誰(た)が蒔(ま)きし紅(くれなゐ)なれか三輪山をひたくれなゐににほはせるらむ(古今和歌六帖)
くれなゐの浅葉の野らも夏草のみどりに見えて深きころかな(延文百首)
咲けば散るものと思ひしくれなゐは涙の川の色にざりける(貫之集)
人しれず思へばくるしくれなゐの末摘花の色に出(い)でなむ(古今和歌集)
かくばかり恋しわたらばくれなゐの末摘花の色に出(い)でぬべし(古今和歌六帖)
堰きかねし涙のはてや紅のうす花染の色に出(い)づ らむ(新千載和歌集)
我が恋やすゑつむ花の色ならむくれなゐにのみ濡るる袖かな(後三条院四官侍所歌合)
よそにのみ見つつ恋ひなむくれなゐの末つむ花の色に出(い)でなで(柿本集)
くれなゐのうす染衣(ごろも)あさはかにあひ見る人に恋ふるころかな(夫木抄)