前回のワシントン条約締約国会議の話題の続きです。モナコ案否決の決め手となったアフリカ諸国の動向の裏には、資源外交などでアフリカに資金をばらまく中国が暗躍したらしいと書きましたが、実は中国はそれほど熱心ではなかったと言う声も聞かれます。実際に今回のワシントン条約締約国会議の委員会レベルでは、中国が関心を寄せるフカヒレの一部(ニシネズミザメ)の輸出規制案が可決されました(最終的に全体会合では否決されましたが)。
JICAの知人によると、アフリカにおける中国の資源外交はエゲツナイらしい。中国のアフリカへの投資は、中国企業を採用することが条件という「ひも付き」の融資がほとんどで、地元企業へ利益が落ちない上、中国から建設現場労働者を大勢連れてくるケースも多く、地元の雇用に繋がらないため、地元との間にはさまざまな摩擦やあつれきが生じているのだそうです。最近、中国外相は、アフリカの資源を、鉄道・橋などのインフラ建設に変え、アフリカの経済発展に大いに貢献していると、ことさらに自画自賛しましたし、11月に開催された中国・アフリカ協力フォーラム・閣僚級会議で、温家宝首相はアフリカ向けに約100億ドルもの低利融資を実施する意向を表明し、アフリカ各国の教育・医療向上や雇用など、アフリカの人々の生活向上を重視する姿勢をアピールしました。しかしこれらは、欧米をはじめとする、なりふり構わぬ手段で資源獲得に走る中国への批判を、かわすためだったという見方が専らです。こうした批判の声はアフリカ内部からも上がっており、アフリカ連合・現議長国リビア外相は、さる雑誌とのインタビューで、中国の経済進出について、かつて英仏など列強に資源を奪われ、列強の製品の市場となったアフリカ大陸における過去の植民地主義を想起させるものだと痛烈に批判しました。
まさに絵に描いたような資源確保に中国が成功した典型例がスーダンです。約200万人が死亡したと言われる内戦が2005年に終結した同国は、かつてイラクのフセイン旧政権と軍事協力を進めたほか、ウサマ・ビンラーディン容疑者もアフガニスタンに渡る前の91年から96年まで同国に庇護されていたこともあって、米国は今なおスーダンをテロ支援国家に指定し、経済制裁を科しています。こうしたテロ組織支援や人権抑圧を理由に国際社会が投資を続々と引き揚げたスキに、同国の石油利権を獲得したのが中国でした。実際、スーダンの2008年の石油輸出額は輸出全体の95%を占め、その75%を買い支えているのが中国なのだそうです。それとともに、マーケットにも自動車以外は中国製品だらけの状況で、スーダンの野党指導者からも、市場が1つの国家に支配されるのは好ましくないと警鐘を鳴らす始末です。次に資源を求めて膨張する中国の新たな標的がアフガニスタンだそうです。
こうした問題国だけでなく、中国による資源外交攻勢は、中・南米ではチリ、ペルー、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、キューバ、東南アジア・太平洋地域はオーストラリア、パプアニューギニア、インドネシア、ベトナム、北朝鮮、中央アジアではカザフスタン、モンゴルといったところにまで及びます。資源を確保するやり方は、どこもみな同じようなパターンだそうです。
随分、横道に逸れてしまいました。初めの話題に戻ります。今回のワシントン条約締約国会議における中国の自制は、アフリカ諸国(とりわけ否決をリードしたリビア)や中南米諸国からの中国に対する風当たりが強いことと無関係ではなかったのかも知れないということを言いたかっただけです。中国だけでなく、かつての旧宗主国ヨーロッパと比べて情報網が乏しく、地理的に離れているハンディを抱える日本は、アフリカは遠い存在ですが、漁業というビジネスにおいては辛うじて繋がっているようです。
あらためて、昨日からの繰り返しになりますが、食文化は最大限尊重されるべきですが、海洋資源を食い尽くすようなことがあるとすれば、行き過ぎと言うべきです。私が子供の頃には、今ほど回転寿司は一般的ではなく、マグロは赤身であってもそうそう子供が口に出来る食べ物ではなかったと思います。
アカデミー賞を獲得した「The Cove」は、和歌山県太地町の伝統的なイルカ漁を隠し撮りし、動物虐待を訴えたものでしたが、全ての日本人がイルカを食しているかのような誤解を招くとしたら心外です。因みにイルカ肉には馴染みがありませんが、味は鯨に似ているらしい。その鯨についても、先日、調査捕鯨船に侵入したとしてシーシェパード船長が逮捕されたように、自然保護の考え方が先鋭化すると容易に文化摩擦に至りかねないことは理解しなければなりませんし、イルカや鯨への矛先がマグロにも向かいかねないことは警戒しなければならないと思います。
JICAの知人によると、アフリカにおける中国の資源外交はエゲツナイらしい。中国のアフリカへの投資は、中国企業を採用することが条件という「ひも付き」の融資がほとんどで、地元企業へ利益が落ちない上、中国から建設現場労働者を大勢連れてくるケースも多く、地元の雇用に繋がらないため、地元との間にはさまざまな摩擦やあつれきが生じているのだそうです。最近、中国外相は、アフリカの資源を、鉄道・橋などのインフラ建設に変え、アフリカの経済発展に大いに貢献していると、ことさらに自画自賛しましたし、11月に開催された中国・アフリカ協力フォーラム・閣僚級会議で、温家宝首相はアフリカ向けに約100億ドルもの低利融資を実施する意向を表明し、アフリカ各国の教育・医療向上や雇用など、アフリカの人々の生活向上を重視する姿勢をアピールしました。しかしこれらは、欧米をはじめとする、なりふり構わぬ手段で資源獲得に走る中国への批判を、かわすためだったという見方が専らです。こうした批判の声はアフリカ内部からも上がっており、アフリカ連合・現議長国リビア外相は、さる雑誌とのインタビューで、中国の経済進出について、かつて英仏など列強に資源を奪われ、列強の製品の市場となったアフリカ大陸における過去の植民地主義を想起させるものだと痛烈に批判しました。
まさに絵に描いたような資源確保に中国が成功した典型例がスーダンです。約200万人が死亡したと言われる内戦が2005年に終結した同国は、かつてイラクのフセイン旧政権と軍事協力を進めたほか、ウサマ・ビンラーディン容疑者もアフガニスタンに渡る前の91年から96年まで同国に庇護されていたこともあって、米国は今なおスーダンをテロ支援国家に指定し、経済制裁を科しています。こうしたテロ組織支援や人権抑圧を理由に国際社会が投資を続々と引き揚げたスキに、同国の石油利権を獲得したのが中国でした。実際、スーダンの2008年の石油輸出額は輸出全体の95%を占め、その75%を買い支えているのが中国なのだそうです。それとともに、マーケットにも自動車以外は中国製品だらけの状況で、スーダンの野党指導者からも、市場が1つの国家に支配されるのは好ましくないと警鐘を鳴らす始末です。次に資源を求めて膨張する中国の新たな標的がアフガニスタンだそうです。
こうした問題国だけでなく、中国による資源外交攻勢は、中・南米ではチリ、ペルー、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、キューバ、東南アジア・太平洋地域はオーストラリア、パプアニューギニア、インドネシア、ベトナム、北朝鮮、中央アジアではカザフスタン、モンゴルといったところにまで及びます。資源を確保するやり方は、どこもみな同じようなパターンだそうです。
随分、横道に逸れてしまいました。初めの話題に戻ります。今回のワシントン条約締約国会議における中国の自制は、アフリカ諸国(とりわけ否決をリードしたリビア)や中南米諸国からの中国に対する風当たりが強いことと無関係ではなかったのかも知れないということを言いたかっただけです。中国だけでなく、かつての旧宗主国ヨーロッパと比べて情報網が乏しく、地理的に離れているハンディを抱える日本は、アフリカは遠い存在ですが、漁業というビジネスにおいては辛うじて繋がっているようです。
あらためて、昨日からの繰り返しになりますが、食文化は最大限尊重されるべきですが、海洋資源を食い尽くすようなことがあるとすれば、行き過ぎと言うべきです。私が子供の頃には、今ほど回転寿司は一般的ではなく、マグロは赤身であってもそうそう子供が口に出来る食べ物ではなかったと思います。
アカデミー賞を獲得した「The Cove」は、和歌山県太地町の伝統的なイルカ漁を隠し撮りし、動物虐待を訴えたものでしたが、全ての日本人がイルカを食しているかのような誤解を招くとしたら心外です。因みにイルカ肉には馴染みがありませんが、味は鯨に似ているらしい。その鯨についても、先日、調査捕鯨船に侵入したとしてシーシェパード船長が逮捕されたように、自然保護の考え方が先鋭化すると容易に文化摩擦に至りかねないことは理解しなければなりませんし、イルカや鯨への矛先がマグロにも向かいかねないことは警戒しなければならないと思います。