友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

雑誌『宝島』が休刊

2015年09月07日 18時38分57秒 | Weblog

 書店で宝島『休刊号』を見つけた。「1974年の創刊から41年間、多くのみなさまにご愛読いただきありがとうございました」が表紙になっている。ご愛読者ではないけれど、王道をいく『中央公論』や『文芸春秋』とは違って、エロ・グロ・ナンセンスを基調とする反骨な雑誌だったので、2度か3度買い求めたことがある。中学からの友だちも言うけれど、どういうわけか雑誌なのだから図書館で読めばいいのに、つい買ってしまう。

 休刊号が何を取り上げているのだろうと興味がわき、中身も見ずにレジに並んだ。王道をいく雑誌の方がはるかに影響力は高いだろうが、下品な暴露本もあった方がいいと私は思っている。「エロ本は追放すべき」と正義感と潔癖症な人たちは主張するけれど、人間には裏表がある。表も裏も見て判断できる人の方が私は好きだ。

 シリアからギリシアに渡ろうとした船が転覆し、溺死した4歳の男の子の写真がヨーロッパの世論を動かしているという。バレーボールや野球の試合に一喜一憂するけれど、幼い命を奪った現実にも涙してしまう。

 NHKドラマ『花燃ゆ』がつまらないと何度か書いたが、人間の内側に迫るものがいつまで経っても出てこない。NHKは明治維新をどのように描きたいのだろう。福山雅治さんの『龍馬伝』も、綾瀬はるかさんの『八重の桜』も、江戸から明治へと変わる激動がなぜ生まれたのかよく分からない。「新しい日本」という言葉は出てきたが、その姿は何も見えてこなかった。

 『花燃ゆ』の吉田松陰は周りの人たちに「こころざし」を求めるばかりで、人が生きる苦悩も重みも知ろうとしない。松陰の「こころざし」とは幕府の役職を暗殺することばかりだ。テロを要求しているが、なぜかが存在しない。「攘夷」と叫んでいたにも関わらず、政権を握ると欧州化に邁進する。「尊皇」と言いながら、これまでの武家政治と同じように天皇を利用している。

 人間は残念ながら完璧ではない。間違ったこともするし、欲張りでもあるし、裏もある。正義や大義あるいは王道しか見ないと、欲深でいいかげんで秘密のある裏が見えなくなってしまう。表のキレイな面だけでいいという人を非難する気はないが、負の部分があること、それを無いものにしてしまうことには反対だ。

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