プロ野球ファンなら、日ハム・ファンでなくとも、つい気になってしまう、清宮幸太郎が実戦デビューした。
最近はテレビを見なくても、その場面だけなら後から動画で見られるのが有難い。二回、二死走者なしの場面で、カウント1-1からの三球目、(その前の投球が内角への変化球だったのにも惑わされることなく)甘く入った外角高め145キロのストレートを、素直にセンター方向に弾き返し、フェンス直撃の二塁打とした。私のような素人目には、さすがだなあ、もっているなあと思わせる鮮やかな一打だった。
しかしプロの目からは、ポイントはむしろ第二打席の初球にあったようだ。元・投手の川上憲伸はあるニュース解説で、良いバッターのポイントとして内角ストレートの打ち方をあげていて、まさにこの第二打席の初球、内角ストレートを、右翼線ファールになったが、左の脇を締めてきれいに打ち返してみせた。投手の岸は、第一打席に二塁打を浴びて「ものすごい打球が飛んでいったので、次からはしっかり投げようと思った」と苦笑いして答えていたが、この第二打席の初球を打ち返されて、あらためてスイッチが入ったのではないかと思う。第二・第三打席とも、チェンジアップで三振に切ってとられた。
とりわけ第三打席は、七回、0-1で1点ビハインド、二死二塁からワイルドピッチで三進して一打同点、本塁打で逆転という試合を左右するかも知れない場面で、空振り三振に終って、本人は余程悔しかったのだろう、片膝をついたまま天を仰いだ。第二打席の初球にファールを打ってからは、球にかすらせてもくれなかった。所謂プロの洗礼である。岸とバッテリーを組んだ嶋は「懐の深さとか非常にいい雰囲気を持っていたので、普通になめてかかったらやられるなとは思った」と語っているが、岸と嶋という日本プロ野球を代表するバッテリーにここまで言わしめたのは、注目新人へのただのハナムケだけではないだろう。ベンチで「あれが日本一のチェンジアップだから」と声をかけられたというが、「一級品のボールを見ることができて良かったです」と本人も認めるように、デビュー戦でこれほどの対決が実現するのは得難いものだし(大谷のデビュー戦も岸だったらしい)、我々ファンにとっても、これこそプロ野球の醍醐味である。
しかしここに来るまでは曲折があった。早実の和泉監督は、「だいぶ痩せて、苦労したみたい」と語っているように、新人合同自主トレで右手親指を痛め、春季キャンプ中に急性胃腸炎となり、オープン戦期間中に限局性腹膜炎と診断されて入院し、開幕一軍入りを逃した。いくら高校生離れしているとは言え、肉体面、精神面、ともにプロの水は甘くなかったということだろう。二軍戦15試合で50打数11安打、打率2割2分ながら、チームトップの4本塁打を放ち、一軍昇格を果たしたのだった。
昨年8月の記事が目に留まった。野村克也氏の右腕としてヤクルト、阪神、楽天でヘッドコーチや二軍監督を務めた松井優典氏は、清宮について、最近、甲子園でホームランが増産されるようになったパワー(筋力アップ)とは違う次元の、技術(の結果)であり、一言でいうと、あれだけ体が前に出ないバッターはなかなかいない、インパクトが柔らかい、前の肩(右肩)が開かない、手本になるような部分が、ちょっと考えただけですぐに三つは出てくると絶賛され、このままプロになれば、強打者ではなく(かつての篠塚和典のような)巧打者になる可能性が高いのではないかと見ておられる。勿論、プロに入って筋トレして、ホームランバッターとしてどこまで成長するのか楽しみだとも言われ、「(プロ出身の)我々とすれば、(高卒で)プロに入ってほしい選手」だと待望されていた。なんと幸せな選手であろう。
実に、次が見たくなる、どんな活躍を見せ実力を備えて行くのか、これからが楽しみな選手だ。
最近はテレビを見なくても、その場面だけなら後から動画で見られるのが有難い。二回、二死走者なしの場面で、カウント1-1からの三球目、(その前の投球が内角への変化球だったのにも惑わされることなく)甘く入った外角高め145キロのストレートを、素直にセンター方向に弾き返し、フェンス直撃の二塁打とした。私のような素人目には、さすがだなあ、もっているなあと思わせる鮮やかな一打だった。
しかしプロの目からは、ポイントはむしろ第二打席の初球にあったようだ。元・投手の川上憲伸はあるニュース解説で、良いバッターのポイントとして内角ストレートの打ち方をあげていて、まさにこの第二打席の初球、内角ストレートを、右翼線ファールになったが、左の脇を締めてきれいに打ち返してみせた。投手の岸は、第一打席に二塁打を浴びて「ものすごい打球が飛んでいったので、次からはしっかり投げようと思った」と苦笑いして答えていたが、この第二打席の初球を打ち返されて、あらためてスイッチが入ったのではないかと思う。第二・第三打席とも、チェンジアップで三振に切ってとられた。
とりわけ第三打席は、七回、0-1で1点ビハインド、二死二塁からワイルドピッチで三進して一打同点、本塁打で逆転という試合を左右するかも知れない場面で、空振り三振に終って、本人は余程悔しかったのだろう、片膝をついたまま天を仰いだ。第二打席の初球にファールを打ってからは、球にかすらせてもくれなかった。所謂プロの洗礼である。岸とバッテリーを組んだ嶋は「懐の深さとか非常にいい雰囲気を持っていたので、普通になめてかかったらやられるなとは思った」と語っているが、岸と嶋という日本プロ野球を代表するバッテリーにここまで言わしめたのは、注目新人へのただのハナムケだけではないだろう。ベンチで「あれが日本一のチェンジアップだから」と声をかけられたというが、「一級品のボールを見ることができて良かったです」と本人も認めるように、デビュー戦でこれほどの対決が実現するのは得難いものだし(大谷のデビュー戦も岸だったらしい)、我々ファンにとっても、これこそプロ野球の醍醐味である。
しかしここに来るまでは曲折があった。早実の和泉監督は、「だいぶ痩せて、苦労したみたい」と語っているように、新人合同自主トレで右手親指を痛め、春季キャンプ中に急性胃腸炎となり、オープン戦期間中に限局性腹膜炎と診断されて入院し、開幕一軍入りを逃した。いくら高校生離れしているとは言え、肉体面、精神面、ともにプロの水は甘くなかったということだろう。二軍戦15試合で50打数11安打、打率2割2分ながら、チームトップの4本塁打を放ち、一軍昇格を果たしたのだった。
昨年8月の記事が目に留まった。野村克也氏の右腕としてヤクルト、阪神、楽天でヘッドコーチや二軍監督を務めた松井優典氏は、清宮について、最近、甲子園でホームランが増産されるようになったパワー(筋力アップ)とは違う次元の、技術(の結果)であり、一言でいうと、あれだけ体が前に出ないバッターはなかなかいない、インパクトが柔らかい、前の肩(右肩)が開かない、手本になるような部分が、ちょっと考えただけですぐに三つは出てくると絶賛され、このままプロになれば、強打者ではなく(かつての篠塚和典のような)巧打者になる可能性が高いのではないかと見ておられる。勿論、プロに入って筋トレして、ホームランバッターとしてどこまで成長するのか楽しみだとも言われ、「(プロ出身の)我々とすれば、(高卒で)プロに入ってほしい選手」だと待望されていた。なんと幸せな選手であろう。
実に、次が見たくなる、どんな活躍を見せ実力を備えて行くのか、これからが楽しみな選手だ。