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河瀬直美『殯(もがり)の森』

2008-02-28 17:29:08 | ノンジャンル
 河瀬直美監督が監督・脚本を手掛け、カンヌの賞を取った「殯の森」をNHK・BS2で見ました。
 森が迫る田んぼの道を葬列が進み、男たちは木を切り倒し、葬式に必要なものを作っています。
 舞台は老人ホーム。新人で繊細な感じの介護士マチコは自転車で自宅に戻り、祖母の写真に見入ります。入居者のシゲキは、僧侶に自分は生きているのか、と質問し、習字ではマチコの習字をめちゃくちゃにしてしまいます。食事の時、天国の話や、生まれて来る前の話、子供を亡くした話をする入居者。シゲキは誕生会を開いてもらい、上機嫌だ。シゲキはプレゼントのリクエストをされ、亡くなった妻の真子と答えます。夜に介護士とピアノの連弾をするシゲキ。自室で妻の写真に見入るシゲキは、ゴミだと思ってリュックを捨てようとするマチコからリュックを奪い取り、マチコを部屋から叩き出します。手を痛めたマチコは病院に連れて行ってもらい、主任から励まされます。
 木に登って落ち、逃げ出して帽子を投げ飛ばすシゲキ。彼を追うマチコと追いかけっこをして遊びます。そしてある日、リュックを背負ったシゲキと車で出発したマチコは、途中で道からタイヤを落としてしまい、助けを呼びに行っている間にシゲキは車を出てスイカを畑から盗んで逃げ回ります。シゲキはスイカを落としてしまい、割れたスイカを食べる2人。シゲキは森の中に入って行き、真子のところへ行くと言います。2人は道に迷い、携帯の電波も届かなくなります。自分より大事といってシゲキはリュックを離しません。雨が降り、鉄砲水の危険がある川を渡ろうとするシゲキに、マチコは「行かんといて」と泣き叫びます。シゲキは戻り、マチコを慰めます。夜、たき火で暖をとる2人。寒がるシゲキを裸になって暖めるマチコ。
 朝、シゲルが起きると真子がいて、2人で踊り、それをマチコは見ます。マチコはリュックを背負い、急坂を登り、シゲキがリュックを開くと、妻の日記帳と遺品が入っていました。シゲキは穴を掘り、その穴の中でリュックを抱きながら眠ろうとします。マチコはシゲキに礼を言い、上をずーっと見上げて、遺品を持ち上げ笑うのでした。

 シゲキが妻のことが頭から離れない、というか、妻のために自分は生きているというのは分かるのですが、それに関わっていくマチコの立場が良く分からない。そういうシゲキが好きになったということなのでしょうか? カンヌではスタンディング・オベイションの嵐が上映後吹き荒れたそうですが、そこまでの映画には思えませんでした。ただ、冒頭の木を使った物作りのシーンは、ドキュメンタリーから入った監督ならではの見ごたえのあるシーンでした。とりあえず、この作品は河瀬直美監督の最高傑作との呼び名が高いので、彼女の作品を見た事の無い人は、ご自分で見て判断するとよいと思います。肯定的なご意見をぜひ聞かせてください。