少し暑さも和らいだ日、ミモロは、久しぶりに京都の北に位置する大原を訪ねます。
鄙びた趣がある大原の里は、今、一面黄金色。
頭を垂れた稲穂は、里に、まるで黄金色の絨毯を敷いたよう。
「町中から、車で30分くらいで、こんな山里の景色が見られるなんて…。もう秋も近づいているんだよね」と。
そういえば、夜になると、どこからか虫の声も聞こえるようになりました。まだ暑いと言っても、確実に秋は忍び寄っているようです。
大原といえば、三千院と寂光院が、この地域を代表する観光スポットですが、実は、この2つの距離は結構離れていて、ハイキング気分で歩くことをおすすめします。大型観光バスが多い三千院に比べ、寂光院は、道が狭いため、バスが止まれる駐車場からも15分ほど歩くことに。
「この道は、普通の車でも、それ違えないねー」
この日は、観光客が少なかったようで、ミモロは、寂光院に一番近い駐車場へ。そこは、門のすぐ近くのお蕎麦屋さんの敷地。300円の駐車料金で利用できます。
寂光院は、平清盛の娘、徳子が、出家した後、壇ノ浦で滅亡した平家一門と息子の安徳帝、そして夫の高倉帝の菩提を弔う日々を過ごした場所。
お寺の入口から門まで長い石段が続きます。「でも、この石段、知恩院の石段に比べたら、全然なだらかで、歩きやすい」と。それは、ここが尼寺だからなのでしょう。
石段の周囲は、楓の木が緑の葉を伸ばしています。「きっと秋の紅葉は、キレイだろうねー」と、楓を見上げて、秋を想像するミモロです。
山門に到着。中には、まだ新しい感じの本堂の姿が…。
さて、ここで、寂光院のお話を少し…。
天台宗の総本山、延暦寺のある比叡山の麓に位置する大原のお寺は、三千院、勝林院、そして寂光院も皆、天台宗のお寺です。その中で、寂光院は、尼寺で、その起源は古く、推古2年(594)に、聖徳太子が、父である用明天皇の菩提を弔うために建立され、その頃の御本尊は、聖徳太子作の六万体地蔵尊であったと伝えられます。
「えー聖徳太子が、奈良から、ここまではるばる来たのー?」うーむずかしい質問。聖徳太子自体が、その存在が不確かになっている今、なんとも言えません。・・・・と伝えられているんです。
また、初代のご住職は、聖徳太子の御乳人で、以来、代々高貴な姫君が住職を務められていると、これも伝えられています。でも、ともかく、ずっと尼寺なのです。
それから、時代を経て、文治元年(1185)に、京都の長楽寺で出家した29歳の建礼門院徳子が、36歳の生涯を閉じるまで、静かな時を過ごされたのが、このお寺です。
建礼門院徳子と言えば、日本史の中でも、悲劇のヒロインのおひとり。平清盛の娘として生まれ、高倉天皇の中宮となられ、安徳天皇を生まれます。夫、高倉天皇と父、清盛の死により、急激に力を失う平家一門。ついに源氏に壇ノ浦で敗れ、まだ8歳の安徳天皇と共に海に身を投げた徳子。しかし、源氏方に海から救われ、命を繋ぐことに…。再び京の都に連れ戻され、出家し、この大原へと移り住みます。
「旦那さんも亡くなって、都を追われるように、西に移り、その間に、息子まで亡くして、自分だけ生き残るって、辛いようねー。あの時代って、大河ドラマ「平清盛」で見たけど、人間関係がドロドロと複雑でよくわかんなかったー」とミモロ。
「平家物語」の中でも、寂光院に暮らす建礼門院徳子の暮らしぶりは、かつての宮中の華やかな暮らしと違い、淋しく、哀れなもので、訪れた人たちは、みな涙を流したという語りも。
ミモロは、本堂に上がります。「そういうお話聞くと、建礼門院徳子さんがあまりに可哀想・・・」と、しんみり。
「堂内のご案内をしますから、中に入って下さい」と。お寺の方。
新しさが漂う本堂へと入ります。(本堂内は、撮影禁止です)
「ご存じとは思いますが、この本堂は、今から8年前に再建されたもの。かつてここには、桃山時代に建立された本堂と、鎌倉時代に作られた御本尊の地蔵菩薩立像、建礼門院像と彼女に仕えた侍女 阿波内侍像がありました。ところが平成12年に放火により、ことごとく焼失。地蔵菩薩も黒焦げに。でも、胎内に納められていた経文や多数の小さな地蔵尊などは無事で、現在、宝物館に一部が展示されています。お帰りにぜひご覧ください…」との説明を。
地蔵菩薩立像も再建され、その手には五色の紐が結ばれ、それに触ると、地蔵尊のご利益があるとか。
「縁結びだってー」とミモロも真剣にギューっと紐を握りしめながら参拝を。
さぁ、お庭や建礼門院徳子さまの御墓にお詣りに行きましょう。
「はーい、待ってー」ミモロは、急いで歩きはじめました。
*「寂光院」の詳しい情報はホームページからどうぞ・・・
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シーズンをずらして行くと、浸れて良さそうね!
一度 大原に行きました。寂光院にも行きたかったのだけど、三千院だけしか行けなかった。2つのお寺って 距離が離れてるんだよね。
今度 ゆっくり行ってみたいです。
でも、今は、静かだよー。
そう、三千院と寂光院は、かなり離れてます。
歩くとかなりありますが、里の景色を眺めながら
のんびり歩くといいかもー。
途中でお弁当食べたりしてー