西陣織の職人さんの工房を見学しているミモロ。20種類と言われる西陣織の工程は、熟練の職人さんたちの分業で進んでゆきます。前回は、糸を染める染色の工房を見学。今回は、織機にセットされる経(たて)糸を準備する「中村整経」の工房に伺いました。
工房にお邪魔して、まずミモロが目にしたのは、たくさんの糸枠。「なにするんだろ?」とミモロは、想像もつきません。
そこで、伝統工芸士の中村茂之さんにお話を伺いながら、見学することに…。
「西陣織は、織機という布を織る機械で作ります。帯や着物などの模様を作るのは、緯(よこ)糸で、整経は、機械にかけた経糸に、緯糸が織り込みやすくするための、なくてはならない作業です」と中村さん。
「えー経糸って、機械に1本1本掛けるんだと思ってたー」と、ミモロの頭の中のイメージは、七夕の織姫様が使うような織機です。それとは全然が違うもの。次は、織る所を見学に行きましょう。
さて、糸の本数は、織物によって異なりますが、一般的な着物の場合でも、4000本から5000本の経糸が使われるそう。「えーそんなにー」とミモロは、ビックリ。
では、整経の工程を…
染色された経糸は、綛(かせ)という、毛糸でいうなら、毛糸玉になっていない状態で、ここに届きます。
これを糸くくり機にかけて、糸枠に巻き取ることから。
「わー細くてよく見えない…」近くで見ても、よくわからないミモロです。
糸枠に巻き取られた糸は、次に大きな糸巻のようなドラムというものに巻きます。
1度に100個ほどの糸枠から、細い糸は、目板という枠を通り、幅を整えてドラムに巻かれます。
ミモロ、あんまり近づいちゃだめよー。糸枠から細い糸が出てるでしょ。
「絹糸ってあまりに細くてよく見えない…」と、ここでも、目を凝らして見つめます。
作業の途中で、なんども糸の張り具合を指で確認。
また、1本でも切れたら、機械を止めて、繋ぎます。
「どうして、切れたってわかるの?」とミモロ。たとえ1本でも、熟練した職人さんは、見逃さない目を備えているんです。
「こんなに細い糸なんだー」と、やっと近くで見て、改めてその細さに驚きます。
「こんなに細くても、絹糸って強いんだねー」
さて、ドラムに巻き取った糸は、次に、いくつかのドラムを組み合わせて、織機に掛けるための幅に、整えます。
「ツヤツヤしてキレイ…」
「これなんだろ?」機械のそばに大きな厚紙が何枚も…「なんか大きな八ッ橋みたい…」
「それは、糸が絡まないように、間に入れるハタグサというもの…」
糸を巻きながら、サッサと紙を入れて行きます。
「はい、出来上がり…」
この巻いたものを千切(ちぎり)といい、これをそのまま織機にセットします。言い換えれば、経糸のカートリッジです。
「なんかバームクーヘンを思い出すねー」と、ミモロの発想は、すべて食べ物がらみ…。
「こういう緻密な工程を経て作られる西陣織って、すごいねー」と、ミモロは、ただただ感心するばかり。
日本の職人さんの技術の高さは、世界的に高い評価を受けています。それは技術だけでなく、高い完成度を追求する心意気と妥協を許さぬ姿勢があってこそ。中国の職人さんの中には、技術を習得できても、完璧を目指す姿勢を求めるのは、むずかしいという人も…。その差は、ものづくりに対するプライドの違いにあるのでは?納品先に満足してもらえる、さらにそれを使う人が喜んでくれるようなものづくりをしたい…。見学したどの工房からも、その思いが、伝わってきます。
日本のものづくりは、スゴイ!と、そして着物はもっと大切にしよう…と思う工房見学でした。
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ブログを見たら、金魚をクリックしてね。久しぶりの雷の音に驚いたミモロより
本人の根幹だと、思ってます。
特に伝統産業の世界は幾世代にも積み重ねられた歴史がありますもんね。
次の世代に渡していくのは、どの分野でも簡単な事ではありませんが、着物だったら、着るだけで良いのだから、ホントは簡単なことなのかも。
ミモロちゃんの着物姿もブログでチョクチョク見たいですぅ!
経糸ってどうなっているのかしらって思っていたけど、ミモロちゃんのリポートでよく分かったよー あんなに細い糸を見定めるられるのは凄い。美しい西陣織は職人技の積み重ねで出来てるんだねー 次の工程も興味深いなー
ホントにスゴイし、カッコイイ!
ひとつのことを、変わらぬレベルで継続するって
大したもの。
こういう職人さんたちがいるから、
日本の製品は、世界で信用されるし、高い評価を得られるんだよねー。
ミモロも日本のネコであることを、誇りに思います。