我が家の冷蔵庫の具合が悪くなった。製氷がうまくいかないとか、扉の周りに氷が付着しているとか、その度に「キチンと閉めておかないから」とカミさんは私に言う。私が原因と指摘を受けるが、身に覚えがない。そうこうしているうちに冷蔵庫が「お買い求めのお店に連絡してください」と言い出した。カミさんが買った電気屋に電話し、表示された記号と番号を伝えると、「分かりました。氷を作る部分の部品の取替えが必要ですので、4日に伺います。部品代は1万5千円かかります」と言う。
今日、電話を受けてくれた電気屋がやって来て、冷蔵庫の部品を取り換えて行った。カミさんは「ついでにお願いしていい?」と、電気釜とエアコンの現状を伝え、これも点検してもらった。昔からの電気屋だが、開業した父親は病気で引退し、今は息子がひとりで商売を続けている。「電話すればいつでも来てくれるから助かる」と、マンションの人は彼をひいきにしているけれど、おそらく売上は繁盛していた頃の10分の1も無いのではないかと思う。
我が家の電化製品は、大型のものは彼の店で買ったものだが、いつの間にか近くの量販店で買ったものが増えている。修理で出たゴミをカミさんが電気掃除機で吸い集めていたけれど、これも量販店で買った他の会社の製品で、私はちょっと申し訳ない気がしてしまった。電気屋も酒屋も書店も八百屋も、小型のスーパーもみんななくなった。商店街と呼ばれていた通りもシャッター通りになった。市では駅前を整備し、商店街の活性化を図ろうとしているが、キレイになったのは税金を投入した駅前広場だけだ。
安倍首相は地方再生でアベノミックス効果を広げたいと、石破前幹事長を大臣に任命したけれど、無理だろうと私は思う。経済最優先などと言うと、いかにもみんなが潤う豊かな社会が来るように錯覚するけれど、何をやってもどんな風にやっても、みんなが潤うことにはならない。豊かになった人がなれなかった人のために、分けることが普通の社会、それが制度として成り立つ社会がいいのではないか‥。