寒気が去ってほぼ平年なみの気候に戻りつつある。この数日、一番の楽しみはベランダから見る山の表情を見ることだ。気をつけて見ていると、その表情は一刻とて同じではない。雪の積もり具合、空の雲や青空、太陽の光の当たり方、空気のなかにある水蒸気。山を見る条件は複雑にからみあい、しかもそのひとつ一つが時々刻々と変化している。一番感動的で美しく見えるのは、澄みきった朝の空気のなかで、朝日に輝く千歳山の表情である。
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はなつかしきかな 啄木
啄木が見たのは、渋民村から間近くにある岩手山である。いつも同じ場所で、どっしりと構える故郷の山は、ふるさとのシンボルである。そこに住み、成長していく人間の姿を、山は見まもっている。気弱になっている少年は、時に山に励まされるであろう。人によっては、山と対話することもあるであろう。
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