風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

風が吹けば・・・

2011-01-17 23:48:51 | 時事放談
 オーストラリア北東部クイーンズランド州で、昨年末来、洪水被害が伝えられています。12月23~25日の三日間だけで12月の月間雨量平年値を上回ったそうで、2010年の降水量は1900年の統計開始以来三番目の多さで、「ラニーニャ現象」が原因とされています。
 エルニーニョ現象が、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなるのに対し、ラニーニャ現象は、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続くもので、オーストラリアの豪雨だけでなく、昨夏の日本やロシアの猛暑や、この冬の西日本を中心とした大雪や、インド西部からパキスタンの低温にも影響している可能性があると言われています。
 私がシドニーに滞在していた頃も、クイーンズランド州はモンスーンによってしばしば洪水に見舞われ、ワニが流れて来る恐怖が報じられて、オーストラリアの大自然に驚かされたものでした。今回はそれほどのんびりしていられないようで、洪水による被害額は4000億円以上と推定されています。
 中でも、風が吹けば桶屋が儲かる・・・ではありませんが、オーストラリアの豪雨により、自動車や電機製品の値上げが見込まれています。もともと、今年は中国など新興国の鉄鋼需要の高まりから、鉄鋼生産に必要な原料炭の需給が逼迫する見通しでしたが、世界有数の石炭産出地クイーンズランド州の大雨で、炭坑の多くが浸水による操業停止に陥り、原料炭の供給に懸念が高まり、価格の上昇が避けられない見通しです。鉄鋼各社は、豪州以外の調達先確保に動き出しているようですが、良質の原料炭は豪州に偏在している事情があり、調達先拡大は簡単ではないようです。
 中国がレアアースの輸出規制をしたおかげで、調達先拡大の努力が続けられ、期せずしてリスク分散が図られて来ましたが、鉄や石炭といったレアではない資源も負けず劣らず重要で、日本のような資源小国にとっては積極的な資源外交が望まれます。
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