父が亡くなってから11回目のお正月に、お祝いのお供えをするのをすっかり忘れてしまっていた。
昨日の晩、皆がいなくなり、台所の片付けをしている時に、「今年はおとうさんのお祝いは?」と旦那に聞かれるまで気がつかなかった。
あっ!と慌てて台所を見渡した。
今年はおせちもろくに作らなかったし、お雑煮はみんなのお腹の中に消えてしまっていたし、父の好きな日本酒だってもう、瓶の底に少し残っているだけだった。
今日の早朝からスノボをしに出かける予定の拓人が、集合場所になっているキリコちゃんのアパートに昨晩から行くと言い出したので、風邪でダウンしている彼女に、カニ鍋で作った雑炊と黒豆と雑煮を持たせたので、本当の本当にスッカラカンの台所だった。
仕方が無いので、恭平が作ったぜんざいと黒豆、それからお猪口いっぱいだけの日本酒をお供えすることにした。
焦って温めたぜんざいの湯気が、遺影の中の父の顔を少し曇らせた。
白い霧の向こうから、遅かったやないか、と文句を言いた気な父の目が、わたしを睨んでいるような気がした。
甘納豆が好物だった父のことだ。しゃあないやっちゃな……とブツブツ文句を独りごちながらもきっと、娘のことを許してくれるに違いない。
昨日の晩、皆がいなくなり、台所の片付けをしている時に、「今年はおとうさんのお祝いは?」と旦那に聞かれるまで気がつかなかった。
あっ!と慌てて台所を見渡した。
今年はおせちもろくに作らなかったし、お雑煮はみんなのお腹の中に消えてしまっていたし、父の好きな日本酒だってもう、瓶の底に少し残っているだけだった。
今日の早朝からスノボをしに出かける予定の拓人が、集合場所になっているキリコちゃんのアパートに昨晩から行くと言い出したので、風邪でダウンしている彼女に、カニ鍋で作った雑炊と黒豆と雑煮を持たせたので、本当の本当にスッカラカンの台所だった。
仕方が無いので、恭平が作ったぜんざいと黒豆、それからお猪口いっぱいだけの日本酒をお供えすることにした。
焦って温めたぜんざいの湯気が、遺影の中の父の顔を少し曇らせた。
白い霧の向こうから、遅かったやないか、と文句を言いた気な父の目が、わたしを睨んでいるような気がした。
甘納豆が好物だった父のことだ。しゃあないやっちゃな……とブツブツ文句を独りごちながらもきっと、娘のことを許してくれるに違いない。