「君の行く道は はてしなく遠い だのに なぜ 歯をくいしばり 君は行くのか そんなにしてまで」(若者たちの主題歌)。最近、テレビでよく耳にする。昨日のテレビ番組蘭に、『若者たち(最終回)』とあったので見てみた。このドラマは1966年に放送されたもののリメイクだという。1960年に安保闘争があり、その挫折感が文化人には強く残っていたと思う。私は60年に高校1年となったばかりで、デモのことは新聞で知る程度だった。高校の体育館に全生徒集合し、東京での出来事を聞いたけれど、何も覚えていない。
テレビドラマ『若者たち』は随分人気だったようだが、なぜ知らないのだろうと思ったら、1961年頃から結婚するまでの7年間、私はテレビを持たなかった。昨夜、ドラマの最終回を見て、こんなに大声で怒鳴り合う兄弟の物語だったのかと思った。主題歌から私が連想していたものは、もっと社会性のあるというか、社会に立ち向かっていくストリーと勝手に思っていた。その頃の映画で、山本学の3兄弟が会社に対してストライキを行なう物語が合ったように思い、それと取り違えているようだが、これも思い違いかも知れない。
あの頃、『若者たち』はよく歌われていた。「はてしなく遠い」のに、「歯をくいしばり」向かっていく姿に自分を置き換えていたのだと思う。「青年は荒野をめざせ」という言葉も、ピッタリと来るものがあった。どんなにつらいことがあっても、どんなに困難なことがあっても、正義を貫くぞという思いがあった。若者たちは社会を変える意気に燃えていた。テレビドラマ『若者たち』にはそんな戦闘性はなかった。むしろ、相手への思いやりがズレるために生まれてくる葛藤が主題になっていた。
20代になっていた私はもう少し冷ややかで、主題歌の3番「君の行く道は 希望へとつづく 空にまた 陽が昇るとき 若者はまた 歩きはじめる」をなんと甘いことかと思っていた。必ず革命が起きると信じている若者が信じられなかった。大学を出た私たちは職があったけれど、食べていくことに精一杯な人もいる。今のイラクやシリアのように、あの頃もアメリカは北ベトナムを空爆し、ベトコンの抹殺を行なっていた。「どこに希望があるのか」と思っていた。やはり、遠い昔の思い出である。