年の瀬になって消防車のサイレンが急に増えたような気がする。テレビのニュースは毎日どこかの街の火災が報じられる。なかには放火のようないやな事件も混じるが、とのかく火災が多い。気温が下がってどこの家でも暖房を使うためか、年の瀬の慌ただしさのせいであろうか。寒空で自宅を失った人が、この冬どう過ごすのか。気になるところだ。恐いものとして「地震、雷、火事、親父」という諺があるように、火事は江戸の昔から日本人に恐れられていた。
明治のはじめに来日したイギリスの言語学者チェンバレンは、著書『日本事物誌』で日本の印象を述べている。日本には火事が多く、日本語に火事に関する語彙が多いことに注目している。「ぼや」「丸焼け」「飛び火」「貰い火」に
「火事場」「火事ドロ」「火事見舞い」などを上げ、fireの一語でことたりる英語との違いに驚いたようだ。その頃の日本家屋は木材中心で、風の吹く日には大火が出た。因みにこの学者は、日本の「古事記」に興味を覚えその英語訳を行った。その研究の間に、本居宣長の「古事記伝」を高く評価し、言語学のレベルの高さをも指摘している。東大で最初の講義を行った学者である。
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