NHKテレビの朝のドラマ『半分、青い』が終わった。主人公の鈴愛の突拍子もない言動の面白さや恋愛の行方で、女性たちの人気は高かった。私たちのような高齢の男性は、「どこがいいのか分からん」と言い放ち、「主人公役の女優は美人でもなく、どこにでもいる」と評価が低い。最近のNHKテレビは大河ドラマ『西郷どん』もそうだけれど、明るくひょうきんで嫌味や悪さがない。
NHKテレビからシリアスな社会性に富んだ重厚なドラマが消えた。常識的で道徳的、誰からも非難されないテレビ作りに徹している。自民党議員から「偏向」と非難され、こんなにも自主的に「改編」してしまうと、「やっぱり偏っていた」と印象つけられてしまう。今日は台風24号の接近で、朝からズーと台風情報を流している。私が好きな『のど自慢』も無くなった。もちろん、国営放送なのだから台風情報を詳しく伝える使命があるから、決して文句を言う気はない。
最近、観たいテレビ番組が少なくて、歌番組ばかり見ている。晩御飯が終わるとカミさんは食卓で眠り込んでしまうので、昨夜も、何かいいものはないかと番組表を見ると、BS朝日で『帰ってきたヒットラー』という映画のタイトルが目についた。映画はこれまた死んだはずのヒットラーが2000年代の現在に蘇るという阿保くさいものだった。蘇ったヒットラーは当然だが、昔のままなので、この世の中を何とかしなくてはと人々を捕まえて喋り捲る。おかしな言動のヒットラーに目を付けたテレビ局が視聴率アップのために利用する。
ヒットラーは真面目に取り組むが、新ナチ党や移民排撃の極右団体からも邪険にされてしまう。ヒットラーは国民の不満や不安を捕らえて選挙で政権を握ったが、今のドイツも同じように不安や不満が溢れていることから、どう解決していくかを問う映画になっている。映画は2015年にドイツで制作されものだから、ドイツのジャーナリズムも「国民がヒットラーを選んだ」ことにメスを入れようとしていることが分かる。トランプ大統領の「アメリカ ファースト」に対する現代の課題でもある。