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斎藤美奈子さんのコラム・その78&前川喜平さんのコラム・その39

2021-03-04 13:27:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず2月24日に掲載された「抜け道人事」と題された斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「東京五輪・パラリンピック組織委員会の人事。女性差別発言で退いた森喜朗会長の後任は橋本聖子氏に落ち着いた。橋本氏の後任の五輪担当相は丸川珠代氏。橋本氏は離党したとはいえ、二人とも細田派(旧森派)の自民党参院議員。いわば森氏の身内である。
 今度こそジェンダー平等を実現しよう、日本の組織や会議を変えようとあれほど議論したのに結局これか。男社会(とあえていうが)の高笑いが聞こえてくるようだ。
 新会長の人選に際して組織委は、五輪への深い造詣、大会理念の実現など五つの条件をあげた。もっともそれは表向きの条件。橋本・丸川両氏が選ばれた理由は別にあると考えるべきだろう。
① 国や組織の既定の路線を変えないこと。
コロナ禍を考慮した五輪の中止なんかを主張されてはたまらない。組織が決めたことに逆らわないのが絶対条件。
② 世間のニーズに応えたふりができること。
批判をかわし、ジェンダー平等にも気を配ってますよという顔をするには女性が望ましい。
③ 手っ取り早く事態の収拾が図れること。
幅広い人選や本質的な議論をしている暇などない。近場を探せ。
今度の件に限らず、日本の人事はしばしば①②③が優先される。路線を変えなきゃダメなのに、抜け道を探すのだこれで丸め込めたと思わないでよね。」

 そして、3月3日に掲載された「与党の悪あがき」と題された斎藤さんのコラム。
「次から次へ、よくまあ燃料を投下してくれるよね。自民党議員有志が四十都道府県会議の議長に、選択的夫婦別姓を求める意見書を採択しないよう要請した件。丸川珠代男女共同参画担当相が名を連ねていたことで海外メディアも反応。またもや「ジェンダー平等意識の低い日本」をPRする結果になった。
 選択制がそんなにいやなら、いっそ逆転の発想で民放を「夫婦は妻の氏を名乗る」と変えたらどうだろう。同姓だから家族の絆は守られる。子の氏で悩むこともない。男性の姓が変わると社会生活に支障が出る? いままで築いたキャリアが崩壊する? 何をおっしゃいますやら。だったら旧姓を通称としてお使いになればいいじゃない。
 妻姓強制法は反対論の嵐、不平等だ差別だと大騒ぎになるだろう。でもね、現に女性は、事実上の夫婦強制で同じ状態に置かれているのよ。
 「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」によると、別姓を求める意見書を採択した地方議会は百七十八。うち都道府県議会は、千葉、愛知、岩手、三重、大阪、滋賀、神奈川の七府県(昨年12月21日現在)。
 くだんの圧力文書は地方で広がる意見書の採択に青くなった与党議員の悪あがき。地方自治を踏みにじる行為だし不平等を是正する流れに逆らう暴挙といえる。世論が味方だ、負けるな地方議会。」

 また、2月28日に掲載された「幸運を引き寄せる力」と題された前川さんのコラム。
「東北新社から高額の接待を受けていた山田真貴子内閣広報官。安倍政権で首相秘書官に抜擢(ばってき)され、総務省では情報流通行政局長、総務審議官と重要ポストを歴任。彼女の官僚人生は華々しい成功だ。しかし、この人は一体何のために仕事をしてきたのだろう。
 若い人に向けた動画の中で彼女は「幸運を引き寄せる力」について話している。飲み会は、自分にチャンスをくれる人に出会う幸運に巡り合う機会だ。断る人は二度と誘われない。私は「飲み会を絶対に断らない女」としてやってきた…。
 「飲み会を断るな」とは、まるで昭和時代の人生訓だ。僕は若いころに飲み会への参加を強いられて散々嫌な思いをした。今の若い人にh「嫌な飲み会はちゃんと断れ」と言いたい。
 彼女の言う「幸運」とはひとえに自分のための幸運」だ。それは要するに出世して高い地位に就くことだ。全体の奉仕者として人々の幸福を実現するという使命をどれほど自覚しているのだろう?
 彼女の最大の「幸運」は菅義偉氏に出会ったことだ。だから菅氏につながる東北新社の接待も断らなかった。25日の予算委員会で山田氏は、東北新社や菅正剛氏との関係についてきわめて曖昧な説明に終始した。それは菅首相に対する精一杯(せいいっぱい)の忖度(そんたく)だ。それは必ずや彼女に新たな「幸運」をもたらすだろう。」

 どれも一読に値する文章だと思いました。