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町田智浩『さらば白人国家アメリカ』その1

2016-12-07 03:46:00 | ノンジャンル
 町田智浩さんの’16年作品『さらば白人国家アメリカ』を読みました。
 本文からいくつか引用すると、
・「(前略)トランプ支持者の平均像は、夫婦で年収7万ドル台の中流、中高年の高卒の白人ということになる」
・「福音派はアメリカの人口の25%を占める聖書原理主義的キリスト教徒。南部に多く住み、60年代まで政治とは無縁だったが、70年代から選挙に動員されるようになった。73年に最高裁が、人工中絶を合法とする判決を下したので、聖書の教えに従って中絶を再び違法化するためだ。法律を変えるには最高裁を変える必要があるが、最高裁判事を任命できるのは大統領だけ。なら、福音派の力で大統領を選ぼうと、投票に動きだしたのだ。1980年にロナルド・レーガンが福音派の支持を得て大統領になって以来、福音派は共和党を支える最大の票田となってきた」
・「実際の話、不法移民による暴力犯罪は多いのだろうか?(中略)アメリカの暴力犯罪件数は現在も減り続けている」
・「殺人事件全体の数は減っているものの、乱射事件の件数は近年増加している」
・「(前略)銃をむき出しで携帯することをオープン・キャリーと呼ぶ。オープン・キャリーは、アメリカのほとんど全部の州で許されている。拳銃でなくて、アサルト・ライフルでも肩からぶら下げたまま、日曜日の歩行者天国にも、ショッピングモールにも、子供連れであふれる公園にも行ける。禁じられているのはカリフォルニア、フロリダ、ニューヨークなど海外からの観光客が来る州だけだ」
・「トランプはメキシコをスケープゴートとして利用しているだけだ。かつてヒットラーがユダヤ人をそうしたように」
・「国境に万里の長城を築くという公約にも現実味がない。高さ10メートルの壁を国境線600キロに建てる場合、建設費はCNBCテレビの試算によれば250億ドルという。そんな金がいったいどこから出るというのか。『壁の費用はメキシコ政府に払わせろ』とトランプは言う。『アメリカはメキシコに対して580億ドルも貿易赤字があるんだから』もちろんメキシコ政府は絶対に払わないと言っている。払うはずがない。トランプも本気で壁ができるとは思っていないだろう。ただ、彼は知っているのだ。敵を設定し、憎しみを煽り、戦時的ムードを作り出せば、人々は強力なリーダーシップを求めることを」
・「FOXニュース・チャンネルは、ニュース専門ケーブル・テレビ局の業界トップ。400万人といわれる視聴者の過半数は(中略)68歳以上の白人。ニュース・チャンネルというが、その内容は共和党の堂々たるプロパガンダである」
・「ティーパーティは最初、草の根の市民運動と報道されたが、10年に『ニューヨーカー』誌の潜入取材で正体が暴かれた。実は石油化学コングロマリットのコーク産業が資金を出して組織したアストロターフ(人工芝、ニセ草の根)団体だった。オバマは1300万人の小口寄付者から総額9500万ドルの選挙資金を集めて圧勝したが、共和党を支える大富豪や大企業がいくら莫大な寄付をしたくても法律で限度額が定められている。そこで作られてたのがティーパーティだった」
・「しかし、ティーパーティはもう、ない。政治に金を投じる隠れ蓑が必要なくなったからだ。10年、最高裁が法人も『人』として政治に参加する権利があるという画期的な判決を下した。この判決によって、PAC(政治活動委員会)という応援団体なら献金の額の上限がなくなった」
・「トランプはずっとクルーズを『ライイン・テッド(嘘つきテッド)』と呼んできた。彼は福音派であることを強調しながら、ティーパーティ議員としてコーク兄弟の支援を受け、妻が取締役を務めるゴールドマン・サックスをはじめ、ウォール街からも多額の寄付を得てきた。それをトランプはずっと批判してきた」
・「サイレント・マジョリティとは具体的には、南部や中西部の白人ブルーカラー(労働者)を意味する。彼らは伝統的には民主党支持だったが、公民権法で黒人の権利を認めた民主党に反発していたのを、ニクソンが取り込んだ。これを『南部戦略』と呼ぶ」
・「(前略)トランプも『強いアメリカ』を復活させると言うが、日本と韓国、NATO各国に安全保障を自己負担させようと主張している。つまり『世界の警察』からの撤退案だ。が、トランプ支持者はそれを求めている。彼らにとって世界とは遠い遠い、自分とは無関係なものだ。アメリカ人の8割はパスポートを持たず、兵隊にならない限り、一生に一度も外国旅行をしない」
・「トランプはイデオロギーにも現実性にも国際情勢にも頓着せず、ただ庶民の求める政策だけを提示する。そんなポピュリズムに、金持ち優遇の共和党の政治家が勝てるわけがない」(明日へ続きます……)