿易協定そのものを見直すよう求めている
馬英九が一定の譲歩を示したことで、4月2日から3日にかけてのTVBSの世論調査では、立法院からの退去を主張する意見が33%となり、占拠継続への支持26%を逆転し、上回った。

4月6日
立法院の王金平院長は、学生側の要求に応じ、「両岸協議監督条例」が法制化されるまで、サービス貿易協定の審議を行わないと表明すると共に、学生側に議場から撤退するよう呼びかけた。
この提案を受けて学生側は、「この段階での任務を達成した」として、4月10日に立法院から退去することを発表した。

4月10日
学生たちは、立法院の議場から退去した。
しかし、退去に反対する一部の学生は、立法院の敷地内に留まっている。
この一連の事態の中で、台湾の民放の世論調査では、馬英九総統の支持率は、10%前後にまで低下した。

4月16日
中華人民共和国の国務院は、学生の動きについて、両岸関係の平和的発展のプロセスを破壊、妨害するものと批判した。
この事件により、中国の中台統一に向けた動きは、仕切り直しを迫られることが予想される



昨日からずっと、考え続けていることがあります。
それは、あんな過酷な事故を起こし、その収束も全くできず、汚染を日々増幅し続け、放射能汚染による被害に苦しむ人々を保護することもなく、
事故などまるで無かったかのように、のうのうと、それまでの姿勢を崩さず、原発ホイホイを押し通している原発ムラの土手っ腹に、
いったいどうしたら、致命的な風穴を空けることができるのか……ということです。

やっぱりアレではないかな……。
アレですアレ。
原発を造る企業、原発を勧める人間、原発に融資する金融機関、原発を擁護する機関、それらすべてが、事故が起きても責任を取らなくてもよい、という法律です。
こんな法律が、原発が54基もある、人口密度が極めて高い、地震まみれの小さな島国に存在し、様々な費用の支払いから事故の後始末まで、国民に責任を転化しています。
だから、莫大な費用がかかることもへっちゃら、事故が起こっても他人事、原発に関わる企業、人間、金融、研究施設は、ヘラヘラとしていられるのです。

その法律とは、
原子炉メーカーの無責任を保障する「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」の第4条3項・「原子炉の運転等により生じた原子力損害については、(中略)製造物責任法の規定は適用しない」というもの。

これをなにがなんでも改正させなければなりません。

学生といわず大人といわず、とにかく全国一体となって、
憲法に守られているはずの我々主権者の権利を、根底から侵し続けているこの悪法の撤去を実施させない限り、
日本はこれからも、何も変わらず、何も阻止できず、ただただ心身ともに弱り果てていくだけだと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする