緊急事態宣言が解除されて久しいが、私自身は今なお在宅勤務が続いている。当初は、パンデミックに対する「不安」から、情緒不安定になりながらも、半ば強制的な在宅勤務の生活に慣れようと努力して来た。しかし今、振り返ると、それは「ニュー・ノーマル」の序章に過ぎなかったように思う。変化が乏しいと時間が経つのが速く感じるという心理学の教え通り、怒涛の四ヶ月が過ぎ、コロナ禍が落ち着きを見せると、次第に「不安」は薄れ、一種の慣れが生じるのはヒトの性(サガ)なのだろう。そこへ別の新たな感情が芽生えるようになった。運動不足解消のため平日毎夕の散歩は欠かさないようにしているが、基本的に街をぶらついたり駅や通勤電車内で人々を観察したりする機会が殆どない、言わば軟禁状態に近いことがたまらなく窮屈で、この「閉塞感」をどうしたものかと持て余している。ヒトは社会的動物なのだとあらためて感じてしまう、「ニュー・ノーマル」の第二幕であり、新たな試練だ。
ちょっと自嘲気味に言うならば、「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~」と、植木等さんが「スーダラ節」とともに呟いてから60年近くになり、まだその残影が残る30数年前に社会に出ることになった私は、とりあえず周囲に流されて民間企業への就職を選び、バブル経済を経て、日本経済が低迷し、一部の企業は構造改革やリストラという名の人員・経費削減を繰り返すほどに落ちぶれて、かつての高度成長期のお気楽さが羨ましくも恨めしくもある昨今ではあったが、パンデミックになって、あらためてサラリーマンは安定していて有難いものだと、しみじみ思う。人によってはこの生活を贅沢だとすら思うだろう。かつて課税の根拠となる所得の捕捉に関して、クロヨン(9:6:4)とかトーゴ―サンピン(10:5:3:1)などと呼ばれて、サラリーマンは自営業者や農林水産業者(さらに後者の場合は政治家も)と比べてガラス張りで不公平だと不満を託ったものだが、所得そのものは、ここ20年来、(昇進は別にして)増えている実感がないが(苦笑)、リーマンショックや東日本大震災などの自然災害や今回のパンデミックに見舞われても、業績連動のボーナスはともかく、月々の給与は安定して支給されている。サラリーマンを選んだのは、そしてその後も脱サラしなかったのは、好きなことをやって生きて行けるほど世の中は甘くないと思う現実感覚と言うより諦めが先に立ったからであり、好きなことをやって稼ぐほどの自信も野心もなく、失敗するリスクを冒すくらいなら、たとえ低空飛行でも安定した生活を良しとする小市民的な安定志向のあらわれに外ならない(と自嘲)。自営業のようなハイリスク・ハイリターンとは違って、サラリーマンにはローリスク・ローリターンが保証されていることの幸せをあらためて実感するのだ。
冒頭、コロナ禍は落ち着きを見せて来たと言ったものの、ここ一ヶ月の間に再び感染者数(正確にはPCR検査の陽性反応者数)が増え始め、22日の政府分科会は「爆発的な感染拡大には至っていないが、徐々に拡大している」と評価した。話題性を求めるメディアは、相も変わらず感染者数ばかりに注目し、第二波が懸念される事態だと危機感を煽るのは、政府の不手際として政権批判に繋げたいからか、社会の分断を際立たせたいのかと疑ってしまう(笑)。実態は、検査数も増え、重症者数や死亡者数は抑えられており、何より検査方針が変わってしまったのだから、所謂第一波と単純に比べるわけにはいかなくて、メディアはもう少し意味があるデータの出し方を工夫して欲しいものだと思う。
そこでまた厚労省が毎日発表するデータを週毎に集計してみた(下記データ及び添付グラフ)。感染者は理論的には指数関数的に増えそうなものだが、そこまで増えていないという意味では、まだ抑えられていると言ってもよいのだろう。「入院治療を要する者」(陽性反応者数に連動)は7週間マイナスを続けていたが(Netベース=Input-Output)、6月第3週(6/21~27)からプラスに転じた。そこから若干のタイムラグがあって「重症者数」は同様にNetベースで10週間マイナスを続けた後、7月第2週(7/12~18)からプラスに転じた。更にタイムラグがあって死亡者数は4週間ぶりに先週(7/19~25)は二桁台に乗せた。ここで言えることは、今回は感染者の多くが若者と言われるためか、重症者の増え方が前回に比べて鈍く、医療施設はまだ余裕があるレベルだと思われることだ。ただ、その間、連休明けから1%台に落ちていた陽性率(=陽性反応者数÷検査人数)が、6月第2週(6/14~20)に1%を切ったのを底に、先週は6%近くまで上昇しているのが気になる(ちょうど3月の3連休後の頃のレベル)。検査方針が変わったので単純比較は出来ないし、所詮はPCR検査なので、精度のほかにも、事の性質上、陽性反応を示しただけで実際に感染した状況と言えるのかどうか厳密には不明であるが、4日間37.5度以上という制限を取っ払って検査を広げていると言われるので、論理的には陽性率は下がって然るべきところである。そして、陽性反応を示すには、感染からおよそ一週間~10日ほどのタイムラグがあるので(というデータが政府分科会からも示された)、私はここで一週間以上前の状況をもとに議論していることになる。健康(防疫)と経済をどうバランスさせるか難しいところで、今後の数週間の事態の推移を見守りたい。
(週あたり) 検査 陽性 陽性率 重症 死亡
6/21-6/27 36K 0.5K 1.4% -14 18
6/28-7/04 43K 1.2K 2.8% -12 6
7/05-7/11 60K 2.0K 3.2% -1 5
7/12-7/18 81K 3.3K 3.8% 11 3
7/19-7/25 80K 4.9K 5.7% 23 11
「ニューノーマル」の話に戻ると、私の場合、在宅勤務95%が、今後どうなって行くのか、どうして行くべきなのか、これから模索していくことになる。浮いた通勤時間は往復で2時間強もあるのに、通勤途上で歩く時間に相当する散歩と、電車に乗っている時間に相当する睡眠に消えてしまって、可処分所得ならぬ活動時間は変わらない(笑)。宵っ張りの私は睡眠時間を削って週末に寝だめしたつもりで、慢性的な睡眠不足状態だったことは、薄々気づいていたが、目覚ましがなくても起きる健康な生活になって、事実として眼前に突き付けられた感じだ(苦笑)。どのような時間のベストミックスを目指すのかは、個人的に、健康(防疫)と経済(あるいは享楽?)をどうバランスさせるかという問題でもあって、なかなかすぐに結論が出るものでもないのかも知れない。
ちょっと自嘲気味に言うならば、「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~」と、植木等さんが「スーダラ節」とともに呟いてから60年近くになり、まだその残影が残る30数年前に社会に出ることになった私は、とりあえず周囲に流されて民間企業への就職を選び、バブル経済を経て、日本経済が低迷し、一部の企業は構造改革やリストラという名の人員・経費削減を繰り返すほどに落ちぶれて、かつての高度成長期のお気楽さが羨ましくも恨めしくもある昨今ではあったが、パンデミックになって、あらためてサラリーマンは安定していて有難いものだと、しみじみ思う。人によってはこの生活を贅沢だとすら思うだろう。かつて課税の根拠となる所得の捕捉に関して、クロヨン(9:6:4)とかトーゴ―サンピン(10:5:3:1)などと呼ばれて、サラリーマンは自営業者や農林水産業者(さらに後者の場合は政治家も)と比べてガラス張りで不公平だと不満を託ったものだが、所得そのものは、ここ20年来、(昇進は別にして)増えている実感がないが(苦笑)、リーマンショックや東日本大震災などの自然災害や今回のパンデミックに見舞われても、業績連動のボーナスはともかく、月々の給与は安定して支給されている。サラリーマンを選んだのは、そしてその後も脱サラしなかったのは、好きなことをやって生きて行けるほど世の中は甘くないと思う現実感覚と言うより諦めが先に立ったからであり、好きなことをやって稼ぐほどの自信も野心もなく、失敗するリスクを冒すくらいなら、たとえ低空飛行でも安定した生活を良しとする小市民的な安定志向のあらわれに外ならない(と自嘲)。自営業のようなハイリスク・ハイリターンとは違って、サラリーマンにはローリスク・ローリターンが保証されていることの幸せをあらためて実感するのだ。
冒頭、コロナ禍は落ち着きを見せて来たと言ったものの、ここ一ヶ月の間に再び感染者数(正確にはPCR検査の陽性反応者数)が増え始め、22日の政府分科会は「爆発的な感染拡大には至っていないが、徐々に拡大している」と評価した。話題性を求めるメディアは、相も変わらず感染者数ばかりに注目し、第二波が懸念される事態だと危機感を煽るのは、政府の不手際として政権批判に繋げたいからか、社会の分断を際立たせたいのかと疑ってしまう(笑)。実態は、検査数も増え、重症者数や死亡者数は抑えられており、何より検査方針が変わってしまったのだから、所謂第一波と単純に比べるわけにはいかなくて、メディアはもう少し意味があるデータの出し方を工夫して欲しいものだと思う。
そこでまた厚労省が毎日発表するデータを週毎に集計してみた(下記データ及び添付グラフ)。感染者は理論的には指数関数的に増えそうなものだが、そこまで増えていないという意味では、まだ抑えられていると言ってもよいのだろう。「入院治療を要する者」(陽性反応者数に連動)は7週間マイナスを続けていたが(Netベース=Input-Output)、6月第3週(6/21~27)からプラスに転じた。そこから若干のタイムラグがあって「重症者数」は同様にNetベースで10週間マイナスを続けた後、7月第2週(7/12~18)からプラスに転じた。更にタイムラグがあって死亡者数は4週間ぶりに先週(7/19~25)は二桁台に乗せた。ここで言えることは、今回は感染者の多くが若者と言われるためか、重症者の増え方が前回に比べて鈍く、医療施設はまだ余裕があるレベルだと思われることだ。ただ、その間、連休明けから1%台に落ちていた陽性率(=陽性反応者数÷検査人数)が、6月第2週(6/14~20)に1%を切ったのを底に、先週は6%近くまで上昇しているのが気になる(ちょうど3月の3連休後の頃のレベル)。検査方針が変わったので単純比較は出来ないし、所詮はPCR検査なので、精度のほかにも、事の性質上、陽性反応を示しただけで実際に感染した状況と言えるのかどうか厳密には不明であるが、4日間37.5度以上という制限を取っ払って検査を広げていると言われるので、論理的には陽性率は下がって然るべきところである。そして、陽性反応を示すには、感染からおよそ一週間~10日ほどのタイムラグがあるので(というデータが政府分科会からも示された)、私はここで一週間以上前の状況をもとに議論していることになる。健康(防疫)と経済をどうバランスさせるか難しいところで、今後の数週間の事態の推移を見守りたい。
(週あたり) 検査 陽性 陽性率 重症 死亡
6/21-6/27 36K 0.5K 1.4% -14 18
6/28-7/04 43K 1.2K 2.8% -12 6
7/05-7/11 60K 2.0K 3.2% -1 5
7/12-7/18 81K 3.3K 3.8% 11 3
7/19-7/25 80K 4.9K 5.7% 23 11
「ニューノーマル」の話に戻ると、私の場合、在宅勤務95%が、今後どうなって行くのか、どうして行くべきなのか、これから模索していくことになる。浮いた通勤時間は往復で2時間強もあるのに、通勤途上で歩く時間に相当する散歩と、電車に乗っている時間に相当する睡眠に消えてしまって、可処分所得ならぬ活動時間は変わらない(笑)。宵っ張りの私は睡眠時間を削って週末に寝だめしたつもりで、慢性的な睡眠不足状態だったことは、薄々気づいていたが、目覚ましがなくても起きる健康な生活になって、事実として眼前に突き付けられた感じだ(苦笑)。どのような時間のベストミックスを目指すのかは、個人的に、健康(防疫)と経済(あるいは享楽?)をどうバランスさせるかという問題でもあって、なかなかすぐに結論が出るものでもないのかも知れない。
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