風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

南北は同じ穴のムジナ?

2018-05-29 23:32:04 | 時事放談
 北朝鮮の非核化を巡る協議が、ぎくしゃくしながらも健在だ。関係する四ヶ国(米、南北朝鮮、中)は所詮は同床異夢だと、以前、ブログに書いたが(そもそも朝鮮戦争以来の北朝鮮に対する現状維持Status Quo政策が、各国の同床異夢の妥協の産物だった)、ひとえに米・朝および仲介役を任じる韓のいずれにとっても米朝首脳会談にメリットを見出しているからだろう(繰り返すが同床異夢であったとしても)。
 前回ブログ以降に発生した事象として・・・トランプ大統領が24日、米朝首脳会談の中止を表明したことに、南北朝鮮は素早く反応し、電撃的な首脳会談を開催して、米朝首脳会談実現への「確固たる意志」を表明し、結束した。韓国の文在寅大統領によると、金正恩氏が25日午後に呼びかけてきたというが、そうではなく、仲介役としての面目を失った韓国側が慌てて働きかけたものと解説する人がいて、私もそう思う(無論、金正恩委員長も渡りに舟だったろう)。まあ、それはどちらでもいいのだが、韓国は実にクセ者で(笑)、さすがの米国も韓国に対して非核化協議に深入りしないよう要請した模様だ。「米朝の仲介役を自任する韓国による過度の介入により、北朝鮮に不適切なメッセージを送り判断を誤らせることを警戒したものとみられる」(産経電子版)と解説されるのも、まさにその通りと思う。以前にも文在寅大統領は、米国から、南北統一に拘り過ぎるなと釘を刺されており、米国のアジェンダとは相容れない“前のめり”な姿勢は危なっかしい。韓国が昨日、日本との間で日韓交流の活性化を目指す「韓日文化・人的交流タスクフォース(作業部会)」を発足させた(そのくせ康京和外相は発足式で「歴史問題は原則通り対応し、両国の人的・文化交流は活性化させねばならない」とぬけぬけと述べて、独善ぶりは相変わらず)ところにも、韓国の苦境が表れている。文在寅大統領にとって民族統一は長年の夢かも知れないが、今は懸案である韓国経済の活性化と将来的な反日統一戦線への期待に目が眩んでいるだけのように見える。
 それにしても、南北朝鮮のドタバタには本音が垣間見えて、事ここに至ればなりふり構っていられないのだろうが、甚だ興味深かった。
 南北会談の後、記者会見で「金委員長の非核化意志が確固たるものと判断する根拠は何か」と問われた文在寅大統領は、「何度も既に説明した」「非核化をどう実現していくかは、米朝が合意する問題だ」と逃げた。「北朝鮮の非核化はCVIDを意味するのか」との別の質問にも「米国も北朝鮮の意志を確認したのではないか」とはぐらかした。彼は仔細に関心がなく、米朝首脳会談ありき、なのだ。なんと“前のめり”な・・・
 注目すべきは、北朝鮮メディア(朝鮮中央通信)が、文在寅大統領の発表前の27日早朝、両首脳は「朝鮮半島の非核化を実現するために共同で努力していく立場を表明した」と報道したことだ。金正恩委員長は「朝米首脳会談への確固たる意志を示した」とも伝えたという(このあたりは産経電子版)。文在寅大統領による南北会談の結果発表は、北朝鮮の要請により、27日に一日遅らせたようだ。独裁国家とは言え、あるいは独裁国家であるが故に、「非核化実現」へのコミットメントと「会談への確固たる意志」を、国外のみならず国内に対しても、韓国に先んじて自らの意思として公表したカタチだ。体裁づくりへの苦労が忍ばれる。
 他方、北朝鮮労働党機関紙・労働新聞は27日、米メディアが「われわれが米国からの『経済的支援』を望んで会談に乗り出したかのように世論をミスリードしている」と不満を示したという(このあたりも産経電子版)。24日の核実験場廃棄でも自国の「主導的な措置」だと強調したように、国内を納得させるためにも、非核化は米国からの見返りが目的ではなく、あくまで自発的な措置だと主張したいようだと、産経電子版は解説する。
 この期に及んでなお・・・と言いたくなってしまう。北朝鮮労働党機関紙・労働新聞は29日、米朝首脳会談に向けた協議が行われる中、米韓合同軍事演習を実施しようとしていると非難し、「会談を真に望むなら相手を力で威嚇する芝居を演じてはならない」と演習中止を要求したという(産経電子版)。言いたい放題である。その神経たるや、私たちの常軌を逸する。
 韓国の夫婦喧嘩は、表通りに出て自らの正当性を訴えるという、夫婦喧嘩など「犬も食わない」と慎み深い日本人には俄かに信じられない恥知らずな光景が日常茶飯事だと聞いたことがある。三星などの大手企業ですらも露骨な足の引っ張り合いが当たり前と聞いたことがある。懲りもしない「悪罵」は、どうやら韓国だけではない、南北共通、朝鮮民族固有のもののようだ。そうと分かりつつ、捨て置けないところがまた悩ましいところではある。
コメント
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