この季節、親せきからの到来物がうれしい。いずれもその地方の名産品。尾花沢の小玉スイカ。北海道からは暑寒別メロン。どちらも昼夜の寒暖の差が、果肉の甘みを決定する。夕張メロンは、閉山となった夕張炭鉱のあと、地域おこしの期待を担って登場した。一つの株から二本の蔓、4個を限度に成熟させる。赤肉の美味しいメロンは人気を呼んで特産品となった。ブランド管理は厳格で、同じ種を使っても、決められた地域以外では夕張メロンの名称を使うことは禁じられている。この人気にあやかろうと、北海道の各地でメロン栽培が盛んだ。暑寒別山の麓の地区のメロンも、ブランド力では劣るが味は決して見劣りすることはない。食べごろは26日ごろと記載されているので、楽しみだ。
白樺を日のもる卓にメロン割る 伊丹丈蘭
尾花沢スイカも評価が高い。東京をはじめ、関東でも広く流通している。県内でも各地でスイカの栽培は行われているが、気象条件、土壌の環境が好適なのか、ここのスイカを越える品質のスイカが収穫された例はない。その収量も熊本、千葉に続いて全国3位の位置にある。しかも、収穫時期が、南から北へと進んでいくので、出荷時期が重ならない。盛夏の尾花沢スイカが、賞味されるのは、梅雨が明けた時期である。
これの世や西瓜を割れば色烈し 篠田悌二郎
山路の旅で、スイカはうれいしい限りだ。一昨年、燕岳に登ったときのことである。日本三大急登といわれる合戦尾根。中房温泉から第一から四ベンチ、そして合戦小屋まで、急登の連続である。仲間の一人が熱中症の症状で、喘ぎながら着いた合戦小屋、ここで売られているのは、冷やしたスイカである。皿に切り分けられたスイカが載っている。このスイカを一口、口にしただけで、あの苦しさは不思議と消え去った。そこから燕山荘までややしばらくの道のりだが、夕食時に飲む一杯の生ビールに励まされてこの道を登り切った。またこんな思い出の山行ができるか、危ぶまれる年齢にさしかかっている。
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