今日はいよいよ最終巻、天童荒太「家族狩り〈第五部〉まだ遠い光」の紹介です。
(冒頭の電話は、今回はありません)
馬見原は綾女の家に着くと、綾女にはあざや傷があり、暴力団の長峰を脅して油井の居場所を聞き出します。油井を殺そうをしますが、長峰に止められ、二度とあの母子に会うなといい、自宅に帰りますが、佐和子はいませんでした。
佐和子は真弓の夫に助けられ、再々入院していました。孫を抱き、命の尊さを再認識します。
游子は浚介に助けられ、一人でトイレに行けるまで回復します。玲子は施設に戻りますが、大野と山賀の家に駒田が現れ、玲子を連れて来いと言いますが、大野の柔道技に失神されてしまします。
馬見原は佐和子に病院に呼ばれ、その場にいた真弓に罵倒されますが、始めて真弓の夫に挨拶できます。彼は綾女に別れようと言い、彼女も実家の富山に引っ越すことにします。
浚介に亜衣から電話が入り、時間と場所だけ指定して切れます。その場に行きますが、亜衣は来ませんでした。彼女は手前の駅で降り、歩いていると少女のグループに出会いますが、「このグループは男にやられないと入れない」と言われ、亜衣は帰ります。そして家に大野と山賀が訪ねて来て、シロアリがいると嘘を言い、駆除に来ると言います。
椎村はマイホームを失った人をリストアップしていき、幼い頃から母からマイホームを持て、と言われ続けて来た、動物の死体放置事件の容疑者を割り出し、逮捕します。最後は復讐心から、母に次のターゲットを探させていたそうです。
游子は施設で、玲子に駒田からの手紙のコピーを渡すと、原本をくれ、と暴れ、それから口を聞いていないと言います。手紙には山賀に育ててほしい、と書いていて、山賀本人も1日置きに訪問すると言います。日帰り交流も考えているという施設に、游子はとんでもない、と注意します。玲子は日に日に元気になっています。
油井の家を長峰が訪ね、綾女母子から手を引かないと破門だと言います。油井は馬見原の妻のみじめな姿を見に行こうとしますが、生き生きとした彼女を見てショックを受けます。長峰に連絡し、馬見原の情報源のソープ嬢を痛めつける役を引き受けます。
馬見原は家に帰った翌日から大野を張り込んでいます。今日で15日。まだ動きはありません。長峰に電話すると、馬見原のなじみのソープ嬢に大ケガさせたので、油井はもうダメでしょう、と言います。老人施設からは「母が骨折した」と知らせて来たので、付き添うため休みをもらいます。その施設から、彼が射殺した男の母の家は近く、ゴミ屋敷として有名なことろでした。お見舞いに行くと「息子なんていない」と老婆から痰を吐きかけられます。署に戻って退職したい、と言い、長峰を最後に徹底的に叩くネタを持ちかけます。
大野と山賀は祖父母とシンナー中毒の孫の家を訪ねますが、救いようがありません。大野はスキを見て合い鍵を作ります。家に帰ると、今作った鍵以外に、亜衣の家の合い鍵もあります。2人は相談し、今日のところを先にやろう、と相談し、異臭がするので、駒田の死体を埋め直します。
浚介は自分で作った野菜を作って両親に会いに行きます。始めは歓待されますが、浚介が親を罵倒しはじめると、雰囲気が一変します。帰り、雨で濡れながら歩いていると、游子に会い、思わず抱き締めてしまいます。
大野の監視を一日だけ頼まれた椎村は、先日のバカラ賭博の検挙で想像以上の結果が出たことを思い出しています。馬見原は綾女の引っ越し現場にいました。
大野と山賀は「愛を見せに行く」と出発します。
綾女の家に油井がやってきて、息子の見る前で犯そうとしますが、息子に邪魔されます。息子をトイレに隠して綾女が包丁を持つと、隣家が110番通報してくれて、油井は逃げます。
大野と山賀は目的地に着きましたが、パトカーが止まっていて、息子が暴れています。椎村は二人に挨拶し、逮捕に協力します。二人は椎村の尾行がないのを確認し、亜衣の家にターゲットを変更します。
游子に「今から親を殺す」と亜衣から電話がかかります。自宅近くの幼稚園から電話している、とのことで、現場に急行し、浚介は亜衣を説得し、家に帰ります。游子は馬見原に電話し、彼も現場へ向います。
亜衣は木をつたって2階から侵入しますが、廊下を出たところで襲われます。亜衣は拘束衣を着せられ、口には布を突っ込まれます。1階に行き、椅子に縛り付けられると、両親は全裸で麻生家と同じように縛られ、「最後に愛を見せるんだ」と大野が宣言します。
幼稚園についた馬見原は椎村に電話し、亜衣の親が山賀たちに相談していた事実を聞きますが、その瞬間に油井に襲われ、銃弾を一発浴びます。砂に埋められた馬見原は椎村に助け出され、その後亜衣の家に侵入すると大野に捕らえられます。浚介と游子は玄関の鍵を開け、大野と山賀は亜衣を人質に逃走します。亜衣は山の中に置き去りにされ、馬見原が搬送された病院には佐和子と真弓が駆け付け、自分名義の通帳を見た真弓は泣きます。
悩み電話相談は番号が変わったと言われますが、ここの電話のせいで救われたという男に、今の話をもう一度してほしい、と電話口が変わり、愛想の悪い男が出て来ます。
游子は父の死を認めない玲子に墓参りをさせますが、無駄に終ります。浚介はこうした子をどうしていくかが社会の課題だと考えます。
佐和子はデイ・ケア用に改築した家で、患者同志の結婚式を始めようとしますが、馬見原がいません。
亜衣は実際に世界で苦しむ人をこの目で見たいと、カンボジアへ一ヶ月行くことにします。浚介が見送っていると、町で親切にしてもらった少女も来ていて、二人は抱き合います。
馬見原は公園で池を見ています。大野たちはおそらく樹海で死んでいるでしょう。息子の死のことで自分のことを責めるのは止めて、息子の死を息子自身に返してやろう、と思います。「また明日」という声が聞こえます。これ以上ない言葉だ、と彼は思います。
ということで、どの巻でも冒頭の電話がいかにも犯人からの電話のようでしたが、すべて引っ掛けでした。
また、毎度のことですが、省略しているエピソード、はしょっているエピソードは多数あります。
大野たちが動き出すところからは、息もつけないスピード感で物語りは進み、ラスト玲子だけが救われずに残されてしまいます。ただ、これだけの人数の登場人物がそれぞれの物語を持ち、そして心理に関してもちゃんと描写されていて、すばらしい小説だと思いました。まだ読んでいない方、ぜひ一読してみてください。
(冒頭の電話は、今回はありません)
馬見原は綾女の家に着くと、綾女にはあざや傷があり、暴力団の長峰を脅して油井の居場所を聞き出します。油井を殺そうをしますが、長峰に止められ、二度とあの母子に会うなといい、自宅に帰りますが、佐和子はいませんでした。
佐和子は真弓の夫に助けられ、再々入院していました。孫を抱き、命の尊さを再認識します。
游子は浚介に助けられ、一人でトイレに行けるまで回復します。玲子は施設に戻りますが、大野と山賀の家に駒田が現れ、玲子を連れて来いと言いますが、大野の柔道技に失神されてしまします。
馬見原は佐和子に病院に呼ばれ、その場にいた真弓に罵倒されますが、始めて真弓の夫に挨拶できます。彼は綾女に別れようと言い、彼女も実家の富山に引っ越すことにします。
浚介に亜衣から電話が入り、時間と場所だけ指定して切れます。その場に行きますが、亜衣は来ませんでした。彼女は手前の駅で降り、歩いていると少女のグループに出会いますが、「このグループは男にやられないと入れない」と言われ、亜衣は帰ります。そして家に大野と山賀が訪ねて来て、シロアリがいると嘘を言い、駆除に来ると言います。
椎村はマイホームを失った人をリストアップしていき、幼い頃から母からマイホームを持て、と言われ続けて来た、動物の死体放置事件の容疑者を割り出し、逮捕します。最後は復讐心から、母に次のターゲットを探させていたそうです。
游子は施設で、玲子に駒田からの手紙のコピーを渡すと、原本をくれ、と暴れ、それから口を聞いていないと言います。手紙には山賀に育ててほしい、と書いていて、山賀本人も1日置きに訪問すると言います。日帰り交流も考えているという施設に、游子はとんでもない、と注意します。玲子は日に日に元気になっています。
油井の家を長峰が訪ね、綾女母子から手を引かないと破門だと言います。油井は馬見原の妻のみじめな姿を見に行こうとしますが、生き生きとした彼女を見てショックを受けます。長峰に連絡し、馬見原の情報源のソープ嬢を痛めつける役を引き受けます。
馬見原は家に帰った翌日から大野を張り込んでいます。今日で15日。まだ動きはありません。長峰に電話すると、馬見原のなじみのソープ嬢に大ケガさせたので、油井はもうダメでしょう、と言います。老人施設からは「母が骨折した」と知らせて来たので、付き添うため休みをもらいます。その施設から、彼が射殺した男の母の家は近く、ゴミ屋敷として有名なことろでした。お見舞いに行くと「息子なんていない」と老婆から痰を吐きかけられます。署に戻って退職したい、と言い、長峰を最後に徹底的に叩くネタを持ちかけます。
大野と山賀は祖父母とシンナー中毒の孫の家を訪ねますが、救いようがありません。大野はスキを見て合い鍵を作ります。家に帰ると、今作った鍵以外に、亜衣の家の合い鍵もあります。2人は相談し、今日のところを先にやろう、と相談し、異臭がするので、駒田の死体を埋め直します。
浚介は自分で作った野菜を作って両親に会いに行きます。始めは歓待されますが、浚介が親を罵倒しはじめると、雰囲気が一変します。帰り、雨で濡れながら歩いていると、游子に会い、思わず抱き締めてしまいます。
大野の監視を一日だけ頼まれた椎村は、先日のバカラ賭博の検挙で想像以上の結果が出たことを思い出しています。馬見原は綾女の引っ越し現場にいました。
大野と山賀は「愛を見せに行く」と出発します。
綾女の家に油井がやってきて、息子の見る前で犯そうとしますが、息子に邪魔されます。息子をトイレに隠して綾女が包丁を持つと、隣家が110番通報してくれて、油井は逃げます。
大野と山賀は目的地に着きましたが、パトカーが止まっていて、息子が暴れています。椎村は二人に挨拶し、逮捕に協力します。二人は椎村の尾行がないのを確認し、亜衣の家にターゲットを変更します。
游子に「今から親を殺す」と亜衣から電話がかかります。自宅近くの幼稚園から電話している、とのことで、現場に急行し、浚介は亜衣を説得し、家に帰ります。游子は馬見原に電話し、彼も現場へ向います。
亜衣は木をつたって2階から侵入しますが、廊下を出たところで襲われます。亜衣は拘束衣を着せられ、口には布を突っ込まれます。1階に行き、椅子に縛り付けられると、両親は全裸で麻生家と同じように縛られ、「最後に愛を見せるんだ」と大野が宣言します。
幼稚園についた馬見原は椎村に電話し、亜衣の親が山賀たちに相談していた事実を聞きますが、その瞬間に油井に襲われ、銃弾を一発浴びます。砂に埋められた馬見原は椎村に助け出され、その後亜衣の家に侵入すると大野に捕らえられます。浚介と游子は玄関の鍵を開け、大野と山賀は亜衣を人質に逃走します。亜衣は山の中に置き去りにされ、馬見原が搬送された病院には佐和子と真弓が駆け付け、自分名義の通帳を見た真弓は泣きます。
悩み電話相談は番号が変わったと言われますが、ここの電話のせいで救われたという男に、今の話をもう一度してほしい、と電話口が変わり、愛想の悪い男が出て来ます。
游子は父の死を認めない玲子に墓参りをさせますが、無駄に終ります。浚介はこうした子をどうしていくかが社会の課題だと考えます。
佐和子はデイ・ケア用に改築した家で、患者同志の結婚式を始めようとしますが、馬見原がいません。
亜衣は実際に世界で苦しむ人をこの目で見たいと、カンボジアへ一ヶ月行くことにします。浚介が見送っていると、町で親切にしてもらった少女も来ていて、二人は抱き合います。
馬見原は公園で池を見ています。大野たちはおそらく樹海で死んでいるでしょう。息子の死のことで自分のことを責めるのは止めて、息子の死を息子自身に返してやろう、と思います。「また明日」という声が聞こえます。これ以上ない言葉だ、と彼は思います。
ということで、どの巻でも冒頭の電話がいかにも犯人からの電話のようでしたが、すべて引っ掛けでした。
また、毎度のことですが、省略しているエピソード、はしょっているエピソードは多数あります。
大野たちが動き出すところからは、息もつけないスピード感で物語りは進み、ラスト玲子だけが救われずに残されてしまいます。ただ、これだけの人数の登場人物がそれぞれの物語を持ち、そして心理に関してもちゃんと描写されていて、すばらしい小説だと思いました。まだ読んでいない方、ぜひ一読してみてください。
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