風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

畳の部屋

2009-10-03 02:44:42 | 日々の生活
 今、住んでいる借家には畳の部屋がありません。最初は意外に思いましたが、海外ではずっとフローリング(または絨毯)か、ペナンではタイル張りの生活でしたので、さほど違和感があるわけではありません。シドニーで借りていたマンションのオーナーは、綺麗に使ってくれる日本人のテナントが好みで、現に代々日本人のテナントだったので、靴を脱ぐ日本の生活そのままに、絨毯は汚れが少なく、のびのびと寝転がれたので、畳の生活と大差ないほどでした。しかし振り返ると日本で畳のない生活は初めてのことです。
 帰国後の家探しで、50件以上の図面を見ましたが、分譲マンションで賃貸に出されている場合は、なるほどオーナー次第でバラエティがありますが、賃貸用マンションは、およそ3LDKにせよ4LDKにせよ先ず例外なしにその内の一部屋は和室になっていました。現代にあっても少しだけ日本らしさを残すところが、日本人の面目でしょうか。
 ところが、先日、曽野綾子さんのエッセイを読んで、なるほどと感心したことがあります。足を怪我されて以来、畳の生活が辛くて、ホテルなら自宅にいるように休めるのですが、和風旅館には泊まれないと言われます。日本の旅館業は、高齢化に向かって、一刻も早く椅子とベッドに変えないと経営に乗り遅れるのではないかとさえ言われます。畳の部屋が恋しい私とは違う視点が、なんと年配の方にあるのが新鮮で、いわば目から鱗でした。
 少子高齢化で、明らかに消費性向は変わるでしょうが、高齢化が日本の伝統を変える方向に働くとは思ってもみませんでした。畳の匂いや肌触りは、懐かしさと相俟って、私には、やはり一部屋は残しておきたい伝統です。
 上の写真は、ペナンのマンション。だだっ広いタイル張りのリビングは、ペナンの気候に適応しようとするものです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本航空 | トップ | 公証人 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々の生活」カテゴリの最新記事