午前中は用事があって出来なかったので、昼食を取るとすぐにルーフバルコニーへ出て作業を始めた。休憩もせず、トイレにも行かず、ひたすらバラの植え替えに専念した。花粉が多いという予報どおり、しばらくすると目が痒くて涙が流れてくる。顔はタオルでしっかりガードしていたから、クシャミに襲われることは無かった。
午後は大変暖かくて、作業していると汗ばんで来る。マンションの桜の蕾も少し膨らんできたような気がする。宴の呼びかけ人を務める先輩が早速、30日に行う「五条川桜の宴」の案内文の原稿を持って来た。達筆で読めない文字もあり、私流にアレンジして印刷した。そうか、もう「桜の宴」の時期が近いのか、時の流れが早く感じる。
昨日の夕方、高校の新聞部からの友だちから電話があった。今は桑名に住んでいる同じ新聞部の友だちの「カミさんから連絡があった」と言う。桑名の友だちは今もなお、工場の送迎バスを運転している。その彼が昼休みに倒れ、救急車で病院に運ばれた。クモ膜下出血らしい。今は話しもできるし、手足も異常はないようだが、しばらく入院することになった。「すぐ退院できるならそれでいいし、見舞いが出来るなら行くか」という電話である。
「慌てったってしょうがない」と言う。高校の時から物事を合理的に考えるタイプで、情緒が無いように見えるが、結構情熱的な面もあって、涙もろい人情家でもあった。高校時代の恋愛は成就しなかったが、大学でちゃんといい人を見つけていた。息子は早稲田大学へ進学し、演劇の道に進んでしまったが、「あいつはあいつの道を行けばいい」と寛容だ。
「僕らもいつ何時、お迎えが来るか分からん歳になってしまったな」と言うと、「そんなものさ。死ぬまでは生きる」と大して気にしていない。面倒見がいいから、困った人がいればすぐ何とかしたくなる。とても死ぬことなど考える余裕はないだろう。