風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

今年の巨人

2014-09-27 19:58:07 | スポーツ・芸能好き
 昨日、巨人が、球団創設80周年の節目のシーズンに、7試合を残してリーグ優勝を決めました。物心ついた頃にはONがいて、惰性で巨人ファンを続けていますので、嬉しいには違いないのですが、腑に落ちない・・・と言うのは変ですが、振り返ると、主力選手が不振で投打がかみ合わず、シーズン中に二度もコーチの配置転換が行なわれるなど、危機的なチーム状況に陥りながら、接戦や延長戦をなんとかものにし、なんとなく勝ちを続けたシーズンでした。このあたりを数字で追ってみます。
 なにしろ規定打数に達した3割バッターがおらず、昨晩の時点で、リーグ打率13位の長野は0.297、坂本は17位の0.278、村田は25位の0.252、阿部は27位の0.246という体たらくで、チーム打率はリーグ最下位の0.256でした。防御率こそリーグトップ2.36の菅野を擁し、チームでも辛うじてトップの3.62を誇りますが、上位5チームで大差があるわけではありません。シーズンを通して活躍したのは一時離脱した菅野くらいで、杉内はぴりっとせず、内海や澤村は9月になってようやく復帰し、救援陣も守護神と呼べるような選手がおらず不安定で、救援陣の防御率は4.08と、昨年の2.57を大きく下回りました。
 このあたりをリーグ5位の中日と比べると、今年の巨人の数字には表れない「勝負強さ」の不思議を思わざるを得ません。打率は巨人0.256に対して中日0.257、防御率は巨人3.62に対して中日3.72、それで巨人79勝57敗に対して中日64勝73敗と、15.5ゲームもの差がついてしまいました。ひとつには、同じ打率でも、巨人の本塁打137に対して中日84、巨人の盗塁98(成功率はリーグトップの79%)に対して中日74と、得点力に差がありましたし、巨人はチャンスで連打し得点を稼ぐシーンもよくあったように思います。また、平均打率は変わらなくても、調子が良い選手をとっかえひっかえ使いまわしながら、なんとか勝ちを拾って行く采配の違い、あるいはそのベースとなる選手層の厚さの違いがあったことをも思わせます。実際、今年は不動の4番がおらず、阿部(52試合)、村田(44試合)、セペダ(18試合)、アンダーソン(14試合)、長野(6試合)、高橋由(2試合)、ロペス(1試合)と7人もの選手が入れ替わり務めましたし、先発オーダーは137試合で106通りに達して「猫の目打線」と評した人もいました。山崎武司氏は、原監督が「打線が”線”としてつながるように常々考えていた」と評価し、「選手の立場を考えると、厳しい采配だったと思う」とも語っています。
 去年のような絶対的な強さがなく、今年の戦いぶりには「巨人らしさがない」という人もいるのですが、中日一筋16年、今年、一転して巨人に転入した井端弘和選手が、巨人というチームに所属した印象を次のように語っていて、私が子供心に好ましく思った40年来の巨人らしさが期せずして感じられるのが、なんとも不思議ですが嬉しくもありました。

(引用)
 巨人を倒すために野球をやってきた僕が、中に入って改めて感じたのは「巨人は大事な試合で必ず勝つ」ということです。意外にも、一喜一憂せず打ってもロッカーに帰れば冷静になる。負けてもすぐに「明日また頑張ろう」と切り替わる。「1年間同じ気持ちで戦える、大人のチームだな」と感じました。
 ことしは特に接戦に強かった印象があります。交流戦では金子(オリックス)や則本(楽天)に苦しめられたけど、耐えて、しのいで、ワンチャンスをものにした。あのころから「接戦に持ち込めば勝てるんじゃないか」というのがチームに浸透したように思います。今ではむしろ、接戦を楽しんでいるイメージすらあります。
(引用おわり)

 日本シリーズ最終戦で敗れた昨年の無念を晴らし、今年は、交流戦とペナントレースに続き、クライマックスシリーズと日本シリーズにも勝って完全優勝を遂げて欲しいと、小学生の野球少年の心のままの私は念じております。
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