暮るるよりおなじ空とも見えぬかな秋の今宵(こよひ)の山の端の月(続後撰和歌集)
月かげはおなじ山よりいづ れども秋のなかばは照りまさりけり(二条太皇太后宮大弐集)
心ありて雲ふきはらへ天津風(あまつかぜ)秋のなかばのもちづ きの空(元応二年八月十五夜月十首)
水の面(おも)に照る月なみをかぞふればこよひぞ秋のもなかなりける(拾遺和歌集)
名に高きこよひや秋の中空(なかぞら)にひかりみちたる月のさやけさ(新拾遺和歌集)
名にしおふ秋のこよひのしるしとやことにくまなく月も澄むらむ(元応二年八月十五夜月十首)
いづ くにも今宵の月を見る人のこころやおなじ空にすむらむ(金葉和歌集)
わすれじな今宵ぞ中の秋の空さやけき月はまたも見るとも(後崇光院御百首)
初雁のつらこそ見えね秋もはやなかば暮れぬるもちづ きの空(元応二年八月十五夜月十首)