寒が明けてから、寒波がきて山々は雪が降り積んでいる。今年になって山に遠ざかっている。こんな日に思い出すのは、雪の大高根山登山だ。深い雪の中、登山口を探しあぐねて、登ったのは別の山。そこから大高根山の雪の景色を見ることができた。先日、温泉で大高根山の麓の集落出身の人に偶然会った。その人の子どものころ、大高根に米軍の射撃場があり、その発砲音を聞いたと、述懐されていた。1945年に、米軍が神町飛行場に到着すると、間もなく大高根射撃場は米軍に接収された。翌年の6月、射撃の標的をつくるために集落の村民が動員され、三つの砲座と13の標的が作られた。
それから10年、昼夜を問わぬ射撃演習が続いた。55年になって新砲座設置のための土地の収用、それに反対する集落の農民が激突、死者も出た。その出来事から半年後、米軍の接収が終了し解除、撤退となった。大高根山には、こんな歴史がある。集落のこの山を愛する気持ちは尋常ではない。登山道はしっかりと整備され、木の葉は箒で掃き清められる。後藤勝一さん、接収に反対して立ち上がった農民であり、その闘いを詩に書いた。
弾道下のうた 後藤勝一
雪白く峯にかがやき
水青く最上は流る
美わしふるさとの空に
ばくおんはみだれとどろく
山は焼かれて芽を吹かず
わらべの歌は変わらねど
砲火の音に明けくれて
ふるさとの平和今はなし
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