トランプ大統領が6月12日に予定されていた米朝首脳会談を中止すると通告した余波に揺れている。
ディールにやたらと自信をもつ一介のセールスマンが国際政治場裏を引っ掻き回すという「トランプ劇場」を見慣れた私たちは、多少のことには驚かなくなったが、このトランプ大統領の通告には、ビッグ・イベント実現を誰もが固唾を呑んで見守ってきただけに、落胆は隠せず、またやっちゃったかあ・・・と久しぶりに動揺したものだ(まあ、さざ波程度だけど)。しかもタイミングが秀逸だった。北朝鮮の金正恩委員長が「いかなる核実験も必要なくなった。核実験場も使命を終えた」宣言を実行するかのように、証人として一部の外国メディアを呼んで、豊渓里の核実験場を爆破して見せた直後を捉えたもので、この爆破については一部に6月12日に向けた北朝鮮の環境整備と評価する声もあるが、トランプ大統領は当てつけのように、ただの茶番と歯牙にもかけなかったわけだ。
しかしこの通告以上に驚かされたのは、その後の北朝鮮の反応である。金桂寛第一外務次官は、この通告を「極めて遺憾」と表明し、「我々はいつでも、如何なる方法でも対座して問題を解決する用意がある」と再考を促す談話を発表したらしい(朝鮮中央通信による・・・とは産経新聞電子版)。金桂寛氏自身や崔善姫外務次官の米政府高官に対する暴言は「一方的な核廃棄を迫る米側の度を超した言動」への反発に過ぎないと釈明し、米朝会談を決めたトランプ氏の「勇断」を「ずっと内心で高く評価してきた」し、米政府が非核化の解決策として言及した「トランプ方式」にも期待感を表明しているという。そして金正恩委員長は「トランプ大統領と会えば、素晴らしい始まりを踏み出せる」と話し、会談準備に「全ての努力を傾けてきた」と強調し、米朝敵対関係の現実は重大で「関係改善のため、首脳会談がどれほど切実に必要か」を示していると言うのである(このあたりも産経電子版)。思わず本音が漏れてしまった感じだが、金正恩委員長の会談実現に向けた強い意向と言うよりも、金委員長は二人に対して相当怒っているのだろう。そんな舞台裏が透けて見える。崔善姫外務次官あたりは処刑されなければいいと思うが・・・
それでは二人はどんな暴言を吐いたかというと、金桂寛第一外務次官は16日の談話で「一方的核放棄」を迫るとしてボルトン大統領補佐官を「えせ憂国の志士」と罵倒し、崔善姫外務次官はペンス副大統領を「愚鈍な間抜け」とくさし、会談の再考を主張したという(産経電子版)。そして米政府高官の話として、トランプ氏は23日夜、崔善姫外務次官が談話で、米国が会談に応じないのであれば「核戦争」も辞さないと警告してきたと聞かされて、いったん寝床に入ったが、翌朝にはペンス副大統領、ボルトン大統領補佐官、ポンペオ国務長官らを集めて協議した上で、金正恩委員長に会談中止を伝える手紙を作成したことになっている(このあたりも産経電子版)。
もっとも、会談中止の通告は、これら暴言がその一部をなすものの恐らくキッカケに過ぎなくて、北朝鮮が非核化をめぐる「約束」を次々と反故にしてきたことに不信を募らせているのが真相のようだ。最初の「約束破り」は、「北朝鮮が3月に首脳会談を要請してきた際、米韓合同演習に理解を示したにもかかわらず、5月16日に予定されていた南北閣僚級会談を米韓空軍演習に反発する形で当日になって一方的に中止した」ことだという。また、「ポンペオ国務長官が9日に訪朝した際、北朝鮮との間で首脳会談の設営に向けた準備協議で合意したのを受け、ヘイギン大統領首席補佐官代理ら政権チームを先週、シンガポールに派遣したものの、北朝鮮当局者は最後まで現場に現れなかった」という。そして「米政権はこの1週間、北朝鮮の真意を確かめようと何度も連絡を試みたが、反応は皆無だった」という。さらに、「北朝鮮の金正恩委員長は4月の南北首脳会談で、北東部豊渓里の核実験場閉鎖に関し、検証作業ができる専門家を招待すると表明したにもかかわらず、24日の閉鎖式典に呼ばれたのは報道陣だけだった」(このあたりも産経電子版)というわけだ。
誠意を疑わせるに足る事象ではある。昨年末、安倍首相が習近平国家主席に会ったとき、金正恩委員長とはどんな男かと尋ねたところ、「計算高い男だ」と答えたというが、金委員長はどうも策に溺れているような気がする。中国とヨリを戻し、後ろ盾を得た安心感と、中国の入れ知恵を指摘する声もあり、確かにそうした背景はあるだろうが、それ以上に、誰もがこの会談を望んでいるとの観測を(それは事実だが)過信したのではないかと思う。トランプ大統領が、秋の中間選挙を控えて何等かの成果を求めているとは、かねてより報じられて来たところで、非核化(米国に到達するミサイルの開発阻止)を達成できれば一石二鳥だ。韓国の文在寅大統領も、朝鮮戦争を終結させ、仮に統一そのものが直ちに叶わなくても、南北合わせて7600万人の市場が出現し、うまく日本にカネをださせて北の経済を離陸させれば、低迷して不満が渦巻く韓国経済を打開する突破口になり得る。38度線を日本海まで下げて、反日の統一戦線を画策しているかも知れない(苦笑)。中国の習近平国家主席は、朝鮮半島の非核化に乗じて、在韓米軍の最新鋭迎撃システム・高高度防衛ミサイル(THAAD)を撤収させるだけでなく、在韓米軍そのものを撤収できるとすれば勿怪の幸いだ。そして日本も・・・!?。
早速、トランプ大統領はツイッターで「北朝鮮から温かく生産的な声明を受け取った」と評価し、記者団に、「6月12日の開催もあり得る」との見通しを示したというが、ええ加減にしいやぁ~と言いたいところだ。トランプ劇場の面目である。しばし冷静に(突き放して?)見守るしかない。
ディールにやたらと自信をもつ一介のセールスマンが国際政治場裏を引っ掻き回すという「トランプ劇場」を見慣れた私たちは、多少のことには驚かなくなったが、このトランプ大統領の通告には、ビッグ・イベント実現を誰もが固唾を呑んで見守ってきただけに、落胆は隠せず、またやっちゃったかあ・・・と久しぶりに動揺したものだ(まあ、さざ波程度だけど)。しかもタイミングが秀逸だった。北朝鮮の金正恩委員長が「いかなる核実験も必要なくなった。核実験場も使命を終えた」宣言を実行するかのように、証人として一部の外国メディアを呼んで、豊渓里の核実験場を爆破して見せた直後を捉えたもので、この爆破については一部に6月12日に向けた北朝鮮の環境整備と評価する声もあるが、トランプ大統領は当てつけのように、ただの茶番と歯牙にもかけなかったわけだ。
しかしこの通告以上に驚かされたのは、その後の北朝鮮の反応である。金桂寛第一外務次官は、この通告を「極めて遺憾」と表明し、「我々はいつでも、如何なる方法でも対座して問題を解決する用意がある」と再考を促す談話を発表したらしい(朝鮮中央通信による・・・とは産経新聞電子版)。金桂寛氏自身や崔善姫外務次官の米政府高官に対する暴言は「一方的な核廃棄を迫る米側の度を超した言動」への反発に過ぎないと釈明し、米朝会談を決めたトランプ氏の「勇断」を「ずっと内心で高く評価してきた」し、米政府が非核化の解決策として言及した「トランプ方式」にも期待感を表明しているという。そして金正恩委員長は「トランプ大統領と会えば、素晴らしい始まりを踏み出せる」と話し、会談準備に「全ての努力を傾けてきた」と強調し、米朝敵対関係の現実は重大で「関係改善のため、首脳会談がどれほど切実に必要か」を示していると言うのである(このあたりも産経電子版)。思わず本音が漏れてしまった感じだが、金正恩委員長の会談実現に向けた強い意向と言うよりも、金委員長は二人に対して相当怒っているのだろう。そんな舞台裏が透けて見える。崔善姫外務次官あたりは処刑されなければいいと思うが・・・
それでは二人はどんな暴言を吐いたかというと、金桂寛第一外務次官は16日の談話で「一方的核放棄」を迫るとしてボルトン大統領補佐官を「えせ憂国の志士」と罵倒し、崔善姫外務次官はペンス副大統領を「愚鈍な間抜け」とくさし、会談の再考を主張したという(産経電子版)。そして米政府高官の話として、トランプ氏は23日夜、崔善姫外務次官が談話で、米国が会談に応じないのであれば「核戦争」も辞さないと警告してきたと聞かされて、いったん寝床に入ったが、翌朝にはペンス副大統領、ボルトン大統領補佐官、ポンペオ国務長官らを集めて協議した上で、金正恩委員長に会談中止を伝える手紙を作成したことになっている(このあたりも産経電子版)。
もっとも、会談中止の通告は、これら暴言がその一部をなすものの恐らくキッカケに過ぎなくて、北朝鮮が非核化をめぐる「約束」を次々と反故にしてきたことに不信を募らせているのが真相のようだ。最初の「約束破り」は、「北朝鮮が3月に首脳会談を要請してきた際、米韓合同演習に理解を示したにもかかわらず、5月16日に予定されていた南北閣僚級会談を米韓空軍演習に反発する形で当日になって一方的に中止した」ことだという。また、「ポンペオ国務長官が9日に訪朝した際、北朝鮮との間で首脳会談の設営に向けた準備協議で合意したのを受け、ヘイギン大統領首席補佐官代理ら政権チームを先週、シンガポールに派遣したものの、北朝鮮当局者は最後まで現場に現れなかった」という。そして「米政権はこの1週間、北朝鮮の真意を確かめようと何度も連絡を試みたが、反応は皆無だった」という。さらに、「北朝鮮の金正恩委員長は4月の南北首脳会談で、北東部豊渓里の核実験場閉鎖に関し、検証作業ができる専門家を招待すると表明したにもかかわらず、24日の閉鎖式典に呼ばれたのは報道陣だけだった」(このあたりも産経電子版)というわけだ。
誠意を疑わせるに足る事象ではある。昨年末、安倍首相が習近平国家主席に会ったとき、金正恩委員長とはどんな男かと尋ねたところ、「計算高い男だ」と答えたというが、金委員長はどうも策に溺れているような気がする。中国とヨリを戻し、後ろ盾を得た安心感と、中国の入れ知恵を指摘する声もあり、確かにそうした背景はあるだろうが、それ以上に、誰もがこの会談を望んでいるとの観測を(それは事実だが)過信したのではないかと思う。トランプ大統領が、秋の中間選挙を控えて何等かの成果を求めているとは、かねてより報じられて来たところで、非核化(米国に到達するミサイルの開発阻止)を達成できれば一石二鳥だ。韓国の文在寅大統領も、朝鮮戦争を終結させ、仮に統一そのものが直ちに叶わなくても、南北合わせて7600万人の市場が出現し、うまく日本にカネをださせて北の経済を離陸させれば、低迷して不満が渦巻く韓国経済を打開する突破口になり得る。38度線を日本海まで下げて、反日の統一戦線を画策しているかも知れない(苦笑)。中国の習近平国家主席は、朝鮮半島の非核化に乗じて、在韓米軍の最新鋭迎撃システム・高高度防衛ミサイル(THAAD)を撤収させるだけでなく、在韓米軍そのものを撤収できるとすれば勿怪の幸いだ。そして日本も・・・!?。
早速、トランプ大統領はツイッターで「北朝鮮から温かく生産的な声明を受け取った」と評価し、記者団に、「6月12日の開催もあり得る」との見通しを示したというが、ええ加減にしいやぁ~と言いたいところだ。トランプ劇場の面目である。しばし冷静に(突き放して?)見守るしかない。