ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

またかいな!

2011年01月11日 | ひとりごと
そらね、わたしもね、おんなじことばっかり書きとうないですねん。
けどね、しゃあないですやん、誰も頼んでへんのに、また、また、また、スノーストームって……。
このストームがつくと難儀ですねん。雪かき、半端やおまへんねん。
それに、一番なにが困るかって、日当稼ぎのわたしらにはお手上げですねん。見事にゼロ。わはは~言うて笑てなしゃあないですねん。

これ、夜の9時過ぎに撮った写真ですねん。
雪雲っていうのは、こんなにも明るいもんなんですなあ。びっくりしましたわ。

 

こういうのを密かにウヒヒと喜んでるのがひとり、いまんねん。
こいつでんねん。拓人でんねん。この写真は、こないだの日曜の夕方に、いきなり着替えだけに家に入ってきた時に撮ったりましてん。


拓人、こないだから、いきなりスノボ始めましてん。
中古のボードを安うで買うて、北海道出身の友人のキリコちゃんから、厳しい指導?を受けて、あっという間に上手になったそうな。
また、今週末も近くの山に滑りに行くんちゃいますやろか。
まあ、こんなふうに喜んでるのは、学校やらレッスンやらが休みになる子供達と、山に滑りに行きたがってるこの子らぐらいやろね。

もう部屋もしんしん冷えてきたし、暖房費浮かせるためにも、もう寝といたろ!

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風の谷のナウシカ

2011年01月10日 | ひとりごと
息子達は、幼い頃から、宮崎駿の映画を観て育った。
もちろん横で観ていた母親のわたしも、ひとつひとつの映画を何十っぺんも観た。
ラピュタの年に拓人が生まれ、トトロの年に恭平が生まれた。
魔女のキキは、わたしが何回も見る同じ夢の、その中の自分とそっくりな飛び方をして見せて、わたしをドキリとさせた。

今日は気功の二回目のクラス。
前回は、気功が筋肉に働きかけるのではなく、内臓に直接働きかけるものだと習った。
今回は、エネルギーとスピリットの存在を感じ取り、それを自由自在に動かせるようになるための練習を始めた。

手足の指先からエネルギーを取り込み、それをまず丹田のあたりに集め、それを今度は逆に指先から放出する。
これが今のところ、わたしにとっては一番苦手な練習。
コイル状に流れ込んでくるエネルギー、というのがなかなか感じられない。
想像はできても、それを指先に感じることができない。
でもまあ、焦らない焦らない。
講師のマリアムがいつも言う。
「気功は摩訶不思議なものです。本当のところは、もしかしたら誰もわからないのかもしれません。だから、無理をしないで、けれども感じようとする積極性を失わないで、ゆったりと、自分らしく、時間をかけて経験していってください」

みんなで輪になって立ち、何回も何回も、いろんなやり方で、気を集めては解き放つ、という練習をした後、
「じゃあ、今からそれぞれ、自分のボールを持ってもらいます。そのボールの動きはどんなのか、大きさはどれくらいか、よぉーく想像してみてください」
そうマリアムに言われて、わたし達は目を閉じ、胸の辺りに抱えている想像のボールに気持ちを集中させた。
「ボールはまだ回っているかしら?」
目を閉じているわたしには、他の人達の様子は全くわからないけれど、皆がうんと頷いたのだろう、マリアムが続いてこう言った。
「じゃあ今から、そのボールの中に、あなたが今一番望んでいること、あるいは祈りたいことを入れてみてください。そして、それがどんな色であるかも想像してみてください」

それを聞いて一瞬、エゴイスティックともいえる望みが思い浮かんだのだけど、それはなんだか今の自分にふさわしくない感じが強くして、少し時間をかけて考え直すことにした。
するといきなり、ものすごく温かな、なんともいえないきらびやかな黄金色の原っぱの中に立っているような気がして、その後すぐに、体中がホコホコとあたたかくなって汗がにじみ出した。
これってどこかで見たことがある。ええとええと……。
そうや!ナウシカや!


わたしはナウシカのように、黄金色に輝く草原の、風にさわさわと揺れる草の中を歩いていた。
葉はとても柔らかくて、それはまるで、太陽から降りてきた妖精のように温かかった。

「じゃあ、今からあなたのボールを隣の人に持ってもらいましょう」

まるでそれは、外部の人達から見ると、頭のおかしい者の集まりのように見えたかもしれない。
けれどもわたし達は生真面目に、自分のボールを隣の人に渡し、隣の人のボールを自分の手のひらの間に受け取った。
終わってから、どんな願いや祈りだったか、そしてそれはどんな色だったか、話したい人は話してと言われて、皆がそれぞれの話をした。
わたしは、ナウシカの草原と言ってもわかってもらえそうになかったので、代わりにこれを例えに話してみた。


稲穂の中を歩くと、めちゃんこチクチクするのだけれど……。

想像力。

良いことを想像することのすばらしさ、力強さを、今日は少しだけ学べたような気がする。

  
コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

節約のススメ

2011年01月09日 | お家狂想曲
今日もビシビシっとしばれてます!


ということで、レア家コクーンプロジェクト開始!


わたしゃその前に、ヒヒヒの腹ごしらえ。
あさこが日本からのお客さまからお土産にもらったコレ。ベジタリアンの彼女、食べられない……ってんで、ほいほいいただいて帰りました。日本直送カップヌードル(←かわちゃんからのご指摘により、スープヌードルに訂正)!おぉ~、何年ぶりであろう~この毒の味っ!


しっかり三分待つ間も、気分はワクワク。その横で家猫、マルマル。


懐かしのカップヌードル!日本に居たときゃ、容器が熱湯に耐えられないとか、化学調味料の巣窟だとか言って遠ざけていたのにね~。


あ~うめぇ~!最後のお汁まできれぇ~にいただきました!ごっつぉ~さん!

さて、そろそろ旦那の気分もイライラしてきたようなので、台所にソソッと侵入。
やり方を教わり、恐る恐る作業開始。


まずは両面テープを窓枠の四隅に貼り、15分待ちます。
テープをそろそろと外し、まずは上の方から、プラスティックシートを張り合わせ、次は左側、そして右側、最後に下の部分をぴたりとくっつけます。


とりあえずこんな感じ。


こういうシワがあちこちにできたままです。


それをこんなふうにドライヤーの熱風を注意深く当てると、


ぴ~んっ!!



なんだか、南極観測隊の基地みたいっ!
窓の向こうの景色はちょっとぼやけてしまったけれど、隙間風が遮断された台所は、もうそれだけでほんわか暖かです。
光熱費、ちょっと期待しております!



コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楽しいことはあっという間

2011年01月08日 | 音楽とわたし
あさことACMAの演奏ミーティングでの、多分これが最後の演奏をした。
今月の演奏会への申し込みが珍しく少なかったのか、誰か出たい人いないか~?メールが、年末にアルベルトから送られてきた。
あさこが日本に帰ってしまう前に、できればもう一度、一緒に演奏したいと思っていた。
あさことは前々から、3月だとギリギリできっとバタバタしていると思うので、2月あたりにしようか、などと言っていたのだけど、
とりあえずダメもとで彼女に尋ねると、「いいよ~別に」と快諾してくれたので、1月のプログラムに入れてもらうことにした。

曲はバーンスタインの『I Hate Music』
ソプラノのための5つの小曲(1.私の名前はバーバラ/ 2.木星には7個の月がある/ 3.音楽なんて大嫌い!/ 4.大きなインディアンと小さなインディアン/ 5.私だって人間なの)で、歌を歌っているのは10才のバーバラという名の女の子、という設定。

わたしの我がままというか、合わせる機会が多分1回しかない、ということで、変拍子でテンポの速い曲の2曲目と4曲目を抜いた3曲をすることにしてもらった。
無理して頑張れば弾けないこともなかったけれど、今年は無理しない&頑張り過ぎないをモットーに生きようと決めたので、早速それに従うことにした。


さて、今日のような演奏会がある日の朝食はしっかりとゆっくりときちんと摂らなければならない。
そこで登場するのが黒豆ちゃん。

黒豆を煮る季節になると、旦那はよく、トーストの上や餅の上に黒豆を乗っけて食べるのだが、ある日いきなりヨーグルトに混ぜて食べ出した。
はじめそれを見た時は「ゲッ!」と思ったけれど、よくよく考えてみたら理に適っているではないか。
それで、わたしも真似をして試してみたら美味しかったので、お正月に黒豆をお裾分けしたあさこにもそのことを言うと、彼女はさらにアレンジを加え、黒豆+ヨーグルトに、きなこを混ぜて食べたらしい。
なんと素晴らしいスーパー栄養食!!
わたしもやってみた。

まずお茶碗にきなこと黒ごまを合わせたものを入れ、そこに黒豆も加え、


ヨーグルトと合わせていただきまぁ~す!


その後最後の練習をしていると、いきなり気になる所が出てきた。
今日はもうぶっつけ本番だってことになってるし、う~ん……どうしよう……おっ!スカイプって手があったじゃん!
そこであさこに電話をし、数分だけ時間をもらえるかどうか確認し、スカイプをつけてもらった。
なんと、あさことは初めてのスカイプ?!なんでもっと早くに気がつかなかったのか……。
で、試しにやってみた。
どうしてだか、話す事は全くオッケーなんだけど、楽器の音や声が微妙~にズレたり、音そのものを拾わなかったりする。
う~ん残念っ!まあ、タダでこんな便利なもん使わせてもらってんだから、贅沢は言えない。けど……スカイプさん、もうちょっと頑張って~……なんちて。


今日のマンハッタンはめちゃ寒かった。けど、おかげでめちゃ空いていた。


演奏の前にまずは腹ごしらえ。
旦那が見つけた24時間税込み7ドル?!という、とんでもなく安い駐車場に車を入れ、そこからテクテク歩いて旦那推薦のチャイニーズレストランへ。
そんなに遠くはないのだけれど、あまりの寒さに腹が立ってくる。
やっと着いて、温かいお茶をもらい、ホォ~ッと一息。
ふたりとも、海老の春巻きとローストダックのメンスープを頼んだ。

見た目がちょっとワイルドだけど、めちゃんこ美味しかった春巻き。表側が海苔で、その内側にローストした黒白胡麻がびっしり。


お腹がいっぱいになって体も温まり、いざ出陣!

演奏会には、新しいメンバーがまた張り切って出演していた。
ナンシーがついに、丸3年の時を経て舞台に立ち、ハープを演奏した。

あさことの演奏はやっぱりすご~く楽しい。
舞台の上のあさこは、見事におしゃまで繊細な十才の女の子になって、会場の皆を沸かせていた。
ただ……最初の、1小節目の、ふたつ目の音を弾こうとした瞬間、自分の指が全く違う音の上にあったことにびっくりして、多分ものすごい速さでなんとかせにゃ~と考えて、とりあえず誤摩化したのだけど、もちろん「うん?どした?テンポが変だぞ?」と言わんばかりに、あさこがチラッと振り向きながらテンポを急かしたこと以外は、とってもうまくいったと、思う(汗)。
旦那をはじめ、聞いていた人達は、まったくそんなことには気がつかなかったらしい。
あさこの舞台のプロ根性と、わたしの(なぁ~んも変なことしてませんよぉ~)と誤摩化す能力(もうちょっと他の能力があったらいいのだが……)のおかげ?

そしてもうひとつ、今日の演奏の後で、ソプラノとメゾソプラノ、そしてチェロ弾きさんから、伴奏をしてもらえまいか?というお願いを受けた。
嬉しくてホイホイ引き受けたけれど、おいおい、大丈夫なんか?と心の中のわたしがちょいと心配をしている。
家に戻ると、二人から、やりたい曲名と、それを2月のコンサートで♪という、えらいせっかちなメールが送られてきていた。
いつ合わせるん……?

コンサートの後は、皆と別行動。
我々の大のお気に入りのイタリアンレストランに行き、あさこは念願のイカスミ海鮮パスタを、わたしはシシリー風海鮮クスクスを、旦那はタコとヒヨコ豆のサラダ(彼は、あんなに中華で満腹になったから、と言う……食い意地が張った妻をチラッと見ながら)を、やっぱここはうめぇ~!と感激しながらいただいた。

そこから歩いて駐車場に戻りがてら、なんかやっぱ甘い物を、ということで、お洒落なカフェを探したのだけど見つからず、仕方が無いので、そこら辺りの店でなにか調達して、あさこのアパートでお茶しようということに。
そこら辺りでめぼしい店を……ということになると、俄然才能を発揮する旦那。
あさことわたしだったら絶対に見過ごすような店を見つけて、そこがまたすご~くローカルで異国情緒たっぷりで、頑固に味を守っているミニ老舗だったりする。
その店はハンガリーのスウィーツのお店だった。惣菜も置いているようだった。
それぞれに欲しいスウィーツを買い、明日の朝のクロワッサンも買い、あさこのアパートでぺちゃくちゃおしゃべりしながらいただいた。
めっちゃんこ美味しかったのだけど、あまりのうまさに動転して、写真をすっかり撮り忘れたので箱だけ。マンハッタンにお越しの際はぜひぜひ!


こんなのがもうあと2回しかできないなんてね……あさこ……また戻っておいで♪


コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

静かに静かに

2011年01月07日 | ひとりごと
朝から雪がしんしんと降り始めました。
今日の雪は、そのひとひらひとひらが、周りの音の粒を包み込んでいるのか、外はとても静かです。

まだそんなに積もらないうちに、まずはひとかき。


一仕事やりに男は外に。


いつもの勢いで外に出てしまったものの、


にゃによ!またこれっ?


風が全く吹いていないので、どんなに細い枝や葉の上にもまんべんなく雪。


お向かえの桜のポンちゃんも、すっかり雪化粧。


今日は、予報では10㎝から20㎝の積雪なんだそうです。
まだ前のが残っているので、実際にはもう少し積もるかもしれません。

なので今日はSnow Day。生徒達もお休みです。
明日の演奏会と、来週のコンチェルトの合わせのための練習が、ゆっくりとできそうです。ほっ……。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仏の釘も三本まで

2011年01月07日 | ひとりごと


「これが、まうみの車のタイヤに刺さってた釘」

と言って差し出したエリックの手のひらの上に、これら三本の釘が乗っかっていた。

問題が起こるといつも頼みに行く外国車専用修理工場のエリック。
彼も、こんなのは見たことない、と言わんばかりの苦笑い。

「なあエリック、これってちょっとおかしくない?」
「う~ん……」
「今回だけやなくて、うちって釘刺さるの多過ぎひん?」
「そういえば……」
「もしかして、もしかして、どっかの悪ガキがいたずらしてるんかな?」
「まあそういうことも……」
「それか、タイヤにけったいな釘寄せ磁石でもついてるんかな?」
「あはは!それか、わざと釘が落ってそうなとこ選んで走ってるとか……」
おいおい……そりゃないぜよ……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猫背と内股と力道山

2011年01月06日 | ひとりごと
ずっと気にはしてきたものの、そしてちょくちょく思い出しては直したりしたものの、結局やっぱりすっかり忘れてそのままにしていることがある。

それは猫背と内股。

こちらに来て、ピラテスという運動を始めてから、姿勢や関節の向きは変えようと思えば変えられるんだということに気づき、ならばちょいと真剣にやってみようかと思っては忘れ、また思い出しては忘れ、そんなこんなで日は過ぎて……。

「まうみちゃんって、すっっっっっっごい内股だったんだねえ~」

夏の終わりに、初めて、とうとうのとうとうアメリカまでやって来てくれたH師匠が、部屋の中を歩いているわたしの後ろ姿を見ながらしみじみとそうもらした。

「え?ご存知じゃなかった?」
「いやあ、学生の頃は気がつかなかったなあ。ちょっと変な歩き方だとは思ってたけど……」

家の外では気をつける回数が多くなったけれど、家の中ではすっかり油断していた。
その時にはあさこも居て、それからの彼女は、どうやったらきれいな歩き方ができるか、何回も何回も見せて教えてくれたりした。

マジで直そ。
ならばついでに、わたしのぶっとい二の腕のぶら下がり方も変えてみよう。

小さい頃はすごい猫背だったのだけど、それをT師匠にピアノのレッスン中に直してもらい、背中はまずまず真っすぐになった。
けれども二の腕はついつい前にダラリと垂れていて、その緩みが今の肉のカーテンを作り出したのだと信じているわたし。
それを確信したのはピラテスのクラス中。肩をリラックスさせて下げ、背骨がS字にならないように気をつけながら胸を張ると、二の腕全体がピンとした。
そういう時の二の腕は、体の側面にぴったりと沿っている。
これがいい効果を生み出すかどうかはわからないし、素人考えなので間違っているかもしれないけれど、体にいい感じがするのでそれでいいやんと思っている。

で、今日もピラテスのクラスから戻ってきて、思いっきりかいた汗を流そうとシャワーに入り、昨日旦那が読み間違えた『毛穴』を読んでクスッと笑い、シャワー室をすっかり磨いてから外に出て、ボディクリームをしっかり塗った。冬の間の乾燥は半端じゃない。
体がまだまだ火照っているので、上半身裸のまま、パンティとユニクロのヒートテックのレギンス(真っ黒)だけはいて、あ~気持ちよいよい♪と、ご機嫌で真ん前にある鏡の中のおのれの姿を目にした瞬間……、

力道山……。

この方の名前がパアッと思い浮かんだのだった。

我ながら、不憫だと思った瞬間だった……。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

穴は穴でも

2011年01月05日 | アホな小話
夫が言った。

今朝、シャワーしてた時、ふとコレ(恭平の洗顔料)が目に入り……、


ええっ!?ケ◯の穴の汚れもスッキリ!?」と勘違いして読んで、一瞬パニックに陥ったらしい。



日本語に堪能、というのも、時と場合によってはえらいことになるんだなあ……。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新年初凹み

2011年01月05日 | ひとりごと
生徒がやめた。ふたりやめた。お兄ちゃんと妹。
父親から電話がかかってきた。
いつも付き添いでレッスンを見ていた役者をやっている父親だ。

「まうみ、実は、今年からショーンのピアノの先生を替えたいと思っているんだ。あんなふうに大きな声で叱りつけない先生に」

びっくりしたけれど、うっすらと予感はあった。
この夏、彼に、とても難しい曲を渡した。発表会のための曲だった。
とても難しいけれど、彼が気に入りそうだと思った曲だった。
案の定彼はとても喜び、早く弾けるようになりたいと興奮していた。

ショーンは、生まれながらに顔の片方の筋肉が下がっている男の子で、問題のある左側の目尻からはずっと、ねっとりした分泌液が涙のようにこぼれていた。
口元も下がっていたけれど、言葉は普通に話せるし、賢い子供だった。
全くの初心者だった彼は、音符やリズムや感情の表し方をひとつずつ学んでいった。

間違いを指摘すると、どんなに柔らかく言ってもショックを受けるようなので、冗談で「指に直接文句を書くぞ!」と、ペンを彼の指に近づけて書くふりをしたらすごくウケた。
ゲラゲラ笑って嬉しそうに間違う彼を見て、わたしもゲラゲラ笑った。
彼はたまに、わたしにそう言って欲しくて、わざと間違えて弾いたりもした。

そういう具合に、他の子供よりも時間と手間がかかったけれど、そんなことは別にどうでもよかった。
彼は学びたかったし、うまくなりたいという気持ちを強く持っていた。
ところがそれが高じて、まだちゃんと読んでいないうちから、速いテンポで弾く癖がついてしまった。
どんなに言ってもなかなか直らなかった。
だから今回は、速く弾きたくても弾けないほどに難しい曲を渡して、片手ずつ、ゆっくりと、しかも短い小節数ずつ、コツコツと学ぶ経験をさせようと思った。

最初はうまくいきそうだった。
いろんなことがあった。
毎週行き先が違って、何度も修正しなければならなかったけれど、夏の終わりには暗いトンネルの向こうに出口のあかりが見えてきていた。

夏休み後半に、家族旅行で1ヶ月近く休んだ彼が再び戻ってきた。
見えていたあかりが消えたどころか、トンネルのどの地点に居るのかも判断できないぐらいの状況に戻っていた。
長い休みの後にはこういう事がよく起こるので、起こったことにはあきらめがついたが、彼は一旦良い状況に居たのだから、元に戻るのにそんなに長くはかからないと思っていた。
ところが……。
あっという間に9月が終わり、10月も半ばになり、あまりの状態に急にパニックになったわたしは、彼を怒鳴りつけてしまった。
初めてのことだった。
彼は涙をポロポロ流しながら、それでも「ボクは大丈夫、ボクは大丈夫」と言って弾き直すのだけど、大丈夫なはずがない彼は、何回弾いても間違いを直せなかった。

次のレッスンを休み、その次のレッスンの日に父親から、「ショーンの様子がおかしいので、もう二度と彼をあんなふうに叱りつけないで欲しい」と言われた。
もちろんわたしも大反省していたので、父親とショーンに心から謝り、「もう二度とあんな教え方はしないから」と約束した。

それから発表会までは、気を抜けないレッスンが続いたのだけど、彼も持ち直し、わたしも曲自体をアレンジしたりして、楽譜を完全に弾かないまでも、聞いた感じは全く違和感のない演奏に仕上げることができ、発表会で彼は見事に弾いて喝采を浴びた。

その後のレッスンに来るたびに、彼はその曲を、それはそれは嬉しそうに弾いてくれた。
これはボクの十八番だよ!と得意そうだった。


でもきっと、わたしが彼の心につけた傷の深さは、そんなことでは癒されなかったのだと思う。
練習しないとまた、まうみに叱られる……あんなふうに……。

「ショーンが来ないってことは多分、サラも来ないってことですよね」
「うん。彼らは一緒に学ばせたいからね」

大好きな家族だった。ショーンもサラも、照れ屋さんで可愛い子供達だった。
全くのゼロから、本当によく弾けるように成長してくれた。
ほんの2年半の間だったけれど、楽しかった。ありがとう。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ごろんごろん

2011年01月04日 | ひとりごと
通りのあちこちに、ごろんごろん、役目を終えたクリスマスツリーが寝転がっています。


それぞれの木は、それぞれの家で、きれいに飾ってもらい、その根元にはたくさんのプレゼントが積まれていたのでしょう。


楽しい時間をありがとう。カナダから?それともあちこちにあるもみの木農場から?
いずれにしても、みずみずしい命の香りをありがとう。


この雪の中に、根っこが生えてくる魔法の栄養があったらいいのにね。


そしたらまた、クリスマスまでここで育って、家の中に入れてもらえるのにね。









コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする