小3の孫娘はなんとなく不機嫌だった。病院務めのママが、大学へ研修に出かけているので時々遅くなることがある。社会人の姉は母親と同じ看護師となり家を出たので、それも小3の孫娘にとっては寂しいのだろう。共働きの家庭なので、授業後は学童保育に行っている。学年を超えた多くの友だちと遊ぶことが出来て楽しそうだ。
「4年生になったら、家の鍵を持たせてもらえる」と言う。そうか、4年生から学童保育はなくなるのか。どうするのだろうと思ったら、「家に帰って、ママが帰るのを待つの」と、何か得意そうだ。「4年生になると電車もひとりで乗れるの。だから友だちと映画を見に行くんだ」と、もう4年生になったつもりで計画している。
「仙台のいとこのところへも行けるの?」と聞くと、「それは無理。新幹線は子ども一人では乗せてもらえない」と言う。「東京で乗り換えなくてはならないし、仙台に着いてもまた電車に乗らないと行けないから、まだ、無理かな。パパちゃんは4年生の時、パパちゃんのお母さんの実家まで、バスに乗り、次に汽車に乗り、それからまた電車に乗り、そしてまたバスに乗ってひとりで行ったよ」と言うと、「大きいおばあさんの家は遠いねえ」と言う。
知多半島だからそんなに遠くないが、乗り換えが多いからそう思ったのだろう。母に連れられて何度か行くうちに、行き方を覚えた。私が「ひとりで行く」と言っても、母は何も言わなかった。ひとりで勝手に遊ぶ子で、ひとりで映画館にも行ったし、子どもの自転車で姉のダンナの実家と言われていた碧南まで行ったこともある。
小3の孫娘は、ひとり遊びが出来る。布を切って糸で縫い、ビー玉を接着剤で留め、人形のドレスを作ったりするのが好きだ。「デザイナーになる」と言うのは、子どもの夢と言うより、彼女自身の夢なのかも知れない。まだまだ、きれいな仕上がりではないけれど、夢中になっている時は、不機嫌さも吹っ飛んでいるように見える。