あやしい異香のかをる枕に夢魔をまねきよせ、みどりの柳をふとらせ、ねむりながらにレモンティの優しさに手をのばす。されは古びたランプの思ひ出に糸をつなぎ、さまざまの草花をうゑ、かぎりなくのびひろがる蘆(あし)のひともとに至上の鍵をほのめかし、遠くきこえる香料に、今更ながら幻想のけむる象牙の手鏡を持ちそへる。
(『限定版 大手拓次全集 別巻』(白鳳社、1971年、447~448p)より「季節題詞」)
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