友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

歌のこころ

2015年09月26日 18時40分19秒 | Weblog

 「同世代に聴いてもらえればいい」と、『高校3年生』を歌った舟木一夫さんは言ったという。「歌は世につれ、世は歌につれ」と言うけれど、私たちが口ずさむ歌は時代を反映している。その頃に流行った歌を聴くと、当時が懐かしく思い出される。昨日、急に「千住明の30周年個展コンサートのチケットがあるのですが、行ってもらえませんか」と声をかけてもらった。

 千住明氏といえば、作曲家である。その30周年記念コンサートなるものがいかがなものか見てみたい、そんな思いもあって出かけた。ゲストに米米クラブの石井竜也さんと大貫妙子さんを迎え、県芸術劇場大ホールで行うものだった。中に入ると異常なほど背広姿が多いし、高校生と思われる人たちもいる。企業がチケットを買って動員したのだろう。

 前半は千住明さんが作曲したテレビドラマや映画の曲を、千住さんの指揮でセントラル愛知交響楽団が演奏した。後半はゲストのふたりが、そしてさらに何百人かの混声合唱団も参加して歌った。その規模の大きさや組み立てに驚かされたけれど、私にはしっくりくるものがなかった。千住さんがファンサービスとしてマイクを握りたくさん話してくれたことが、逆に鬱陶しくさえ思われた。

 今日の大和塾の市民講座は『流行歌とともに歩んで』。芸能事務所で流行歌を作ってきた塩崎喬氏が歌が生まれたエピソードを話し、その原盤を聴かせてくれた。作詞家のなかにし礼氏は「歌謡曲は文学」と言ったそうだけれど、塩崎氏が一番大切にしてきたものも「歌詞」で、納得いくまで書き直してもらったと言う。言葉が持つ不思議な力を敏感に感じ取っていたのだ。「だから、歌詞を大事に歌うことがカラオケの秘訣」と話す。

 昨夜の千住氏のコンサートがしっくりこなかったのは、歌謡曲ではないから言葉がない。後半の曲は歌詞を歌い上げたものだが、言葉が聞き取りにくいというか、やはり慣れていないことに原因がある。千住氏は「作曲が面白い」と語った。どこにどの楽器でどんな風に組み立てるか、その出来上がりが面白くて仕方ないのだろう。交響曲でも自然と覚えてしまうものもある。生意気な言い方で申し訳ないが、それにはもう少し時間が必要な気がする。

コメント
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