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伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

2008-05-20 15:25:08 | ノンジャンル
 今年の本屋大賞を受賞した伊坂幸太郎氏の「ゴールデンスランバー」を読みました。
 金田新首相が地元仙台をパレードしていると、ラジコンヘリが近づいて来て爆発し、金田首相は暗殺されます。その直前、妻のパチンコ狂いで多重債務者となり、借金を肩代わりしてやるから言う通りにしろと言われた森田は大学時代の知り合いの青柳を暗殺現場の近くまで車で連れてゆき、「これは罠で、お前は第二のオズワルドにされる危険があるから、とにかく逃げろ」と言います。青柳が車を出ると、車が爆発し、森田は爆死します。マスコミでは、警察が容疑者を青柳と特定したと報道され、でっちあげの証拠が次々に報道されます。青柳は大学時代の知り合いや元同僚、警察を目の仇にする連続通り魔の三浦たちに助けられ、逃げ通します。そして、自分の偽者が存在し、その命が危なくなっていることを知って、すべてがでっち上げであることを皆に知ってもらうため、マスコミとコンタクトを取り、場所と時間を指定して、テレビの生中継の中、携帯を使って真相をマスコミに語り、それをライブ放送してもらうことにします。自分のせいでケガした後輩の入院した病院で知り合った男から下水管を通って、現場に行きますが、携帯は警察に無力化され、計画は失敗に終わったことが分かります。その瞬間、盛大に花火が打ち上げられ、警察もマスコミも花火に気を取られている間に、近くのマンホールからまた下水道に入り、逃げることに成功し、下水道を出ると、そこには以前宅配をしていた時に暴漢から助けてあげた元アイドルの娘が車で待っていてくれました。青柳は顔に整形を施し、違う人間として生きて行くことを選びます。自分の偽者はしばらくして水死体となって発見され、世間では青柳は死んだことになります。

 青柳がでっちあげの犯人にされた段階で、当然最後には真犯人との対決になるか、と思いきや、彼が逃げるだけのストーリーでした。本筋とは関係ない話が多く、冗長な印象を与えています。ラストはちょっと心暖かい場面で終わるのですが、それにしても青柳のこれからの人生を思うと暗澹たる気持ちにならざるを得ません。この本が本年度の本屋大賞というのは、どうかな、と思いました。その前の年が佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」という、めちゃめちゃさわやかで元気の出る素晴らしい小説だっただけに、今年との落差が目立ってしまいます。伊坂幸太郎氏の小説は以前にも一冊読んでいましたが、これもあまり好きにはなれませんでした。本屋大賞を取ったからといって、過剰な期待を持って読むと、後悔するかもしれません。が、とりあえず、ご自分で読んで判断されたら、いかがでしょうか?