常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

メメントモリ

2020年04月22日 | 日記
新型コロナウィルスのパンデミックで、毎日の死者の数が報道される。22日午前4時時点の世界の感染者は252万人、死者は17万4001人と報道されている。最も深刻なアメリカで感染者80万4千、死者43,200人、イタリアで18万人の感染者、死者が24,648人である。日本は感染者が11,534人、死者は283人となっている。報道番組がほとんどの時間をこの関連のニュースに割き、見るのが辛くなるような状態が続いている。こんな状況は人生で初めて経験することである。

人類は14世紀にペストという、今回のウィルスよりもはるかに悲惨な感染症のパンデミックを経験している。人口の4分の1から3分の1が死んでいったペストの恐怖は今日の比ではない。ペスト後、ヨーロッパで広まった「三人の生者と三人の死者」という教訓譚がある。

この世の幸福と活力と青春と快楽を一身に具現したような若者(身分の高い貴族)が、楽しみを求めて狩りに出た。歓楽の果て、野末に至った彼らの前に突如墓場が現れる。その墓場で彼らを待ち受けていたのは、骸骨の上に屍衣をまとった三人の死者であった。

三人はそれぞれが教皇、枢機卿、教会高位聖職者であると名のったうえ、骨になった指で生者を指しながら言った。「我々を憶えよ!」。この教訓譚こそ、ヨーロッパの諺「メメントモリ」の原型である。ペストによって死の恐怖が最高に高まったヨーロッパでは、この教訓は骨身に沁みるものであった。
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