風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

東京マラソンへの道(7)

2013-02-20 23:44:15 | スポーツ・芸能好き
 今日は、スポーツとテクノロジーの話です。
 以前にもこのブログ(か別のブログ)に書いたことがありますが、身近なスポーツで言えば、テニスのデカ・ラケや、ゴルフのデカ・ヘッドなどの道具から、水泳の水着や、クッション性の高い靴など身に着けるものまで、テクノロジーの進歩のお陰で、運動の確実性を高めたり、スピード(記録)を伸ばしたりすることが可能になっている現実は、自身の経験や伝聞でもよく知られるところです。マラソンで言うと、先ずは靴が随分走りやすいものに進化していることが挙げられます。私が初マラソンに挑戦したのは17年前のことですが、日本から持ち込んだ古い靴は、今、思い出すと地下足袋のようにチャチなもので、足の裏中にマメをつくって難儀したものでした。その後、2年間、アメリカの車社会で殆ど運動らしい運動をしなかったにも係わらず、再びフル・マラソンに挑戦した時、靴を最新のものに変えただけで、見違えるほど足の裏が無傷だったことに驚かされたものでした。かつて男子マラソンの世界最高記録は2時間6分が一つの壁になると予測されたものでしたが、予測の精度に問題があったばかりでなく、テクノロジーの進歩がその壁を突き破るのを助けているのは間違いありません。
 もう一つ、格段の進歩を遂げているテクノロジーと呼んでもいいものとして、サプリメント摂取が挙げられます。
 私は、これまで出来る限り自然体で走ることを心がけて来て、人工物の摂取には抵抗がありましたので、かつてはキビ団子ならぬバナナを腰にぶら下げて走ったものでしたし、ジムでも、バーベルなどのウェイト・トレーニングには見向きもせず、ひたすらマシンの上を走り続けたものでした(実はストレッチは、インナー・マッスルを鍛えるのに有効だと言われますが)。ところが先々週、24キロ走でガス欠になったのをきっかけに、次の24キロ走では、試しに、ある大会で試供品で貰ったエネルギー系ジェルを摂取して走ってみると、無事、ガス欠になることなく乗り切れたことから、俄かにサプリメントへの関心が高まりました。更に追い打ちをかけるように、週末、あるスポーツ用品店に立ち寄って、タイツを買い求めた際、サブ3を自称する店員さんからいろいろ経験談を聞き、マラソン経験者の「これは私もやっています」「いいですよ」の朴訥とした一言にほだされて、ザバスの完走セットや、筋肉の主原料になるBCAAのサプリメントや、井村屋のスポーツ羊羹なるものに、とうとう手を出してしまいました。因みに、マラソン経験者の語る言葉は、どんな広告のキャッチコピーや店頭のマーチャンダイジングよりも強力で、その話を聞きたいがために、スポーツ用品店のリピーターになる可能性すら高まります。
 さて、そのザバスの完走セットというのは、スタート前、20キロ地点・30キロ地点、ゴール直後と、摂取する一連のサプリメントを詰め合わせにしたものです。具体的にどのような考え方に基づくのか説明がありませんので、別のスポーツ・サプリメントの開発に携わっている方(桑原弘樹さん)の解説がスポーツ誌Numberのサイトに載っていましたので紹介します(フル・マラソン挑戦編:http://number.bunshun.jp/articles/-/281457?page=2)。
 先ず前の夜は、炭水化物中心の食事で体内にエネルギー源を満たすことが推奨されています(アメリカでは、パスタ・パーティがよく行われたものです)。レース当日の朝は、炭水化物をエネルギーに変えるのを促す酸素の働きを補助するヘム鉄のサプリメントが良いとされます。スタート直前は、内臓に負担をかけないよう、消化が良いエネルギー系のジェルやドリンク類がお勧めであり、同時に筋肉の主原料であるBCAAも併せて飲むのが良いとされます。レース中は、筋肉の主原料であるBCAAが徐々に減っていくので、10キロ毎に補給するようにし、後半は、レース序盤に補ったエネルギーが副産物として生み出す乳酸への対策を意識して、クエン酸補給へ切り替えるのが良いようです。レースで酷使した身体は、消耗したアミノ酸を補うべく、筋肉の分解を始めているため、レース後は、筋肉の主原料BCAAや、レースで枯渇したエネルギー源、またクエン酸の補給を行なって、ダメージを受けた身体をケアするのが良いとされます。
 結局、ガス欠を感じて身体が動かなくなるのは、人間の身体が無理しないよう、脳がそのように指令を出すからです。そこで、ガス欠を避けるためには、サプリメントで上手にエネルギー補給して、その指令を狂わせればいいわけです。実際、フル・マラソンに4時間も5時間もかける私のような素人は、一食、抜かなければならないため、少なくともその栄養補給を走りながら行わなければなりません。バナナは、腰にぶら下げていると、走る時の揺れで表面が真っ黒けになってしまいますし、バナナよりもジェル・タイプのものは遥かに手軽です。身体的に、ある程度、長距離を走る基盤が出来れば、次に考えるべきは、如何にエネルギーを切らすことなく補給をマネージするかであることは当然のことと言えましょう。
 レースまで残り4日を切りました。私はついに週末の練習だけで、つまり寒い冬の週日の早朝や夜に走り込みをすることなく、本番を迎えることになります。経験したことがない大変なチャレンジですが、今さらジタバタしても始まりません。週末の走り込みの疲れを癒しながら、静かに、当日を待ちます。
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