ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

『いちびり会』in大阪 パート3

2010年06月03日 | 友達とわたし
お腹がいっぱいになり過ぎて、なんや静かになってしもたchi-koちゃん、なにげに余裕をかましてるrobaちゃん、わたしと同じく肉巻き定食を頼み、「ちょっと味が濃かったなあ」と、既に自分でアレンジして試作する計画を練ってるかわちゃん、chi-koちゃんがどないしても完食できんかった海老天カレーうどんを平らげ、爪楊枝でしぃ~しぃ~しながら歩く仁ちゃん。

これからどないする?
「僕、仕事で4時にどうしても姫路に戻らなあかんねん」とかわちゃん。
頭の中の大阪地図をナビする仁ちゃん。

よっしゃ、通天閣行こ!

ディープサウス大阪。あいりん地区のある西成区。旦那がこよなく愛するジャンジャン横町。残念やったね旦那!
合計したらけっこう長いこと大阪に住んでたのに、いっぺんも足を運んだことがない三角公園。
まさかこんな形で行けることになろうとは……思いも寄らなかった展開に胸はどきどきわくわく。

助手席にかわちゃん、後ろに美女三人を乗せた仁ちゃん観光高級車は、するするとよどみなく、西成の深みに入って行った。
景色が少し様変わりしてきた。ワンカップを片手に通りで立ち飲みしてるおっちゃんがけっこうぎょうさんいる。なぜか皆、背がちっちゃい。

「ここが飛田新地。こんなん見るの初めてやろ」と、運転しながら仁ちゃんがボソッと言う。
後部座席の窓は、外からは見えない加工がしてあるので、外の様子が陰って見える。
けども、それでもわかる、なにやらすごく特異な世界。
両脇にずらりと並んだ、格子戸も美しい、一見こじんまりした料亭のような店の一軒一軒に、名前入りの電灯がついている。
豪快に開かれたどの玄関先にも、女性が二人座ってる。
どこのペアも決まってひとりは中年、ひとりは若い。

「あれがやり手婆、ほんでその横がおネエちゃんや」と仁ちゃん。

絶句するしかなかった……表向き、あまりにもあっけらかんとしたように見える売春宿の羅列。スゴ過ぎる……。



ゆっくりと車で通り過ぎる仁ちゃんとかわちゃんに、にこやかに微笑みかけるお姉ちゃんと手招きする横のおばちゃん。それを後ろの座席からこそこそ覗くわたし達。
あの暑い夏の、家具一切が持ち出されてった日の夜中に、辛うじて残ったシーツ一枚敷いて、縁側のかたい板間で眠っていたわたしに、父の友人だった島のおっちゃん(島さん、もう時効やからええよね)が電話で密告してくれへんかったら、ほんで、まだ高校生やった弟が、狼狽えてるわたしを「送ったるから」とバイクに乗せて家を飛び出してへんかったら、若いうちはこういうとこで働かされてたかもしれへん。
ほんで、もしかしたら根性出してこの世界なりに出世して、今頃ごうつく婆になって若い娘の横であんな感じで座ってたかもしれへん。
そんなことをしみじみ思いながら彼女達の顔を見ているうちに、少しだけ、ほんの少しだけ、哀しい思いがこみ上げてきた。

唖然としているわたし達とまるでフツ~の仁ちゃんは、車から降りた後、ジャンジャン横町に繰り出した。
 


串カツのうまそぉ~な店が次から次へと現れるのやけど、さっきのんがまだ胃の中に入り切らんと上がってきそうで、食べ物の写真を見ないようにして歩いた。



「ちょっとここで遊ぶか?」と言う仁ちゃんの後をついてったら、ありゃまあ、そこは懐かしいスマートボールの遊技場。



そこでもお父ちゃんみたいにゲーム台に小銭をちゃっちゃと入れて、「ほれ、遊べ」と言う仁ちゃん。
三人のかしまし娘は飛びついた。さっそくすっからかんになったのはわたし。ほんま、下手っちゅうかツキに恵まれん性分。
ちょっと粘ったのがchi-koちゃん、なんか知らんけどドカドカと玉が出てきて、ボテチと交換してはったんがrobaちゃん。めちゃ嬉しそうやったし。
そのゲーム途中に、とうとう時間切れになったかわちゃんが「ほな」と言いながら手を振ってるというのに、スマートボールに熱中する(勝ってる最中のchi-koちゃん&robaちゃん)は半分以上無視ってて、こういう感じでバイバイできるのもなんかええ感じ、なんて勝手に思いながらわたしと仁ちゃんは彼を見送った。

喉乾いたなあと、これも勝手知ったる仁ちゃんについてったら、すごい!ミルクセーキ屋さん!



卵がいっぱい積んである。注文したら卵割って、なにやら秘密の液体混ぜてミキサーでガ~ガ~。それを一人分ずつグラスに入れてくれる。
けど、ジュース屋さんやのに、店の奥の方から昆布を煮るええ匂いがプンプン。なんでなんで?
「あ、これ?昆布炊いてるねん」
「昆布の佃煮も売ってはるん?」
「ちゃうちゃう!家で食べるねがな~」とニッコリ。さすが、大阪のおばちゃん、自分とこの家用にしたら炊いてる鍋がめちゃデカい!

ついに来たでぇ~通天閣。待っててくれてありがとう~!



展望台から見た大阪は、新しいビルと瓦の家が密集する、ほんでちょっと緑の少ない町やった。

ビリケンのことも初めてまともに読んだら、なんとなんと、こういうことやった?!



『1908年にアメリカ合衆国の芸術家フローレンス・プリッツが制作した像で、彼女が夢の中で見た神がモデルになっているという。これが「幸福の神様」として世界中に流行した。当時のアメリカ大統領であったウィリアム・タフトの愛称が名前の由来とされている。また、セントルイス大学のマスコットになっている』って……めちゃなんか縁あるやん……と勝手に思うわたし。

「通天閣はな、東京タワーより高いねんで」と仁ちゃん。
無茶苦茶言うわ、このおっさん。と思いながらも、ひょっとしたらひょっとするんかな?とふと思てしまう純なわたし。
タワー頂上から降りるエレベーターの中で、係のお兄ちゃんにコソッと尋ねてみた。
「いいえ、東京タワーは通天閣の3倍高いです」ときっぱり言い切るお兄ちゃん。ちょっと怒ってるようにも見える。ごもっともです。

さあこれでもう、たっぷり大阪を楽しませてもらったし、なんぼ都合つけたから言うてもいつまでもわたしらを世話してもらってるのも悪い。
そろそろここらへんで、と思うわたし達を乗せ、車は市内に入って行った。
南から北に向かう。心斎橋ー道頓堀ー千日前ー日本橋ー堂島難波ー梅田ー天神橋筋……。
ほんまにありがとう、楽しかったわ~とお礼を言おうとしたその時、
「風呂入るか?」と唐突に、とんでもないことを言い出す仁ちゃん。
風呂って……。

じゃじゃ~ん!!『なにわの湯』に到着!!天然温泉が出るスーパー銭湯やった。
もうこうなったらとことん行ってみよぉ~!!と腹を決め、着の身着のままで入ることにした。
8階建ての大きなビルの中に、こんな気色のええ露天風呂があるやなんて……感動した。もう入りまくった。よそのおばちゃんともいっぱいしゃべった。
ごろ寝して入るお風呂で、大股開きして豪快に眠るおばちゃんを発見。日焼けしたらかなんのか、顔にだけタイルを被せてる。
けどなあおばちゃん、いくら女ばっかりやからいうてもあれはあかんで~と、今思い出しても文句を言いとうなる。
学びも多い一日なのであった。

タオルを頭にチョコンと乗っけて出てきた仁ちゃんに、売店で売ってるスィーツを買うてもろた。
適当な駅の近くで降ろしてくれてええから、と言えんままにまた車に乗り込んだ我ら三人。
「そろそろやな。その前に、ちょっと寄っとこか」
最後の最後に連れてってくれたのは、日本一うまいきんつばの店。ここも仁ちゃんのブログで知って、散々うらやましがってたとこ。
もうほんま、思い残すことおまへん。
仁ちゃん、かわちゃん、chi-koちゃん、robaちゃん、ディープでハチャメチャ、嬉し恥ずかしのたくさんの思い出を、ほんまのほんまにありがとう。

これにて『いちびり会』in大阪、24時間のお話、おしまいおしまい。

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『いちびり会』in大阪 パート2

2010年06月03日 | 友達とわたし
おみぃ~ずぅ~、水くれぇ~……ハアハアぜえぜえ、うぎゃっ!なにこの汗っ
全身汗みどろ妖怪と化したまま、頭だけを右横に向け、ふたりの様子を伺ってみる。よう眠ってるみたい。ほならまあええかと再び夢の中へ。
朝早く目が覚めた。さっきの汗はもうほとんど乾いてたけど、それでも全身ネバっぽい。
横のベッドでは、前に腰を散々痛めたふたりの、ストレッチ談義が始まってる。もちろん予防対策ストレッチにも余念が無い。
聞くと、なんとふたりとも、夜中にいっぱい汗をかいたそうな。
クーラー嫌いのわたしに合わせて全室のクーラーを消して寝たからやったんやろか。申し訳ないことしたなあ。
とにかく汗を流そうと、順番にお風呂に入り、昨日の晩にコンビニで買った朝ご飯を食べた。
こういう、小さい物にプチッと満足させる、こちょこちょっとしたことに賭ける技は、まさに日本のお家芸。
久々のコンビニ食にワクワクと胸を踊らせながら、海藻サラダやパンをいただいた。

さて、今日の予定は?
決まっているのは、昨日は逢えんかったかわちゃんと、時間は決まってないけどランチを食べることと、わたしが弟と待ち合わせししている夕方の時間だけ。
そこに、昨日の別れ際に仁ちゃんが言うた「もしかしたら」が、そこはかとない期待色した雲になって、わたしらの周りをプカプカ漂ってた。
昨日、仁ちゃんの観光案内でチラッと聞いた美術展に行ってもええね。
そやな、そこらへんでランチまで時間つぶしてブラブラしよか。
まあでも、どっちにせよ、仁ちゃん次第やね。

ウィークリーマンションのチェックアウトは午前10時。どっちにしても、こんな大荷物と一緒にブラブラできんというので、まずは鶴橋の駅のコインロッカーに預けようと駅まで行くと、あぁ~ん、大きいサイズのロッカーやというのに、あともうちょっとのところでどうしても入らへん!その差2センチぐらい。悔しいぃ~!向きを変えても、奥の壁がぶち抜けそうなぐらいギュウギュウ押しても入らへん!
しゃあない、改札口で立ってはるお姉ちゃんに頼んでみよう。頼んでみた。あかんと言わはる。そこをなんとかと粘ってみた。やっぱりあかんと断られた。
そこで覚悟を決めたわたし。ロッカーの前に座り込み、周りをchi-koちゃんとrobaちゃんに固めてもらい、鞄をパッカリ開けて、中身をごっそりロッカーに入れた。
ふふん、外面はでかくてもスッカラカンの楽ちん鞄やもんねぇ~。あ、今朝着替えたパンツちゃん、あかんあかん、ちゃんと隠れときなさい!

鶴橋駅のそばにある市場に行った。いやぁ~ええわぁ~、おおさかぁ~って感じがもりもりするわぁ~。まだ市もこれからっていう時やから人が少なくて助かった。
そうでなかったら、こんなデカい鞄ゴロゴロ引いてこんな狭い通路歩いてたら、思いっきり迷惑やもん。
さて、予定がはっきりしない男衆との連絡に心を痛めるお世話役のchi-koちゃんを尻目に、のんきに市場見学をするわたし。
ああそれなのにそれなのに、こいつを見つけたのは他の誰でもない、chi-koちゃんなのであった?!



激しく興味のある方は、こんな記事を書いてはるブログを見つけたのでご紹介しときます。→ http://ameblo.jp/koichi-shoot/entry-10034971479.html

鶴橋の市場の、奥の方にあるお菓子屋の、なんてことはない透明のプラスティック袋にガサガサッと詰め込まれてたこのチョコ。
もちろん『呼吸チョコ』なんて名前も無く、なんとか栄誉賞なんていう印も無く、ほんまに中身だけの、けども限りなくほんまもんに見えるチョコなのであった!
目の玉キラキラ鼻息ふうふう、めちゃくちゃ興奮した3人のおばちゃんが勢い良く寄ってきたのを見て、店主の親子らしき男性2人は何事かと訝し気。
散々迷った挙げ句、やっぱり徳用大袋までには手が出なかった自分を後で罵ることになるのをわかりつつ、それでもほんまもんよりはぎょうさん入ってて安いチョコを手に幸せいっぱい胸いっぱい。
いきなり同郷の話で店主と盛り上がり始めたrobaちゃん、いやぁ~市場ならではの味わい百点満点!
その間にも、さっさと買い物を済ませて携帯をいじくるchi-koちゃん。ええねんで~別になんにも決まらんでも。これで充分楽しいやん。
とはいうものの、嬉しいことに、仕事の都合をつけてくれた仁ちゃんが動き始めてくれてはるようやし、そしたらかわちゃんと合流するランチの時間と場所もはっきりせにゃいかんというので、いきなり情勢は緊迫してきた。
なぞなぞみたいなメッセージを送ってきてくれるかわちゃん。そらまあ無理もない。かわちゃんは仕事してはるんやから。
仕事相手さんとの絡みもあるから、そうそう好き勝手に時間を決められるわけもない。自由に動けるわたしらがまず動いて、それを逐一知らせることにした。
メールが激しく行き来して、仁ちゃんの「ほな、めちゃくちゃうまいカレーうどん食わせたろ」の一言で、場所がまず決定。
スパイ艦隊ゲームみたいにジワジワと皆が一所に寄ってきた。
まずは無事、仁ちゃんの車にわたしら3人が乗り込むことができた。
乗り込んですぐに、「これ、やるわ」と小さな袋を三つ差し出してきた仁ちゃん。
昨日くれた組紐ストラップの新品。昨日もらえんと拗ねてたrobaちゃんにも今日はちゃんと用意してくれた。
昨日のとは趣が違う、これまた素敵な組紐に見とれながら、同封の説明書を読むと……え?!伊賀上野?!これまた縁を感じるわたし。
最後にやって来たかわちゃんと、前にいっぺんだけ逢うたことがあるrobaちゃんが見つけ役を買って出てくれて無事発見。やっとのことで仁ちゃんの車に皆が集合し、「初めまして~」の挨拶を交わした。
なんとかわちゃんも、わたし同様、みんなとはほぼ初対面?!ネットってほんま、おもろいなあ。

仁ちゃんが連れてってくれたのは、木津市場に隣接してる『大和』っていううどんのお店。
その、この世のモノとは思われへんほどにうまい(by 仁ちゃん)海老天カレーうどんがこれ。これを頼んだchi-koちゃんが、自分の前に運ばれてきた時の顔、写真に写しときたかった。
って……カメラを思いっきりロッカーに入れてきたのは誰でしょう……。



わたしはメニューの写真に圧倒されて、まずは今回(次回も来るつもりか?!)肉巻き定食に。



そりゃもううまくてうまくて!けれども哀しいかな、お腹はみるみるいっぱいに。うまい!苦しい!もうちょっと食うときたい!あかん、もう破裂する!

これについても、お味が詳しく記されたブログを見つけた。興味のある方はどうぞ→ http://mametan802.blog105.fc2.com/blog-entry-83.html

ところでやっぱりここも仁ちゃんがおごってくれた。もう昨日から連続で、「ええからええから」と払い続けてくれてる仁ちゃん。
うちの一ヶ月分の食費はもうとっくに越えてるはず。めちゃくちゃ申し訳ないけど、甘えさせてもらうことにした。

さてと、お腹の皮が痛いほどになったところで、またこの続きは一眠りしてから。
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『いちびり会』in大阪 パート1

2010年06月02日 | 友達とわたし
初めての冒険をした。
それは自分でもドキドキするようなことやったから、石橋コツコツ男の旦那には軽く内緒にしておいた。
息子にも言わんかった。
ネットで知り合った逢うたこともない人達と逢う。しかもそこには男の人もいる。

ブロガー歴が2年にも満たないわたしやけど、ある人をきっかけに、ブログ友達がたくさんできた。
そのある人、というのが仁ちゃん。
ハッピーのブログに遊びに行ってる時、ブックマークのとこに載ってる『どこかのキャディさんのブログ』っていうのにふと目がとまり、ゴルフにはてんで興味が無いくせに覗いたら、またまたブックマークのところの『やんちゃなおやじ』っていうのに目がとまり……その『やんちゃなおやじ』が仁ちゃんやった。
記事は豪快で簡潔。過去に遡って読んでるうちにファンになって、コメント残しとうなって残したら叱られた……。
ここはわしのブログじゃ!わしより目立つようなコメント残すな!って怒鳴られた。
しょげてたら、さっと現れて慰めてくれたのが美代子姉ちゃん。仁ちゃんもすぐに、おまえ、いちびりやけどええやっちゃってフォローしてくれた。
晴れて『やんちゃなおやじ』の常連(?)になって、そこで知り合うたのがchi-koちゃんとrobaちゃん。chi-koちゃんつながりでかわちゃんとも知り合うた。
毎日のように、あちこちのブログでちょこちょこ会話を交わしてるうちに、なんかすご~く好きになって、いつか生で逢えたらええなあと思い始めた。

仁ちゃん、かわちゃん、chi-koちゃんは、ブロガー歴が長~いベテランさん。robaちゃんはコメンター歴がおんなじように長~い大先輩。そやから長年の知り合い。
そやし、てっきり今までに何回も逢うてはるんやろ思てたら……今回が初めてっていうかわちゃんとchi-koちゃん。ネット上では夫婦並みのコンビやのに……。
今回、大阪での時間を長めに取るつもりやったから、大阪在住の仁ちゃん、姫路のかわちゃんと、仕事帰りのせめて2時間ぐらいでも、逢うて話せたらええなと思て連絡した。
そしたら、広島に住むchi-koちゃんが、わざわざ大阪まで出て来てくれると言うてくれた。伊勢のrobaちゃんも一緒に。
世話焼きを買って出てくれたchi-koちゃんにお任せして(これがまた、めちゃくちゃ大変やったそうな)、予定がきっちり決まらんままわたしは日本に向こた。

chi-koちゃん&robaちゃんが待つ谷町線の地下鉄出口に向かううちに、なんかドキドキしてきた。
パソコンの画面で読むだけやった文字が、彼女達の声に乗って運ばれて、それがわたしの耳に流れ込んでくる。どんな声してはるんやろ?
ゴロゴロとでっかい旅行鞄を引きずって地下の構内を歩いて行くと、居はった!女性の二人連れ!きっとあれがchi-koちゃんとrobaちゃん!
きゃ~とばかりに握手して笑い会うたらもうすっかり同窓会気分。年も近い我らかしまし娘。chi-koちゃんが手配してくれたウィークリーマンションに向こた。

そして……夕飯を一緒に食べよとやって来てくれた仁ちゃんが、そのマンションのド真ん前で待っていてくれた。
高級自家用車の助手席側の窓がスゥ~ッと下りて、その隙間から見えたっ!似顔絵そっくりの男前の、ちょっとしゃがれ声の仁ちゃん!「いらっしゃ~い」
窓まで足上げたまんまやし……。リラックスしまくってるし……。
とにかく……それがディープな大阪の幕開けやった。

その晩仁ちゃんが連れてってくれたのは、北新地にある某高級料亭。とんでもない高級車ばっかりが止まってる駐車場に車を入れ、雪駄の音も軽やかに肩で風切ってあるく仁ちゃんの後ろから、ペンギンの子供みたいにウロウロひょこひょこついていくわたしら3人。目はもう、通りを歩くお姐さん観察で大忙し。
贔屓にしてはる店らしく、お店の若いお姉ちゃんを軽くいじめながら、食べた事もないような美味しい料理を次から次へと食べさせてくれた。
気に入った料理をちゃっちゃと食べて、おかわりをおねだりするやんちゃなおやじを、サラリンコと受け流す板前さん。う~ん渋い!
食も会話も思いっきり進み、まるで同窓会みたいな雰囲気の、けどもほんまはお互いのこと、まだいっぱい知らんとこあんねんという、ワクワクどきどきの関係のまま外に出て、おごったるからという仁ちゃんにめちゃくちゃ恐縮しながらまた車に乗った。
次はおいしいコーヒーの店。ウェイター研修中の田中君(←仁ちゃんの勝手な命名)が蓋つきのコーヒーを運んで来てくれて、「なんで蓋ついてんの?」って聞いたら、「はい、これは煎れたての風味を逃がさないためでして」と説明してくれた。
ここでも話は尽きんかったけど、平日の夜のことやし、あんまり遅なって次の日の仕事に差し支えがあっても困る。残念やけど、ほなここらへんで。
マンションの前まで送ってもろた。送りがてらの車の中で「あ、そや、これやるわ」と、自分の携帯のチェーンストラップを外して渡してくれた。
見ると、仁ちゃんのブログで話題に出たやつで、組紐でできた上品な物。わたしがうらやましがってたやつ。嬉し!
別れ際に、「また明日、もし仕事の都合がついたら」という謎の言葉を残し、仁ちゃんは去ってったのであった。

マンションで泊まる。これってわたしにはすごく新しい。寝室が二部屋、大きい方の部屋にベッドが二台、小さい方に一つ、エアコンがそれぞれの部屋についてる。
キッチンはもう、いつからでも暮らせるような道具や用具がすべて揃てて快適そのもの。
そういや一階のコインランドリーで、外国人の若い男性3人が洗濯してたけど、洗濯機を1台借りて設置できる場所もちゃんとある。
こんなふうに、複数人で一部屋借りて泊まったらめちゃくちゃお得!ええとこ見つけてくれてありがとう~chi-koちゃん!
お土産の交換をしてたら眠とうなってきてそのままベッドへ直行。ベッドの上でストレッチなんかしてたらもう強烈な時差ボケ睡魔に襲われたわたし。
おやすみ~また明日!などと言う間もなく、ポテチンと意識不明になったのであった。



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チップを払わせてください!

2010年06月01日 | ひとりごと
今回の旅行中、日本のレストランや駅員さん、または店員さんの、それはそれは気持ちのいい働きっぷりに接するたびに、何度そう思ったことか。
もともとの制度が違うっちゃあ違う。
そもそも、こちらアメリカでのサービス業で働いていらっしゃる皆さんの賃金というのは本当に悲惨。
特にレストランのウエイター、ウエイトレスは決まった時給ではなく、給料がチップからだけ、という場合も多いので、無意識に料金に組み込まれているサービス料を考えると、どちらが良くてどちらが良くない、なんてわたしには言えないし、比較してどうのこうのと言う権利も無い。
けれどもだ。けれどもいつだって、日本を旅行するとやっぱり感動する。そして思う。あなたにはチップを渡したい!と。

例えば駅に行く。
みどりの窓口に行って、JRパスを提示し、新幹線の指定券を買う。そりゃもうすごい速さでパソコンの画面を突きながら、わたしの希望通りの席を選び出してくれる。
大きな荷物が置けて、禁煙席で通路側。各車両の切符の売れ行き状況を確かめながら次々と画面を変えていくその様はもう、アメリカに慣れたわたしには芸術です!
構内で目的のプラットホームを探す。面倒になって近くに居る駅員さんに尋ねる。すると、そのホームまでの行き方に加え、どの車両に乗ると乗り継ぎに便利か、などということまで教えてくれる。
そして説明の終わりに「気をつけて行ってらっしゃいませ。良い旅行になりますように」などと声をかけてくれたりもする。
わたしはもう、旅行鞄など床に放ったらかし、百円玉を数個握って(気持ちはお札級だけど、実際そこまでは無理!)手渡したい気持ちでいっぱいになる。

旅館に連れてってもらう。
館内に入る前から、出迎えの仲居さん達があれやこれやと世話を焼いてくれる。
荷物はもちろんのこと、部屋の準備が整うまでの間、ロビーのソファでくつろぐわたし達に、美味しいお茶とお菓子でもてなしてくれる。
部屋の説明も懇切丁寧。にこやかな微笑みとともに、本当にわかり易く案内してくれる。
食事時には、わたし達のテーブルの係になった『内』さんとおっしゃる珍しい名前のウェイターさんが、可笑しい冗談を言ったり、地酒を注文する旦那に内緒のおかわりをサービスしてくれたりして、それはそれは楽しい夕餉の時間を作り出してくれた。


店員さんの手際の良さや、その日一日疲れていても、とりあえず隠せる仕事人としての意識の高さ。
こちらで暮らしていると、そういうことをすっかり忘れてしまえるほどに、みなさん、とっても手際が悪くて、機嫌の善し悪しを無邪気に見せてくれる。
そうしてそれはそれで、ある意味正直でウソが無いので、思いがけなく楽しい会話ができたりもする。
でもね、でもね、たまにいるんです。あなたには、あなたにだけは、どぉ~してもチップを払いたくなぁ~い!と思える人が。

日本のみなさん、もう慣れてしまってなんてこともないことが、それが実はとっても特別でありがたい恩恵だったってこと、あるんですよね~。
国民健康保険や公共の乗り物なんかも含めて、ね。

お金のチップを払えなかった分、心のチップを払おうと、気持ちをいっぱい込めてお礼を言った。
あの時お世話になった見ず知らずの店員さん、従業員さん、駅員さん、本当にありがとう!

コメント (8)
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