四月の風
ほのぐらい丁子の葉かげをもれてくる風のやはらかさは恋人の夜(よる)の息(いき)のやうにやさしくわたしのほほをかるくなでてはたはむれる。そのにほひはあまく、そのこゑはさわやかに、うぐひすの黄色い胸毛(むなげ)のやうになまぬるい。
(『《限定版》大手拓次全集 第一巻』(白鳳社、昭和45年)より)
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