息子達は、幼い頃から、宮崎駿の映画を観て育った。
もちろん横で観ていた母親のわたしも、ひとつひとつの映画を何十っぺんも観た。
ラピュタの年に拓人が生まれ、トトロの年に恭平が生まれた。
魔女のキキは、わたしが何回も見る同じ夢の、その中の自分とそっくりな飛び方をして見せて、わたしをドキリとさせた。
今日は気功の二回目のクラス。
前回は、気功が筋肉に働きかけるのではなく、内臓に直接働きかけるものだと習った。
今回は、エネルギーとスピリットの存在を感じ取り、それを自由自在に動かせるようになるための練習を始めた。
手足の指先からエネルギーを取り込み、それをまず丹田のあたりに集め、それを今度は逆に指先から放出する。
これが今のところ、わたしにとっては一番苦手な練習。
コイル状に流れ込んでくるエネルギー、というのがなかなか感じられない。
想像はできても、それを指先に感じることができない。
でもまあ、焦らない焦らない。
講師のマリアムがいつも言う。
「気功は摩訶不思議なものです。本当のところは、もしかしたら誰もわからないのかもしれません。だから、無理をしないで、けれども感じようとする積極性を失わないで、ゆったりと、自分らしく、時間をかけて経験していってください」
みんなで輪になって立ち、何回も何回も、いろんなやり方で、気を集めては解き放つ、という練習をした後、
「じゃあ、今からそれぞれ、自分のボールを持ってもらいます。そのボールの動きはどんなのか、大きさはどれくらいか、よぉーく想像してみてください」
そうマリアムに言われて、わたし達は目を閉じ、胸の辺りに抱えている想像のボールに気持ちを集中させた。
「ボールはまだ回っているかしら?」
目を閉じているわたしには、他の人達の様子は全くわからないけれど、皆がうんと頷いたのだろう、マリアムが続いてこう言った。
「じゃあ今から、そのボールの中に、あなたが今一番望んでいること、あるいは祈りたいことを入れてみてください。そして、それがどんな色であるかも想像してみてください」
それを聞いて一瞬、エゴイスティックともいえる望みが思い浮かんだのだけど、それはなんだか今の自分にふさわしくない感じが強くして、少し時間をかけて考え直すことにした。
するといきなり、ものすごく温かな、なんともいえないきらびやかな黄金色の原っぱの中に立っているような気がして、その後すぐに、体中がホコホコとあたたかくなって汗がにじみ出した。
これってどこかで見たことがある。ええとええと……。
そうや!ナウシカや!
わたしはナウシカのように、黄金色に輝く草原の、風にさわさわと揺れる草の中を歩いていた。
葉はとても柔らかくて、それはまるで、太陽から降りてきた妖精のように温かかった。
「じゃあ、今からあなたのボールを隣の人に持ってもらいましょう」
まるでそれは、外部の人達から見ると、頭のおかしい者の集まりのように見えたかもしれない。
けれどもわたし達は生真面目に、自分のボールを隣の人に渡し、隣の人のボールを自分の手のひらの間に受け取った。
終わってから、どんな願いや祈りだったか、そしてそれはどんな色だったか、話したい人は話してと言われて、皆がそれぞれの話をした。
わたしは、ナウシカの草原と言ってもわかってもらえそうになかったので、代わりにこれを例えに話してみた。
稲穂の中を歩くと、めちゃんこチクチクするのだけれど……。
想像力。
良いことを想像することのすばらしさ、力強さを、今日は少しだけ学べたような気がする。
もちろん横で観ていた母親のわたしも、ひとつひとつの映画を何十っぺんも観た。
ラピュタの年に拓人が生まれ、トトロの年に恭平が生まれた。
魔女のキキは、わたしが何回も見る同じ夢の、その中の自分とそっくりな飛び方をして見せて、わたしをドキリとさせた。
今日は気功の二回目のクラス。
前回は、気功が筋肉に働きかけるのではなく、内臓に直接働きかけるものだと習った。
今回は、エネルギーとスピリットの存在を感じ取り、それを自由自在に動かせるようになるための練習を始めた。
手足の指先からエネルギーを取り込み、それをまず丹田のあたりに集め、それを今度は逆に指先から放出する。
これが今のところ、わたしにとっては一番苦手な練習。
コイル状に流れ込んでくるエネルギー、というのがなかなか感じられない。
想像はできても、それを指先に感じることができない。
でもまあ、焦らない焦らない。
講師のマリアムがいつも言う。
「気功は摩訶不思議なものです。本当のところは、もしかしたら誰もわからないのかもしれません。だから、無理をしないで、けれども感じようとする積極性を失わないで、ゆったりと、自分らしく、時間をかけて経験していってください」
みんなで輪になって立ち、何回も何回も、いろんなやり方で、気を集めては解き放つ、という練習をした後、
「じゃあ、今からそれぞれ、自分のボールを持ってもらいます。そのボールの動きはどんなのか、大きさはどれくらいか、よぉーく想像してみてください」
そうマリアムに言われて、わたし達は目を閉じ、胸の辺りに抱えている想像のボールに気持ちを集中させた。
「ボールはまだ回っているかしら?」
目を閉じているわたしには、他の人達の様子は全くわからないけれど、皆がうんと頷いたのだろう、マリアムが続いてこう言った。
「じゃあ今から、そのボールの中に、あなたが今一番望んでいること、あるいは祈りたいことを入れてみてください。そして、それがどんな色であるかも想像してみてください」
それを聞いて一瞬、エゴイスティックともいえる望みが思い浮かんだのだけど、それはなんだか今の自分にふさわしくない感じが強くして、少し時間をかけて考え直すことにした。
するといきなり、ものすごく温かな、なんともいえないきらびやかな黄金色の原っぱの中に立っているような気がして、その後すぐに、体中がホコホコとあたたかくなって汗がにじみ出した。
これってどこかで見たことがある。ええとええと……。
そうや!ナウシカや!
わたしはナウシカのように、黄金色に輝く草原の、風にさわさわと揺れる草の中を歩いていた。
葉はとても柔らかくて、それはまるで、太陽から降りてきた妖精のように温かかった。
「じゃあ、今からあなたのボールを隣の人に持ってもらいましょう」
まるでそれは、外部の人達から見ると、頭のおかしい者の集まりのように見えたかもしれない。
けれどもわたし達は生真面目に、自分のボールを隣の人に渡し、隣の人のボールを自分の手のひらの間に受け取った。
終わってから、どんな願いや祈りだったか、そしてそれはどんな色だったか、話したい人は話してと言われて、皆がそれぞれの話をした。
わたしは、ナウシカの草原と言ってもわかってもらえそうになかったので、代わりにこれを例えに話してみた。
稲穂の中を歩くと、めちゃんこチクチクするのだけれど……。
想像力。
良いことを想像することのすばらしさ、力強さを、今日は少しだけ学べたような気がする。