風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

日本らしさ

2009-09-03 00:53:09 | 日々の生活
 久しぶりに日本(東京)に戻って来て気がついたことをつらつら描いてみたいと思います。
 先ず、人が多い。これは人口密度が高い意味で、もっと正確に言うと個体間距離が極めて近いということです。かつてアメリカ人の知人は東京のことをtoo crowdedと言って眉をひそめたものでしたが、駅や電車内が混んでいるのはもとより、オフィス・ビルに飲み込まれて行く人の波に、我が社のことながらあらためて唖然としてしたら、確かに日本のオフィスは混んでいます。慣れていたはずの手狭な日本のオフィスは、ゆったりとした欧米のオフィスと対照的に、間近に同僚がうようよして、電話の話し声もパソコンの画面もあからさまに耳や目に飛び込んで来るのが、何とも気恥ずかしく感じてしまいます。そして街がここまで混むということは、東京では公共交通機関を使うしかなく、しかも通勤時間に片道1時間以上かけるわけですから、東京の過密度は尋常ではありません。そんな過密な中で過ごす日本人を見ると、外国人の目にはさぞ辛抱強いと映ることでしょう。
 そして、よく歩かされますし、立たされます。靴や靴下が磨り減るのが早いですし、戻ってきた当初は腰痛に悩まされました。海外にいた頃は、マンションの地下駐車場から車に乗って、会社の地下駐車場に到着するので、雨の日でも傘のことを考える必要はありませんでしたし、ほとんど風を感じることすらないほどでした。日本ではとりわけ梅雨時や台風シーズンに、足元を濡らしながら、また汗まみれになりながら、駅に向かう時間がなんとも辛い。その分、日本人は足腰が鍛えられますので、欧米人のようにWork-outする必要はありませんが(もっとも通勤時間がかかるので、Work-outの時間もない)、外国人の目には辛抱強いと映ることでしょう。
 また、日本の夏は格別です。一年前まで、ほぼ赤道直下のペナン島で暮らしましたが、島の生活のせいか、日中の炎天下はともかくとして、木陰に入ると存外凌ぎやすい。その後シドニーに引越しましたが、アメリカと同じ大陸性の乾いた、あるいは港町にありがちの夏は涼しく冬は温暖な暮らしやすさがあります。それに引き換え日本の夏は、とにかくじと~っと蒸し暑い。実は日本の四季折々の美しさもまた格別なのですが、それは稿を改めるとして、地震や台風に見舞われる日本の、それぞれの季節には厳しいものがあります。そんな気候を住みなす日本人は、よほど辛抱強いと言えましょう。
 なんだかマイナスのイメージばかりですが、しかし上に挙げたことは全て慣れてしまえばそれまでで、いつの間にか意識することはなくなっています。そんな無意識にストレスを受けているかも知れない日本人が自らを解放する瞬間があります。それは、日本ではどこで何を食べても美味しいということです。素材の味を生かして、ほんのりダシをきかせた惣菜の数々や、キリッと冷やした吟醸酒は、何ものにも代え難い。味覚は文化そのものですね。日本人であることを実感し感謝する瞬間です(もっともこの有り難味も、慣れてしまえばそれまでで、いつの間にか意識することはなくなってしまいますが)。
 上の写真は、多摩センターの、季節外れの乞田川。
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