きのふこそ早苗とりしかいつのまに稲葉そよぎて秋風の吹く(古今和歌集)
里とほき岡べの稲葉うちなびき門田(かどた)をかけて秋風ぞ吹く(洞院摂政家百首)
ゆふ日さす外山のこずゑ秋さびてふもとの小田も色づ きにけり(風雅和歌集)
はるあきの花もおもはぬ山がつは稲葉(いなば)色濃きさかりをや見る(天正五年親王家五十首)
風ふけば田づ らのいほのうちまでも稲葉かたぶき露にそぼちぬ(宝治百首)
秋田刈る仮廬(かりほ)をつくりわが居ればころもで寒し露ぞ置きける(万葉集)
秋の田のおしね色づ く今よりや寝られぬ庵(いほ)の夜寒(よさむ)なるらむ(続古今和歌集)
み山田のおくての稲を干しわびて守るかりほに幾夜(いくよ)経(へ)ぬらむ(古今和歌六帖)
秋の田のかりそめながらむすぶ庵(いほ)になれて幾夜のさをしかの声(新続古今和歌集)
秋の田の引板(ひた)のいほりに時雨ふりわが袖ぬれぬ干す人なしに(柿本集)
ひとりしてものをぞ思ふ秋の田の稲葉のそよといふ人もなし(古今和歌集)
秋の田の穂の上における白露のけぬべき我はおもほゆるかな(拾遺和歌集)
刈りて干す山田の稲をかぞへつつ多くの年をつみてけるかな(古今和歌六帖)
世の中は秋の山田のかりの庵(いほ)住み憂しとてもよしやいつまで(新拾遺和歌集)
(2009年10月28日に掲載した「秋の田」の記事は削除しました。)