「仄(ほの)めく」という単語には「ほのかに形や光が見える。見え隠れに姿をあらわす。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『宇津保物語』(970-999年頃)からの例が早いのですが、もう少しさかのぼる用例があります。
秋霧にゆくへや惑ふ女郎花はなかく野べにひとりほのめく
(9・昌泰元年秋亭子院女郎花合、十巻本、32)
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、101ページ
かげろふのほのめきつれば夕暮の夢かとのみぞ身をたどりつる<よみ人しらず>
(巻第十二・恋四、857)
『後撰和歌集』松田武夫校訂、岩波文庫、1945年、146ページ
かけろふの-ほのめくかけに-みてしより-たれともしらぬ-こひもするかな
おほつかな-ゆめかうつつか-かけろふの-ほのめくよりも-はかなかりしか
(古今和歌六帖)日文研HPの和歌データベースより
※下三首は、「かげろふの→ほのめく」という枕詞用例ということでもよさそうです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます