monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 一月 鶯

2013年01月13日 | 日本古典文学-春

麗景殿の女御の屏風に 紀貫之
浅みとり春たつ空にうくひすの初音をまたぬ人はあらしな
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

題知らず はがための侍従
花の枝(え)にはやも鳴かなむ鶯の声につけてぞ春もしらるる
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

百首歌よませ給ける中に、鶯を 土御門院御製
雪のうちに春はありとも告なくにまつしる物は鶯のこゑ
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

むつきに雪ふりて鶯の啼けれはよませ給うける 花山院御製
ふる雪もうくひすのねも春くれはうちとけやすき物にそ有ける
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

鶯柳のえだにありといふだいを
わがやどの柳のいとはほそくともくるうぐひすはたえずもあらなん
(蜻蛉日記・巻末家集~バージニア大学HPより)

右大将、紅梅のをかしきあけぼのを見侍りけるに、鶯も一声鳴きたるに ひちぬ石間の女三の宮の中納言
折る人のあたりに匂ふ梅が枝を飽かずとや鳴く鶯の声
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

 鶯 為定
あさなあさななく鶯の声すなりいまや春日ものどかなるらむ
(飛月集~「新編国歌大観10」)

春歌とて 山辺赤人
あつさ弓はる山ちかくいゑゐしてたえすきゝつる鶯のこゑ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

卅首歌めされし時、早春鶯 入道前太政大臣
時しらぬ竹のあみ戸のうちまても世は春なれや鶯のなく
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

消えあへぬ雪のふるすのうぐひすはたれにとひてか春をしるらん
(浄弁短冊~「和歌文学大系65」(明治書院、H16、303pの脚注)

山ふかみ霞こめたる柴のいほにこととふものは谷のうぐひす
鶯によせて思を述べけるに
うき身にて聞くもをしきはうぐひすの霞にむせぶあけぼのの聲
(山家和歌集~バージニア大学HPより)

題知らず いちひ拾ひの大納言の北の方
数ならぬしづが垣根の梅が枝に身をうぐひすの音をのみぞなく
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

けふは廿三日、まだかうしはあげぬほどにあるひとおきはじめてつまどおしあけて「ゆきこそふりたりけれ」といふほどにうぐひすのはつごゑしたれどことしもまいて心ちもおいすぎてれいのかひなきひとりごともおぼえざりけり。
(蜻蛉日記~バージニア大学HPより)

よしみねのむねさたの少将ものへゆく道に五条わたりにて雨いたうふりけれはあれたるかとに立かくれて見いるれは五間はかりなるひはたやのしもに土やくらなとあれとことにひとなと見えすあゆみ入てみれははしのまに梅いとおかしう咲たり鴬もなく人ありともみえぬみすの内よりうすいろのきぬこききぬのうへにきてたけたちいとよきほとなる人のかみたけはかりならんとみゆなるか
葎おひて荒たる宿を鴬の人くとなくや誰とかまたむ
とひとりこつ少将
(大和物語・バージニア大学HPより)

更衣元善、さとよりまいりける日 光孝天皇御歌
梅花ちりぬるまてにみえさりし人くとけさはうくひすそなく
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

山鶯を 中務卿宗尊親王
さひしくて人くともなき山里にいつはりしける鶯のこゑ
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

あつまちはなこそのせきときくからにひとくといとふうくひすのこゑ
(夫木抄~日文研HPより)

鳥は(略)
鶯はふみなどにもめでたきものにつくり、聲よりはじめてさまかたちも、さばかりあてにうつくしき程よりは、九重のうちに鳴かぬぞいとわろき。人の「さなんある」といひしを、さしもあら じと思ひしに、十年ばかりさぶらひて聞きしに、まことにさらに音もせざりき。さるは竹ちかき紅梅も、いとよくかよひぬべきたよりなりかし。まかでて聞けば、あやしき家の見所もなき梅の木などには、かしがましきまでぞ鳴く。(略)春なくゆゑこそはあらめ。「年たちかへる」など、をかしきことに、歌にも文にもつくるなるは。なほ春のうちならましかば、いかにをかしからまし。(略)
(枕草子~岩波文庫)

同十年正月内裏にて鶯知万春と云ことを講せられ侍けるに 円光院入道前関白太政大臣 
君かため谷の戸出るうくひすはいく万代の春をつくらん 
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

正応二年、内裏にて、鶯是万春友といへる事を 前大納言為兼 
鶯のかはらぬ声や君か代によろつかへりの春をかさねん 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

 早春、侍内宴、賦聴早鶯、応製。
怪(あや)しばず 鶯の声の早きことを
歳華(さいくわ)を楽しぶに縁(よ)るなるべし
語(こと)は絃管(ぐゑんくわん)の韻(ひび)きを偸(ぬす)む
棲(すみか)は綺羅なす花を卜(し)めたり
愛し翫(もてあそ)びて 風の軟(なごやか)なることを憐(あは)れぶ
貪(むさぼ)り聞きて 日の斜(ななけ)なることを恨む
偏(ひとへ)に歓(よろこ)ぶ 初(はじ)めて谷を出(い)づることを
謝(しゃ)し絶(た)つ 旧(むかし)の烟霞(えんか)
(菅家文草~岩波「日本古典文学大系72」)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古典の季節表現 春 一月中旬 | トップ | 古典の季節表現 春 一月 梅 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mono)
2021-02-04 21:02:41
風葉和歌集と蜻蛉日記・巻末家集と浄弁短冊と続後拾遺和歌集と新千載和歌集と菅家文草を追加しました。
返信する
Unknown (mono)
2022-02-18 10:50:54
飛月集を追加しました。
返信する

コメントを投稿

日本古典文学-春」カテゴリの最新記事