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黒田信一『インド人大東京をゆく!』

2010-04-02 18:23:00 | ノンジャンル
 本「放っておいても明日は来る」の中で高野秀行さんと対談していた黒田信一さんの'00年作品「インド人大東京をゆく! なんと、アジアで最も熱い都市が日本のなかにあった」を読みました。序文によると、アヌラーグ・メヘンディ君という若いインド人が東京を一人で貧乏旅行した時の見聞録を黒田さんが翻訳した本とのことでした。
 東京がアジア一番の秘境と考えたアヌラーグ君は、日本へ向かう飛行機の中で出会ったコギャルの生態に驚き、新宿のカプセルホテルに泊まりながら、夜の歌舞伎町・大久保・新宿二丁目を体験し、谷中の格安旅館に移ると、その周辺、上野のアメ横、渋谷・原宿・夜の六本木を見聞きし、次に山谷の格安ホテルに移った後は、銀座・築地、池袋・巣鴨・浅草を見学してインドに帰っていきます。そうした中で、通勤時間帯の駅にいる人々が皆異様に押し黙っていて深閑としているのが無気味だったこと、電車の中で乗客の体から発している魚臭さに辟易したこと、車が来てないのに赤信号をずっと待ち続ける人々の不思議、煮干しや鰹節でダシを取る日本の料理(ラーメンなど)を苦手とする欧米人が多いこと、電車やバスの中で居眠りできるほど安全である日本は珍しい国であることなどが語られていきます。
 しかし、あまりにもトンチンカンな記述が目立つので、あとがきを先に読んでみると、どうもアヌラーグ君というのは黒田さんが考えた架空の人物で、すべて黒田さんが創作した内容であることが分かりました。実際、本では本文の下に黒田さんの脚注のスペースが取ってあって、本文中の変な記述をそこで訂正したり解説したりしているのですが、多くが本文での悪ノリめいた、ふざけた部分を脚注でツッコんでる感じで、下手な漫才を読んでいるようで後味の悪いものでした。アジア人が見る東京の姿がどんなものか、期待して読み始めただけに、裏切られた気持ちです。ということで、黒田さんの他の著作(「カフェ・ビエンチャン大作戦」など)も読もうと思っていたのですが、考えを改めました。悪ふざけが好きな方にはオススメかも。

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