「空蝉の」という枕詞には「枕 命、身、人、空(むな)しなどにかかる。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、源氏物語(1001‐14年頃)の用例を早い例としてあげていますが、さかのぼる用例が複数あります。
うつせみの命を惜しみ波に濡れ伊良虞の島の玉藻刈り食(は)む
(巻第一、24)
伊藤博校注『万葉集 上巻』(角川文庫)1987年、61ページ
00192 [詞書] 題しらす
よみ人しらす
うちはへてねをなきくらす空蝉のむなしきこひも我はするかな
(後撰和歌集~日文研の和歌データベースより)
00971 [詞書] かくいひかよはすほとに、三とせはかりになり侍りにけれは
荒玉の年の三とせはうつせみのむなしきねをやなきてくらさむ
(後撰和歌集~日文研の和歌データベースより)