くれなゐのやしほの色のふかみ草を卯の花がきの庭に見るかな(拾玉集)
植ゑたつるまがきのうちのしげりあひてはつかに見ゆるふかみ草かな(正治二年初度百首)
むらさきの露さへ野べのふかみぐさ誰(た)が住みすてし庭のまがきぞ(壬二集)
咲く花の露もこころもふかみ草ただなほざりの色とやは見る(草根集)
咲き散るはほどこそなけれふかみ草はつかの月ぞおそくいでぬる(続草庵集)
人しれず思ふこころはふかみぐさ花咲きてこそ色に出(い)でけれ(千載和歌集)
ともに見んことわりあれやもろこしの獅子をえがけばぼうたんの花(草根集)
(「ふかみぐさ/渤海草・深見草」=牡丹)