ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

人でなしらが目論む戦争ゴッコから、日本を遠ざけ続けてきた九条を、愚か者の手に渡してはならない!

2014年05月17日 | 日本とわたし
先日から続けて、アフガニスタンの灌漑用水路の建設や農業振興に尽力している『ペシャワール会』の現地代表でおられる中村医師の言葉を、紹介させていただきました。

その数々の言葉から。

「『ペシャワール会』が狙われたことは一度もありません」
「極端なことを言えば、欧米人に対しては、まったく躊躇がない。
白人をみれば、「やっちゃえ」という感覚はありますよ。
でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです」

「いちばんのキッカケは湾岸戦争。
そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。
アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした。
その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね」

「向こうに行って、9条が、バックボーンとして、僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。
体で感じた想いですよ」
 
「武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。
それが具体的な形として存在しているのが、日本という国の平和憲法、9条ですよ。
それを、現地の人たちも、分かってくれているんです。
だから、政府側も反政府側も、タリバンだって、我々には手を出さない。
むしろ、守ってくれているんです。
9条があるから、海外では、これまで絶対に、銃を撃たなかった日本。
それが、ほんとうの日本の強味なんですよ」

一番冒頭の、
「『ペシャワール会』が狙われたことは一度もありません」
という言葉について、考えています。
2008年の夏に、『ペシャワール会』のスタッフとして、灌漑用水路建設や農業振興に尽力しておられた伊藤和也さんが、殺害されたということがあったからです。
中村医師が、会が一度として狙われたことはない、とおっしゃっていたインタビューの数ヶ月後に、この痛ましい事件が起きました。
中村氏の心中、そして伊藤さんの親御さんの気持ちを思うと、言葉が見つかりません。
たくさんの、関連する記事を読み、その中で一番、わたし個人の思いと近いと思う記事を、紹介させていただきたいと思います。

『日本がアブナイ!』というブログを書いておられるmewさんの記事を、紹介させていただきます。

↓以下、転載はじめ

「平和な生き方」を貫いた伊藤さん。
But(しかし)、アフガンではまた米が民間人を爆撃&日本にも圧力

2008年 09月 03日

1日、掛川市で、アフガンで亡くなった、ペシャワール会の伊藤和也さんの、「お別れの会」が行なわれた。

式には、伊藤さんの親族や同級生らのほか、NGO関係者やアフガン大使館の職員などが参列。
(日本政府からは、山本一太外務副大臣が)

そして、天皇・皇后ご夫妻からも、弔意が送られたという。
天皇・皇后ご夫妻は、伊藤さんの訃報に接され、音楽コンサートへの出席も取りやめられた
 
読売新聞記事より
2008年 09月 01日
『ペシャワール会の現地代表・中村哲医師(61)は、「お別れ会」で、
「彼は、すべての平和を愛する人々に代わって死んだ」と涙声を詰まらせながら、弔辞を述べた。

中村医師は、大干ばつに襲われたアフガニスタン東部で、かんがい用水路建設や農業振興に尽力した、伊藤さんの業績を紹介。

愚痴一つこぼさず、村人たちの生活を思いやり、必死で汗を流す姿は、多くの者に温かい励ましを与えた」とたたえた。
また、
和也君は、言葉ではなく、その平和な生き方によって、困った人々の心に明るさをともしてきた。
彼の生き方こそ、私たちへの最大の贈り物
」と強調した。
さらに、
平和は、戦争以上の忍耐と努力が要る。
和也君は、それを愚直なまでに守った。
和也君を倒した暴力主義は、私たちの心の中に潜んでいる。
今必要なのは、憤りと悲しみを、友好と平和への意志に変えることだ
」と訴えかけた。』

* * * * *

伊藤さんの「お別れの会」は、アフガンでも行なわれる予定だという。
そして、「自分に何かあったら、アフガンの土に埋めて欲しい」と言っていた、伊藤さんの遺志により、
火葬後の骨の一部は、伊藤さんが活動をしていたブディアライ村の畑近くに、埋められることに決まった。
また、村に伊藤さんの碑を立てて、農地の一部には、伊藤さんの名をつけた農園を設ける意向も明らかにされた。

また、ペシャワール会は、9月末までに、アフガンの日本人スタッフ7人全員を帰国させ、
現地の水源確保・医療事業は、アフガン人スタッフによって継続する方針を確認した
という。
 
中村医師は、5日にアフガンに戻り、活動を続ける
中村医師は、
引き揚げは残念だが、邦人の生命を優先せずに、活動への支持は得られない。
内戦状態が収まれば、日本人青年が、再び現地で汗を流すことがあるだろう
」と語ったそうだ。

* * * * *

私は、上述の中村氏の言葉に、感銘を受けた。
 
また、ここには、平和を愛する私たちが、心に刻むべき大切なことが、示されているように思う。

私たちは、『平和は、戦争以上の忍耐と努力が要る』ことを、もう一度、しっかりと認識しなければなるまい。
 
そして、
人間の心に潜む暴力主義をいかに抑えていくか、いかに「暴力には暴力を」という風潮を無くしていくか
を、考えて行かなければなるまい。
 
そのために今、最も求められているのが、何とか「憎しみの連鎖」を断ち切って、『憤りと悲しみを、友好と平和への意志に変えること』
なのではないか
と思うのだ。

そして、全く立場は違えど、私も伊藤さんのように、日常生活の中で、「平和的な生き方」を続ける人間でありたいとも思った。

同時に、このブログでは、言葉を用いて、ず~っと「平和な生き方」を訴え続けて行きたいと、改めて誓ったmewでもあった。


本当は9月2、3日に、この件に関わることについて、(武力行使や、国際貢献のあり方などのことも含め)ゆっくりと書きたいと思って、
関連の報道記事なども集めていたのだけど…。

1日に、福田首相がいきなり辞任会見をしてしまい、政治ブログとしては、これを軽視するわけにも行かないので。
この件については、またの機会に色々書ければと思っている。

ただ、この何日かの間に、伊藤さんのことや、アフガンに関して、気になるニュースが色々と出ていたので、
そのうちを一部を、ここにアップしておきたい。

* * * * *

まず、伊藤さんの死因に関する報道であるが…。

毎日新聞 8月31日
『アフガニスタンで、拉致、殺害された「ペシャワール会」スタッフ、伊藤和也さん(31)は、
銃で撃たれた左足太ももの、動脈切断による失血死だったことが31日、静岡県警の司法解剖で分かった。
 
解剖結果によると、死後4、5日が経過しており、死亡は26~27日とみられる。
銃傷は3カ所あり、左足の太もも2カ所は貫通、ひざ下1カ所は、体内に金属片が残っていた。
頭部や上半身に、目立った外傷はなかった。
 
県警捜査対策室によると、銃傷の状況などから、伊藤さんは、銃口を体に当てられた状態ではなく、一定の距離から撃たれたとみられる。ひざ下の金属片は、採取した。
詳しく鑑定して、銃の種類などを調べる。』



伊藤さんの傷の状態などについて、様々な情報が入り乱れていたのだが。
結局、銃傷は、脚の部分の3カ所で、死因は失血死であることがわかった。

他の報道では、頭や体の傷は、ほとんどなく、山中で転んだ際のかすり傷程度だったという。
それゆえ、頭を撃たれたとか、殴られたとかいう情報は、全くの誤りだったようだ。

検死結果から見ても、おそらく中村医師が語っていたように、
伊藤さんの救出に向かった村人たちが、犯行グループと銃撃戦を行なった際に、
犯人と一緒にいた伊藤さんが、巻き込まれる形で、脚に銃弾を受けてしまった可能性が高い。

そして、その一つが致命傷となって、亡くなったものと推察するのが、妥当なのではないだろうか?
そして犯人は、逃亡するに当たって、死亡したか、既に動けなくなっていた伊藤さんを、放置して行ったのだろう。

ちなみに、こちらも情報が錯綜しているのだが…。

アフガニスタンの政府寄りの報道では、
「犯行グループはタリバンの一味であり、最初から外国人を殺害する目的があった」などという話が出ていたり。
<タリバンは悪。外国人を敵視していることを強調して、アフガン攻撃を正当化したいから?>
 
タリバン側の報道官が、
「タリバンがやった。外国人を拉致して、殺せと命じた」などと発言しているようなのだが。
<政府や外国人を、威嚇する目的があるらしい>

犯行グループは、正確に言えば、「ヘクマティアル派」(ヒズベ・イスラミ)のメンバーで、タリバンではないようだ。
<ただこの派は、以前はタリバンと敵対関係にあったが、今は、タリバンが優勢であること&お互いに米国などを共通の敵としていることから、協力関係にあるという>

また、犯行グループの中に、「自分たちは殺していない」と供述する者や、
タリバン幹部の中に、「殺せとは命じていない」と証言する者もある、という報道も出ていたようで。

事件の全容に関しては、情報戦が展開されているため、真相を把握するのは、かなり難しいかも知れない。


そして、残念ながら、またアフガニスタンで、多数の民間人が殺傷される、爆撃が行なわれたというニュースが出ていた。

共同通信1日
『アフガン・イスラム通信は31日、アフガニスタン南部ヘルマンド州で、同日までの5日間に、
駐留外国軍部隊による軍事作戦に巻き込まれ、民間人、少なくとも500人が死傷した、と報じた。
地元議員によると、反政府武装勢力タリバンの資金源とされる、ヘロイン精製工場を狙って行われたとみられる空爆や砲撃で、近くの住民らが死傷したという。
死傷者数の内訳など、詳しい状況は不明。』



米軍は、タリバンを撲滅するために、今、タリバンが支配している地域の中でも、ヘロインの栽培地、精製工場などがあるところを、重点
的に攻撃している
、という報道を見たことがあるのだが…。
 
それらの地域では、アフガンの一般国民も生活しており、激しい空爆のために、人々が殺傷されたり、家や仕事の場を失ったりするケース
が増えている
ときく。
 
米国に言わせれば、タリバンと一緒にいる方がいけない、ということになるかも知れないのだが…。
 
もともとアフガンの一般国民が暮らしている町や村に、タリバンがやって来て、武力で支配するような感じなので。
住民たちは、他に行く場所もないし。
下手に逃亡すれば、生命の危険もあるし>
 
で、結局は、貧しさの中、何とか生活して行くために、または、時に脅迫されるような形で、ヘロインの原料になるけしの栽培や精製に、携わるしかないような住民もいるのだ。

それゆえに、伊藤さんのようなNGOの人たちが、農民たちが何か有効な作物が作れて、自活できるようにと考えて、
農業指導や、灌漑用水の設置の手伝いなどを、行なっていたりする
のであった。

そして、そんな住民の実情も考慮せず、ある意味では「人を人とも思わず」、こうして米軍&仲間たちが、アフガンの一般国民をどんどん殺傷して行けば行くほど、
タリバンだけでなく、一般国民たちも、米軍への怒り、恨みを募らせて、アフガンの戦闘は、泥沼に陥って行く
のである。

* * * * *

そして私は、そのような状況を見て、日本は、アフガン国民のためにならないような、国際貢献は為すべきでないと。
 
米国の要請に応じて、アフガンに自衛隊を派遣をするのは、絶対にやめるべきだし。
また、アフガン戦を支援するための給油活動も、終了すべきだと考えているのだが…。

今度は、G8議長国会議に参加するために来日している、米民主党のペロシ下院議長までが、給油活動の継続を要請して来たという。

読売新聞 1日
『河野衆院議長は1日午前、国会内で、米国のナンシー・ペロシ下院議長と会談した。

ペロシ議長は、日本の、海上自衛隊によるインド洋での給油活動について、
日本の支援は、アフガニスタンがテロとの戦いの主戦場になっている中で、大切かつ必要な活動で、今後も継続してもらうことを切に希望する」と述べた。
 
これに対し、河野氏は、
「福田首相は、臨時国会で議論することを考えていると思うが、野党がいろいろ反対しており、厳しい国会になるのではないか」と答えた。』



アフガニスタンを、勝手に「テロとの戦い」の主戦場にしてしまったのは、まさに米国であり、
しかも、上述のように、テロ撲滅との大義名分の下で、民間人の命や生活が失われていることを、
米国の政治家の多くは、ど~しても理解できないらしい。


ちなみに、ペロシ議長は、31日の夜に、他の議長らと共に、福田首相が主催した夕食会に出ており、
そこで、福田首相にも、米国側のメッセージを伝えた可能性がある。

福田首相は、7月のサミットの際に、ブッシュ大統領と新テロ特措法を延長する、というお約束をしていたという報道もあったのだけど。
 
公明党も民主党も協力してくれそうになく、法案成立のメドが立たないことから、
また米国側から圧力を受けて、そのことにもイヤ気が差して、首相辞任の気持ちを後押ししたのではないかと…、
そんな風に思ったりもしてしまうmewなのだった。

一部には、昨年の安倍前首相の辞任と同じように、福田首相も、米国との給油活動継続のお約束が守れそうになかったので、
責任をとって辞任せざるを得なかったのではないか、という話も出ていたりする


↑以上、転載おわり


そしてmewさんは、別の記事で、こんなふうにもおっしゃっています。

『私たちにできることは、やはり、この件をきっかけに、アフガンの現状を少しでも知ろうとしたり、
他の地域も含めて、戦争や武力行使における諸問題や、国際貢献や復興支援のあり方を、考えたりすることなのではないかと思うのだ。

そして何より、日本政府やタカ派保守系の、政治家や識者などが、政治的意図や思惑を実現するために、
伊藤さんの事件や死を利用することだけは、許容してはならない、と強く思っている』


勝手に作り上げられた戦争や紛争に巻き込まれ、それでもそこで、自分たちの暮らしをなんとか成り立たせようとしている人々。
自然がもたらした苦境とも闘わなければなりません。
住民の実情も考慮せず、ある意味では「人を人とも思わず」、大国の軍やその仲間たちが、自分たちの都合や欲を押し通そうと、アフガンの一般国民をどんどん殺傷して行けば行くほど、
タリバンだけでなく一般国民たちも、米軍への怒り、恨みを募らせて、アフガンの戦闘はさらに泥沼に陥って行くのです。
そしてそのような国や組織に、深く考えることもせず、請われるままに協力していく国もまた、多くの人たちの怒りや恨みを買うことになるのです。

武器をこの世から無くす。
現代には、実現させるなど、途方も無いことのように思える物事が、実にたくさんあります。
絶望に近い思いに陥ったりしますが、けれどもだから、やっぱり無理だと諦めてしまったら、ゼロがマイナスになってしまいます。
自分だけでもいい。
自分ひとりだけでも、言葉ではなく、その平和な生き方によって、困った人々の心に明るさを灯してきた伊藤さんの遺志を胸に、
この世から卒業するその日まで、平和の追求をし続けて生きたいと思います。
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