智慧ある者とは?
最近は知識という言葉はよく言われるが智慧という言葉はあまり使われなくなってしまった。その中には単なる理解ばかりでなく、もっと広くもっと大きなものが含まれているような気がする。歴史の流れの中で生き残ってきたエッセンスのようなものが未来永劫脈々と流れているような気がする。原子力だけのように試験管の中だけで考えるのでなく。人の痛みが分かるというか、情緒的な思いも受け止めることができるというか、パトスとロゴスの混ざったものの理解とか…。
智慧ある者とは?私なりに思いついたものを次にあげてみた。
智慧ある者とは
・ 自分一人で生きているのでなく、地球上の他の生き物と共生している。
・ 自分の存在は祖先や将来との繋がりの中にある。
・ 自分は自分を中心として考えると、生きているようにみえるが、他者からみれば、生かされているとし考えられない。
・ いつも、弱者の立場になってものを考える。
・ 言葉は単なる記号でなく、いつも、そこには心というか想いや情感が含まれていると考える。故に言葉は言霊に通ず。
・ 同じ言葉でも自分を中心にして考えれば簡単だが、受け取る側はその人の経験値により何通りにも受け取る。しかも、同じ人でもその時々の状態により、受け取り方が違うことに気づいている。
・ 同じことでも置かれている状況が変化すれば、考えが変わると気づいている。
・ 同じ人でも年を重ねることにより、過去に考えた想いは微妙に変わっていく。いわゆる諸行無常である。
・ エージングを経て微妙に変わっているのが生き物であるが、反面人は永遠に変わらぬものを求めている。いわゆる、それが、永遠の命というものであろう。永遠の命にふれ天寿を全うしたものは幸せである。信仰の本質はとこしえに変わらないものを求めていくことであろう。それに気づくものが得る喜びでもある。
・ 喜び、うれしさ、楽しさ、微妙にニュアンスの違うものの機微に気づく力は人を思いやる心から生ずる。
・ 説明するときに、例え話を添えることのできる人はそのことを真に理解し、相手にも、自分のことを伝えることのできる人。
・ 道案内を巧みにすることのできる人は、思いやりのある人である。道案内は自分にするのでなく相手にするのだから。相手のことを気遣いながらしないと、うまく伝えられない。自分が分かることではない。主役は相手である。
・ 難しい理論を難しく伝えるのは簡単である。それを優しく伝えるのが難しい。伝える相手の状況をふまえその人の経験値になって伝える必要がある。そのためには、例え話が効果的である。例え話をするときには絶えず相手のことを想い図って進めるからである。
・ 人にものを教わるときには例え話がうまい人に教わると理解が進む。その方の頭の隅にはいつも相手の状態がすり込まれているからである。その優劣は受け取る側で決めるからである。
・ 一瞬にしてものの本質に迫る直感力の優れた面と論理的に物事を考える両面を備えている人であり、それらを支える人間味溢れる暖かさを持った人。そして、その進むべき方向は人の道にはずれていないこと。